ポストシーズンは残る4チームがワールドシリーズ進出を懸けて争う一方、すでにシーズンを終えた26球団は、2027年へ向けた戦力整備を進めている。
今オフは、球団側が契約を延長するか判断する選手もいれば、選手側が残留かFAかを選べるケースもある。そうした契約上の選択権を巡る決断次第で、来季以降の所属先が変わる可能性もある。
ここでは、今後の動向が注目される6選手をアルファベット順で紹介する。
ボー・ビシェット(28)、三塁手、メッツ
契約状況:2027、28年ともに、ビシェット側に年俸4200万ドル(約66億3400万円)で契約を1年延長できる選択権。延長しない場合は各年500万ドル(約7億9000万円)を受け取る
ビシェットは昨オフ、メッツと3年総額1億2600万ドル(約199億円)で契約し、2027、28年は自らの判断で契約を継続できる権利を得た。年平均4200万ドル(約66億3400万円)は史上6位。メジャー最初の7シーズンで通算WAR(代替可能選手と比べて何勝分の価値を上積みしたかを示す指標)が20弱だった選手としては、非常に大きな金額だ。
メッツ移籍1年目は打率.260、出塁率.312、長打率.390、18本塁打、78打点。OPS.702、OPS+(リーグ平均を100として打撃力を示す指標)97はいずれも通算平均のOPS.788、OPS+117を大きく下回った。
最初の61試合でOPS.570と出遅れた影響が大きかったが、最後の99試合はOPS.784まで回復し、通算平均に近い打撃成績を残した。
それでも、今季fWAR(ファングラフス版WAR)1.9に終わったビシェットが、FA市場で年平均4200万ドル(約66億3400万円)に近い契約を得る可能性は低い。2027年もメッツとの契約を継続する公算が極めて高く、自身とチーム双方にとって今季以上のシーズンを目指すことになる。
ソニー・グレイ(36)、右投手、レッドソックス
契約状況:2027年は、球団とグレイ双方が合意すれば年俸3000万ドル(約47億3800万円)で契約を1年延長。延長しない場合はグレイが1000万ドル(約15億7900万円)を受け取る
グレイは2024年シーズン前、カージナルスと3年総額7500万ドル(約118億4600万円)で契約。当初は2027年について、球団側が年俸3000万ドル(約47億3800万円)で契約を1年延長できる権利を持ち、延長しない場合は500万ドル(約7億9000万円)をグレイへ支払う契約だった。
昨年11月、カージナルスがレッドソックスへのトレードで合意した際、グレイにトレード拒否権を放棄してもらうため、2027年の契約延長には球団とグレイ双方の同意が必要な条件へ変更。さらに2026年の年俸が400万ドル(約6億3200万円)減額された分を補うため、契約を延長しない場合の支払額も1000万ドル(約15億7900万円)へ倍増された。
もし2027年の契約延長を球団側だけで決められる条件のままだったなら、レッドソックスが行使をためらう理由はなかっただろう。グレイは2026年、MLB最多の18勝を挙げ、29試合に先発して169回、防御率2.72を記録した。
しかし現在は、球団とグレイ双方が合意した場合だけ2027年の契約が延長される。この条件では、グレイがFA市場へ出る可能性が極めて高い。こうした双方合意による契約延長がMLBで最後に成立した例は2015年までさかのぼり、ブルワーズとアラミス・ラミレス(48)のケースだった。
グレイは37歳となる2027年も現役を続ける意向を示している。初のワールドシリーズ制覇を目指し、レッドソックスも獲得候補の中心になるとみられる。一方、テネシー州の自宅により近い球団を希望するとの見方もある。
クレイ・ホームズ(33)、右投手、カブス
契約状況:2027年は年俸1200万ドル(約18億9500万円)。ホームズ側に契約を解除してFAになれる権利
メッツは2024年シーズン後、ホームズと3年総額3800万ドル(約60億200万円)で契約した。リリーフとしてキャリアを築いてきた右腕を先発へ転向させる構想で2025年は165回2/3を投げて防御率3.53と成功を収めた。
2026年序盤もメッツで数少ない明るい材料となり、最初の8先発で防御率1.86。しかし9度目の登板で打球を右脚に受けて骨折し、2カ月以上にわたって負傷者リスト入りした。復帰時にはカブスへトレードされており、シーズン終盤はシカゴで9試合に先発して防御率4.25だった。
負傷による離脱がありながら、ホームズは先発として計算できる実績を残した。先発投手を必要とする球団は多く、ホームズは最終年の年俸1200万ドル(約18億9500万円)を放棄できる権利を行使し、FAになることが確実視されている。33歳で、先発投手として実績を築いた立場では初めてFA市場へ出ることになる。
また、シーズン途中にトレードされたため、ホームズはクオリファイング・オファーの対象外。獲得球団はドラフト指名権などの補償を失わずに契約できる。
マイケル・キング(31)、右投手、パドレス
契約状況:2027年はキング側に年俸2800万ドル(約44億2300万円)で契約を継続できる選択権。行使しない場合は500万ドル(約7億9000万円)を受け取る。2028年もキング側に年俸3000万ドル(約47億3800万円)で契約を継続できる選択権
キングは2025年、15先発で73回1/3の登板にとどまった。その後、昨オフにパドレスと3年総額7500万ドル(約118億4600万円)で契約。2027、28年について、自ら契約継続を選べる権利を盛り込んだ。
2026年は健康な状態でシーズンを完走し、32試合に先発。自己最多の185回を投げ、防御率3.21を記録し、健康面と耐久性への懸念を払拭した。
ポストシーズンでもFA市場へ向けた評価をさらに高めた。カブスとのナ・リーグ・ワイルドカードシリーズ第1戦では7回無失点で勝利に貢献。ブルワーズとの地区シリーズ第2戦でも5回1失点に抑えた。さらに2日後の第3戦ではリリーフで2回を投げ、守護神ミラーが第1子誕生のためチームを離れていた中、自身初のポストシーズンセーブを挙げた。
今オフのFA市場ではタリク・スクーバル(29)が最大の目玉となる。その一方、キングも2027年の契約を自ら継続できる権利を行使せず、再びFA市場へ出るとの見方が強い。先発陣の上位を任せられる投手を探す球団から、高い関心を集めるだろう。パドレスはキングとリリーフのエイドリアン・モレホン(27)の残留を目指すとみられるものの、両投手をともに引き留めるのは難しそうだ。
ニック・ピベッタ(33)、右投手、パドレス
契約状況:2027年は球団側に年俸1400万ドル(約22億1100万円)で契約を1年延長できる選択権。球団が延長した場合、2028年はピベッタ側に年俸1800万ドル(約28億4300万円)で契約を継続できる選択権
ピベッタはレッドソックス時代の2021~24年に防御率4点台が続いた後、2025年シーズン前にパドレスと4年総額5500万ドル(約86億8700万円)で契約した。当初は2027年に年俸1400万ドル(約22億1100万円)、2028年に1800万ドル(約28億4300万円)で、いずれもピベッタ側が契約継続を選べる条件だった。しかし右肘屈筋の負傷で130日以上連続して負傷者リスト入りしたため、2027年については球団側が契約延長を判断する条件へ変更された。
2025年は181回2/3を投げて防御率2.87。しかし、2026年は右肘の負傷で約5カ月離脱し、8先発、34回2/3にとどまった。登板時は防御率2.86と好投したものの、長期離脱を踏まえ、パドレスは2027年の契約を延長するか慎重に判断することになる。
さらに2028年の契約は複雑だ。パドレスが2027年の契約延長を選んだ場合、ピベッタは2028年も年俸1800万ドル(約28億4300万円)で残留できる権利を維持する。実質的には2年総額3200万ドル(約50億5400万円)の契約になる可能性がある。右肘の状態を考慮し、両者が新たな契約条件を交渉する選択肢もある。ピベッタは9月に復帰して4試合に先発し、18回2/3を投げた。ポストシーズンでも2試合に先発し、計7回2/3を投げた。
キングとピベッタの決断次第で、2027年のパドレス先発陣は大きく変わる可能性がある。ランディ・バスケス(27)は残留予定。一方、ジョー・マスグローブ(33)はトミー・ジョン手術からの復帰途上で、ダルビッシュ有(40)も昨年受けた右肘手術の影響から今後が不透明だ。ケーシー・マイズ(29)、ロビー・レイ(35)、ウォーカー・ビューラー(32)、ルーカス・ジオリト(32)、グリフィン・キャニング(30)はFAになる予定となっている。
ドリュー・ラスムセン(31)、右投手、レイズ
契約状況:2027年は球団側に年俸2000万ドル(約31億5900万円)で契約を1年延長できる選択権
ラスムセンは、レイズと結んだ2年総額850万ドル(約13億4300万円)の契約延長を今季で満了した。この契約は年俸調停権を持つ最後の2年間をカバーする内容で、2027年には当初800万ドル(約12億6400万円)で球団側が契約を延長できる条項が付いていた。
その金額は、今季の先発試合数と負傷者リスト入りしなかった期間に応じて2000万ドル(約31億5900万円)まで上昇した。
2026年は自己最高のシーズンを送り、30試合に先発して16勝5敗、防御率2.67。自己最多の172回を投げた。2021年にウィリー・アダメスを含むトレードでレイズへ移籍して以降は133試合に登板し、111先発、防御率2.71。右肘手術の影響で2023、24年には離脱期間もあった。
一見すると、ラスムセンほどの投手に年俸2000万ドル(約31億5900万円)を支払う契約は十分に妥当だ。ただし、レイズにとって2000万ドルは球団史上例のない金額となる。
レイズ史上最高の単年年俸は、チャーリー・モートン(42)が2019年シーズン前に結んだ2年総額3000万ドル(約47億3800万円)の契約による1500万ドル(約23億6900万円)。2019、20年に同額を受け取った。レイズで1シーズン1000万ドル(約15億7900万円)以上を受け取った選手は過去7人しかおらず、ラスムセンに2000万ドルを支払えば、これまでの球団方針から大きく踏み出すことになる。
レイズはこれまで、年俸が1000万ドル台に達する選手をトレードに出すケースが多かった。2027年の契約延長を球団側が選ぶ可能性は非常に高いものの、そのまま先発陣に残すのか、より若く年俸を抑えられる選手との交換を狙うのか、注目される。
投手コーチのカイル・スナイダー(49)は、ラスムセンを「球界で最も過小評価されている投手」と評し、練習への取り組みについても「球界の基準」と絶賛している。レイズが例外的に大きな金額を投じる選手となる可能性もある。
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