アスレチックスのカーツが満票でア・リーグ新人王に選出

2009年のベイリー以来、球団史上9人目の新人王

November 11th, 2025

10日(日本時間11日)、アメリカン・リーグの新人王にニック・カーツ(アスレチックス)が選出された。カーツは30名の投票者全員から1位票を獲得し、満票の210ポイント。同僚のジェイコブ・ウィルソンが107ポイントで2位、ロマン・アンソニー(レッドソックス)が72ポイントで3位、ノア・キャメロン(ロイヤルズ)が54ポイントで4位、コルソン・モンゴメリー(ホワイトソックス)が23ポイントで5位と続いた。

カーツはメジャーリーグの歴史上、打者としてトップクラスのデビューシーズンを過ごし、満場一致でア・リーグ新人王に選出された。

身長196センチ、体重108キロのカーツは、4月23日にメジャーデビューを果たし、117試合に出場して打率.290、36本塁打、出塁率.383、長打率.619を記録。本塁打、打点(86)、得点(90)、OPS(1.002)、OPS+(173)など各部門で新人トップの成績を残し、総合指標WARはファングラフス版(4.6)でもベースボール・リファレンス版(5.4)でも新人トップだった。

450打席以上出場した新人選手が170以上のOPS+を記録したのは、1900年以降では2014年のホセ・アブレイユ(173)、2017年のアーロン・ジャッジ(171)に続く3人目の快挙である。

22歳のカーツは素晴らしいルーキーイヤーを過ごしただけでなく、7月25日のアスレチックス戦で新人初&球団初となる1試合4本塁打を達成。この試合では6打数6安打8打点という大暴れを見せ、同一試合で6安打、4本塁打、8打点をすべて達成するのはメジャーリーグ史上初の快挙となった。また、1試合19塁打は2002年のショーン・グリーンに並ぶメジャー最多タイ記録となっている。

試合後、カーツは「こんな試合ができるなんて夢にも思わなかった。だって、めったに起こらないことだからね。信じられない気持ちだよ」と話していた。

アスレチックスの新人王は、1952年のハリー・バード、1986年のホセ・カンセコ、1987年のマーク・マグワイア、1988年のウォルト・ワイス、1998年のベン・グリーブ、2004年のボビー・クロスビー、2005年のヒューストン・ストリート、2009年のアンドリュー・ベイリーに続いてカーツが9人目である。

ウェイクフォレスト大学に在籍していたカーツは2024年のドラフト全体4位で指名されると、9カ月後、マイナーリーグで32試合しかプレーしていないにもかかわらず、球団ナンバーワン有望株としてメジャー昇格を果たした。ドラフトから283日でのメジャー昇格は、球団史上6番目のスピード記録となった。

カーツは成熟した打撃アプローチで高い評価を受けてきたが、メジャー1年目から高度な打撃技術を遺憾なく発揮。バレル率(18.4%)、ハードヒット率(51.1%)、バットスピード(77.2マイル)、チェイス率(ボール球に手を出す確率、22.2%)といった各種指標で上位にランクインし、パワーと選球眼を兼ね備えた打撃力を存分に見せつけた。

4月のカーツ昇格時、アスレチックスのマーク・コッツェイ監督は「スプリングトレーニングで彼が年齢のわりに、いかに成熟しているかを目撃した。アプローチや適応力は本当に素晴らしい。プロで初めてフルシーズンを過ごす選手がこれほど早い時期にメジャー昇格を果たしたのは本当に印象的なことだ」と語っていた。

カーツは5月と6月に股関節のケガで欠場した時期があったものの、打席でのパフォーマンスに影響を与えることはなかった。7月には23試合に出場して打率.395、11本塁打、27打点、出塁率.480、長打率.953という驚異的な成績をマーク。後半戦は59試合に出場し、19本塁打、OPS1.107の大活躍を見せた。