「風の街の魔法使い」バシル、復帰へ節目の術後初投球

September 18th, 2026

18日(日本時間19日)、ホワイトソックスの選手たちは試合前の午後3時ごろ、レートフィールドの一塁側ベンチ前に集まり、間もなく訪れる特別な瞬間を待った。

MLBの最新ニュースを見逃さない!

表彰式も特別な発表もなかった。この集まりは、4月2日にトミー・ジョン手術を受けたマイク・バシル(26)が、手術後初めてボールを投げる瞬間を見守るためだった。

バシルは「ウィンディー・シティ・ウィザード(風の街の魔法使い)」とも呼ばれているようだ。投球前には、ベンチ近くに置かれた小型スピーカーを使い、メジャー部門アシスタントのメディナ氏がその愛称をアナウンスした。

バシルが左翼へ向かうと、チームメートやコーチ、ウィル・ベナブル監督(43)がゆっくりと拍手を送り始めた。大きな拍手に包まれる中、45フィート(約14メートル)の距離から捕手カイル・ティール(24)へ最初の1球を投げた。

「そしてソックスが優勝だ!」

バシルは両手を突き上げ、グラブを宙へ放り投げながら叫んだ。

バシルは45フィート(約14メートル)の距離から計20球を投げた。長いリハビリで次の段階へ進む第一歩となり、順調に進めば2027年5月中旬にも復帰できる可能性がある。

投球後、バシルは「最高の感覚でした。キース・マイスター医師にも感謝したいです。今朝はかなり不安でした。シャワーを浴びながら、ボールの投げ方をちゃんと覚えているかな、と少し心配になったくらいです」と笑った。

「何よりチームメートが応援してくれて、本当に胸が熱くなりました。みんなが自分を支えてくれている。その事実だけでも大きな意味があります。今季は投げたかったですが、実現しませんでした。でも、みんなが集まってくれた光景を見て、本当にうれしかったです」

躍進を続ける2026年のホワイトソックスにおいて、バシルの物語も浮き沈みを含めて特別な存在となっている。アリゾナでのスプリングトレーニングでは先発ローテーション入りを争っていたが、3月14日(同15日)のドジャース戦で好投中に右腕を負傷した。

その後すぐに手術を受けたが、チームメートたちはベナブル監督に働きかけ、負傷したバシルをシーズンを通してメジャーのチーム本隊に帯同しながら、リハビリを進められるように求めた。18日の試合開始3時間半前、チーム全員がバシルを見守るために集まった背景にも、同じ思いがあった。

ベナブル監督は「この日が近づくにつれて、何人もの人から『きちんとやろう。みんなで外へ出て彼を応援しよう』と連絡がありました。みんな同じ考えでした。バシルを応援するために集まることが大切だと全員が思っていました」と明かした。

バシルはホワイトソックスのフロントやチームメートについて、「みんなには感謝してもしきれません。今年は何一つ普通ではありませんでした。それでも球団は自分をチームのそばに置いてくれた。ウィル(ベナブル監督)もそうですし、ベテラン選手たちも自分にいてほしいと思ってくれた。こういうことは珍しいと分かっていますし、本当に感謝しています。試合に出られなくても自分がチームに影響を与えられると信じてもらえた。本当に特別な1年です」と思いを口にした。

「ウィンディー・シティ・ウィザード」という愛称の由来を知らないなら、2026年のホワイトソックスを追っていなかったと言っていい。チームメートのジョーダン・リージャー(28)が20ドルの魔法の杖をアマゾンで取り寄せ、4月27日(同28日)のエンゼルス戦前にバシルへプレゼントした。

そこからバシルは、少しずつ“魔法”を生み出してきた。そして9月4日(同5日)のツインズ戦では、レートフィールドで魔法の杖が配布されるイベントまで実現した。

この日の投球練習で、バシルは今季初めて「本物の野球選手に戻った」と実感したという。ただ魔法の杖を振って楽しむだけではなく、実際にボールを投げた。もっとも、その明るいキャラクターもア・リーグ中地区首位を争うホワイトソックスを支えてきた。

バシルは「今年この先どうなっても、ロッカールームにいる仲間全員が大好きです。誰かが失策しても、三振しても、大事な場面でアウトを取れなくても、その選手への自分の見方は変わりません。それを本人にも伝えたいし、自分たちなりの関係の中で相手を大切な存在だと感じてもらいたいんです」と思いを明かした。

「野球はいつか終わります。自分にとってもっと大切なのは、その選手に電話して、野球以外のどんな話でもできる関係でいられることです。そこに大きな意味を感じています」

バシルは20日(同21日)にも45フィート(約14メートル)の距離から投球練習を行う予定だ。次回は今回ほど盛大な応援には包まれないかもしれない。