野球の話をするとき、マックス・シャーザーは今も体を前後に揺らしながら、楽しそうに語る。その姿から、42歳になった今もシャーザーにとってどれだけ野球が特別な存在であることがよく分かる。
シャーザーはまだ進退について明言を避けている。
投手として球史に名を刻む右腕であり、勝負へのこだわりも人一倍強い。現役生活の終わりが近づいていることは本人も分かっている。それでも、シャーザーはまだ答えを出すつもりはないようだ。
「来季もプレーするかどうかは、オフシーズンの後半になってから決める。シーズンを通して良い時も悪い時もあった。でも、今はかなり健康な状態まで戻ってきた。身近な人たちとも話したが、みんな同じ考えだ。オフに入って、これからどうなるかを見ていきたい」
シャーザーは米国野球殿堂入りが確実視される投手の一人だ。ジャスティン・バーランダー、クレイトン・カーショーとともに、この世代を代表する右腕として長くメジャーを支えてきた。
ただ、現状は「未定」だ。
「6カ月後、自分がどう感じているかなんて分からない。今は健康な状態で最後の試合に投げて、楽しむこと。それだけです。その先どうなるかについて、何の期待もない。投げることは本当に楽しい。何が起こるかなんて分からない。本当に、今は何も分かりません」
ブルージェイズで過ごした2年間を振り返れば、2025年のア・リーグ優勝決定シリーズ第4戦、シアトルでジョン・シュナイダー監督とのマウンドでのやり取りなど、印象に残る場面はいくつもある。
通算3550奪三振は歴代9位。27日(日本時間28日)の今季最終登板では、通算奪三振数で歴代8位のバーランダーにさらに迫る可能性もある。
現役を終えた後の道も、すでにいくつも見えている。
シャーザーが関心を持っているのは、子どもたちや友人の子どもたちが参加するユーススポーツやアマチュアスポーツだ。野球だけでなく、バスケットボールやフットボールにも携わりたいと考えている。
一つの競技だけに絞るのではなく、幼い頃からさまざまなスポーツに触れてほしい。そんな思いがあり、自分もその一端を担いたいという。
もちろん、ビジネスやコーチ、解説、球団経営など、引退後の選択肢はいくらでもある。
一方で、現役続行という道も残されている。春季キャンプからのチーム加入、開幕後まで待って、シーズン序盤や途中から新たなチームを探すこともできる。
シャーザーがチームに残したものは、それだけではない。
この2年間は防御率5.64。複数の負傷にも悩まされた。それでも、若い投手たちに与えた影響は大きかった。常に高い基準を求め、激しい競争心をむき出しにする姿勢は、チームに一つの基準をもたらした。
そして、昨年の快進撃を振り返ると、シャーザーは今も表情を輝かせる。
「本当に素晴らしい思い出だ。ワールドシリーズ第7戦。これ以上のものはない。あれこそ野球の頂点だ。あの場面でボールを託され、あの状況で勝負して、チームとしてあれだけの試合をした。本当に一生残る思い出だ。キャリアを通じて素晴らしい思い出はたくさんある。それでも、41歳になった自分がトロントでワールドシリーズ第7戦に投げたことは、野球人生で最高の思い出の一つだ」
最終戦は、短い間隔での登板となる。ブルージェイズはすでにプレーオフ進出を逃しているため、シャーザー自身が体の状態を見ながら、どこまで投げるかを決めることになりそうだ。
そして、バーランダーの通算奪三振まであとわずかに迫っていることを考えれば、その数字をさらに伸ばす機会にもなる。
「あすは、とにかくマウンドに行って投げたい。これが最後になるかもしれないと思っているから。数週間前から、この試合には印をつけていた。ボルティモアで先発する予定だったが、子どもたちの学校があったから、連れて行くことができなかった。だから、プレーオフ進出を逃していたら、最終戦で投げようと決めていた。これが最後なら、もう一度、子どもたちの前で投げることができる。そうでなければ、どうなるかは分からない」
42歳のシャーザーにとって、今季最終戦がマウンドが現役最後になるのか。それとも、まだその先があるのか。
その答えは、もう少し先のオフシーズンまで持ち越される。
