「開幕2週間でMVP決定!」
とはもちろんならない。
昨季、アーロン・ジャッジが覚醒したのは5月だった。好スタートを切ってもフェードアウトする選手もいるし、4月にスランプだった選手の記憶もあっという間に忘却の彼方だ。
とはいえ開幕直後の活躍がシーズンを左右することもある。2024年、ボビー・ウィット・ジュニアは開幕からスーパースターのような活躍で最終的にアメリカンリーグでジャッジに次ぐ2位になっている。
それを念頭に置きつつ、2025年のMVP争いに加わりそうな打者10人を独自に選んでみた。ただ過去のMVP受賞者と昨季トップ5に入った選手は除外した。
1. カイル・タッカー(カブス・右翼手)
タッカーは2023年のアメリカンリーグ投票で5位、昨季はケガで78試合しか出場できなかったため投票数はゼロだった。
東京シリーズでは快音が響かなかったが、米国に戻ってからの11試合では打率.364、出塁率.491、長打率.795、本塁打5本、3盗塁、15打点を記録し、カブス8勝3敗という成績に貢献している。タッカーがチームを牽引し、カブスが2017年以来初のナショナルリーグ中地区のタイトルを獲得したら、大谷翔平の対抗馬になるだろう。
2. コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス・右翼手)
昨季はフルシーズンを戦ってナショナルリーグ新人王賞を獲得し、ナショナルリーグMVP5位に輝いた。オールスターブレイクの時点でOPSはわずか.635だったが、後半大きく巻き返した。今季もその好調さを維持し、ここまで本塁打3本を含む長打8本と長打率.628に加え、コンタクトの質の指標も上がっている。さらに俊足を生かした盗塁にも期待したい。
3. ジャクソン・メリル(パドレス中堅手)
2年目のスランプはこの男には無縁だ。今季も開幕から好調で、ここまで打率.378、出塁率.415、長打率.676、10打点10をマークした。チームと9年契約を結んだが、奇遇なことに契約発表されてからの4試合でマルチヒット、本塁打2本を放っている。4月19日に22歳の誕生日を迎えるメリルは、再び、ポストシーズンの強力な候補の重要な構成要素になりそうだ。
4. ライリー・グリーン(タイガース左翼手)
2019年にタイガースにドラフト5位で指名された期待の有望株。2024年にMVP投票は得られなかったが、少しずつ頭角を現し、オールスターにも選出された。今季も開幕から打率.317、長打率.634を記録。チームメイトのスペンサー・トルケルソンの活躍もあり、タイガースのラインアップは昨季よりもはるかに強力だ。
5. アレックス・ブレグマン(レッドソックス3塁手)
開幕直後の6試合は低空飛行だったが、次の4試合は18打数9安打(.500)、長打7本、10打点を記録。2019年アストロズ時代にア・リーグMVP2位と攻撃力はピカイチだ。現在31歳でここ数年、MVP候補になる成績はないが、ボストン移籍がきっかけで再び覚醒し、レッドソックスの復活のきっかけになればチャンスはある。
6. マット・チャップマン(ジャイアンツ3塁手)
絶好調のジャイアンツは今シーズン最初の10試合で8勝を挙げている。チャップマン以外にも外野手ヘリオット・ラモス、イ・ジョンフ(李政厚)、マイク・ヤストレムスキーの3人がOPS.850を超えるなど好調。5度のゴールドグラブ賞受賞者のチャップマンはMVPに必要なのは打撃だ。毎年5月に襲ってくる打撃不振を乗り越えればチャンスも見えてくる。
7. フェルナンド・タティス・ジュニア(パドレス右翼手)
2020年と21年にナショナルリーグMVPレースで4位、3位に入っており、受賞は時間の問題だと思われた。しかし怪我や不安定さでいまだ受賞には至っていない。26歳の今季、確実に絶頂期でここまで打率.381、盗塁5つ、三振数より四球数が多いなど、スーパースター級の活躍の兆しが見える。
今リストの最後の数枠では、ビッグリーグでスターとしての地位を確立しようとしている有望株について取り上げたい。
8. アンソニー・ボルピー(ヤンキース遊撃手)
ボルピーは以前にもその兆しを見せていた。2024年の最初の15試合で打率.382/.477/.564を記録しながら打撃は一気に急降下した。今季はトルピードバットの影響からか、開幕から本塁打4本、12打点と好調だが、4月以降も快音に期待したい。
9. ウィルアー・アブレイユ(レッドソックス右翼手)
2024年の新人シーズンで衝撃的な活躍を見せ、ゴールドグラブ賞を受賞したが、打撃もOPS.781、本塁打15本をマーク。今季も打率.424、出塁率.537、長打率.788、二塁打3本、本塁打3本と好調だ。レッドソックスのポストシーズン進出に貢献すれば、ダークホースでMVP候補になる可能性は高い。
もう一人、ボストンの有望選手第2位、全体で第6位のクリスチャン・キャンベルも推したい。新人がリーグMVP賞を受賞したのは過去2回だけだが、22歳は今季すでに2本塁打でOPS1.143を記録するなど彼もダークホース的存在だ。
10. タイラー・ソーダーストロム(アスレチックス一塁手)
昨年、素晴らしいパワーの可能性を垣間見せたが、今季も本塁打量産を虎視眈々と狙う。23歳はすでにジャッジに並ぶ6本塁打をマーク。現在までソーダーストロムのOPS1.292を上回っているのはアブレイユとガーディアンズのホセ・ラミレスの2人だけだ。
11. ラーズ・ヌートバー(カージナルス左翼手)
ここ数年、ヌートバーは怪我が多く、シーズンで117試合以上出場したことがなかった。昨季は通算OPS.774(OPS+は115)にも関わらず過小評価されている印象がある。今季はシーズン最初の9試合でOPS.877、ホームラン2本を放ち、カージナルスの打線を支えている。

