上位シードに対戦相手の選択権 2029年導入を提案
MLBは選手会に新たなポストシーズン改革案を提示した。レギュラーシーズンを現行の162試合から154試合に短縮するほか、ワイルドカードシリーズと地区シリーズで上位シードに対戦相手を選ぶ権利を与え、地区シリーズを現行の5戦3勝制から7戦4勝制に拡大する内容だ。
MLBのグレン・キャプラン報道官は、今回の提案について「154試合制に戻せば、毎週1日の休養日を設けることができ、選手の健康面でプラスになる。同時に、注目度の高いチームや選手を全国に向けて紹介する新たなテレビ中継枠も設けられる」と説明した。
さらに「レギュラーシーズンを短縮することで、10月のポストシーズンをファンにとってさらに魅力的なものにできる。平日午後の試合を減らし、地区シリーズを長期化させ、最高の舞台で球界を代表する投手たちの投球を見る機会も増やせる。最初の2ラウンドで上位シードが対戦相手を選べるようになれば、注目を集めるストーリーが生まれ、既存のライバル関係はさらに激しくなり、新たなライバル関係も生まれるだろう」と語った。
上位シードが対戦相手を指名 短期決戦に新たな駆け引き
今回の改革案で注目されるのが、上位シードに対戦相手を選ぶ権利を与える新ルールだ。
ワイルドカードシリーズでは、各リーグの第3シードが第5シードと第6シードのどちらと対戦するかを選択する。第3シードは、地区優勝チームのうちレギュラーシーズンの成績が3番目に良かったチームに当たり、指名はレギュラーシーズン終了直後に行われる。
続く地区シリーズでは、各リーグの第1シードが、ワイルドカードシリーズを勝ち上がったチームの中から対戦相手を選ぶ。こちらはワイルドカードシリーズ終了後に指名する仕組みだ。対戦相手を選べるようになれば、上位シードは地区シリーズで強敵との対戦を避けられる可能性がある。一方、第3ワイルドカードで進出したチームにとっては、シード順位が低いことによる不利がさらに大きくなる可能性もある。
MLBは、この仕組みによってレギュラーシーズンの成績の重要性が高まり、ファンの関心を集めると見込んでいる。既存のライバル関係を深めるだけでなく、新たな因縁が生まれることも期待される。
指名されたチームにとっては、選ばれた理由そのものが発奮材料になる。対戦相手の選択が試合前から話題を呼び、ポストシーズンの新たな見どころとなりそうだ。
154試合制に短縮 毎週月曜日を原則休養日に
MLBは2029年シーズンから、レギュラーシーズンを154試合制に戻すことを提案している。154試合制は、1904年から1960年にかけて、ほぼ一貫して採用されていた。試合数を減らすことで日程に余裕が生まれ、ポストシーズンの日程を柔軟に組めるようになる。
新たな日程では、原則として毎週月曜日を休養日とする。ただし、全国向けの独占中継枠として1~2試合を月曜日に開催する可能性があり、その場合、月曜日に試合を行うチームは同じ週の木曜日が休養日となる。祝日や一部の特別開催試合については、月曜日の休養日ルールを適用しない。
マイナーリーグでは、すでに月曜日を休養日とする日程が好評を得ている。日曜日のデーゲーム後に月曜日も休めるため、多くの選手が2日続けて休養を取れることが利点となっている。
休養日の増加は選手の健康維持につながるほか、選手の頻繁な入れ替えを抑える効果も期待される。ロースターの変動は、選手にとってもファンにとっても課題となってきた。MLBによると、2022~2025年のデータでは、休養日がある週のオプションによるマイナー降格などの手続きは、休養日がない週に比べて平均24%少なかった。週平均では、休養日がある週が1.45回、ない週が1.90回だった。
また、154試合制になっても選手の年俸は減額しない方針だ。一方、出来高ボーナスや契約オプションなどの条件については、試合数の減少に応じて調整する。
レギュラーシーズンは、休養日の増加によって現行より約1週間早く終了する見通し。一方、ワールドシリーズ第7戦の開催日は、現行日程より2日遅くなる程度にとどまる。各球団はレギュラーシーズン中に、同地区の各ライバル球団と1度ずつ、計4回の変則ダブルヘッダーを実施する案も盛り込まれた。
2029年は、MLBの次期全国メディア放映契約が始まる年でもあり、試合数の見直しは新たな放送体制の開始に合わせたものとなる。
地区シリーズを7戦4勝制に拡大
今回の提案には、2029年から地区シリーズを現行の5戦3勝制から7戦4勝制に変更する案も含まれている。
狙いは、154試合にわたるレギュラーシーズンで実力を示したチームが、リーグ優勝決定シリーズへ進出しやすくすることだ。短期決戦特有の偶然性を抑え、シーズンを通じて安定した成績を残したチームが勝ち上がる可能性を高める。
この変更により、ポストシーズンでは最大8試合が追加される可能性がある。休養日も増やすことで、試合中継の視聴率向上や放映権の価値向上につなげる狙いだ。
ポストシーズンの開始日をずらし、試合を分散させることも提案されている。これにより、1日に4試合が組まれる場合に生じている平日昼間の早い時間帯の試合を減らし、ファンが試合を観戦しやすい環境を整える。
また、リーグ優勝決定シリーズでは、第5、6、7戦の開催前に休養日を設ける案も示された。これらは、シリーズの勝敗が決まっていない場合にのみ行われる試合だ。
休養日を挟むことで、両リーグの試合が重なるのを避け、注目の一戦を単独で楽しめるようにする。さらに、エース級投手が登板できる可能性も高まり、大一番での投手戦にも期待がかかる。
レギュラーシーズンの試合数を減らして選手の負担を軽減する一方、ポストシーズンは試合数と観戦機会を増やす。今回の改革案は、選手の健康面への配慮と、放送・興行面の充実を両立させることを目指している。
