【ブルワーズ1-5ドジャース】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月14日(日本時間15日)
かつても今もスター選手に事欠かない球団史で、ドジャースのポストシーズン通算本塁打記録の頂点に、いま単独で立っているのはマックス・マンシーだ。
マンシーの一発は、NLCS第2戦の六回に飛び出した勝負を決めるソロ本塁打だった。アメリカンファミリーフィールドでの試合はドジャースが勝利。この1本でポストシーズン通算本塁打は14本となり、コーリー・シーガーとジャスティン・ターナーを抜いて球団単独トップに立った。
「すごく特別なことだよ」とマンシーは語った。
「ドジャースは本当に長い歴史を持つ球団で、これまでたくさんの素晴らしい選手たちがプレーしてきた。その記録を更新できたのは、自分にとってとても大きいことだ」
もちろん、前夜の第1戦でも、マンシーはあと数センチで記録に届くところだった。結果的には、ポストシーズン史でも稀有なプレーの一つになったが。
四回、満塁。マンシーがセンター深くへ飛球を放つと、ブルワーズの外野手サル・フレリックがフェンス際で跳び上がって捕球を試みた。打球はいったんグラブに収まり、すぐにこぼれてフェンスに当たり、再びグラブへ戻った。
ミルウォーキーが中継でボールを内野に戻す間、マンシーは球場の誰もがそうだったように戸惑っていた。結果は、前例のない「8-6-2」の併殺となり、満塁本塁打による新記録達成とはならなかった。
では、第2戦の六回、フレリックが再びフェンスに向かって走り、跳び上がった瞬間、マンシーの頭に何がよぎったのか。
「正直、また捕られたと思った。……打球がバウンドするのはまったく見えなかった。見えなかったから、またキャッチしたんだと思った。そして、相当イライラするところだった」
しかし今回は、マンシーがダイヤモンドを1周する間、あ然と静まり返ったのはブルワーズ側だった。
「(フレリックが)地面に座り込むのが見えた。その瞬間、捕れていないと分かった」とマンシー。
「当然ながら本当にうれしかった。あの場面での大きな一発だったし、頭の片隅では、これで記録を更新したことも分かっていた。自分にとって本当にクールな瞬間だった」
マンシーは、ポストシーズンの舞台に立つ機会が多かったことを自覚している。出場チーム数が拡大されたポストシーズン方式、そして自身が在籍した8年間、ドジャースが強豪であり続けているからだ。
NLCS第2戦はポストシーズン通算70試合目。すべてドジャースの選手として出場している。ドジャースでのポストシーズン出場数がマンシーより多いのは、ジャスティン・ターナー(86)、キケ・ヘルナンデス(83)、クリス・テイラー(80)のみ。
「一番伝えたいのは、多くのポストシーズンゲームでプレーする機会をもらってきたという事実だ。ドジャースの選手であることの最大の意味は、10月に意味のある試合を戦うチャンスがあると分かっていること」
加えて、マンシー自身がその機会を毎年のように生み出す大きな要因になってきた。
「ここにいる間、毎年そのチャンスがある。それが自分にとって常に最も大切なことだった。ワールドシリーズを勝ち取るためのチャンスをできるだけ多く得る。それがこの競技を続ける理由だ」
ドジャースはナ・リーグ優勝まであと2勝。
そしてワールドシリーズ連覇を成し遂げれば、1998〜2000年のヤンキース以来となる。
マンシーは今ポストシーズンであと数試合、できれば記録をさらに伸ばせるだけの試合数を戦いたいと願っている。もちろん最終目標は再び世界一だが、その過程で歴史的な瞬間を味わえることも特別だ。
「ドジャースのような偉大な球団の一員として、これほど多くの歴史に関われるのは本当に大きいことだ」とマンシーは語った。
