FA市場の目玉、アロンソはどのチームにフィットする?

November 17th, 2025

2025年シーズンが終わり、ストーブリーグが本格化する中、今オフにFAとなる注目選手の一部を詳しく見ていく。

  • ピート・アロンソ
  • ポジション:一塁手
  • 所属:ニューヨーク・メッツ
  • 2026年開幕時の年齢:31歳
  • 2025年成績:162試合、打率.272、出塁率.347、長打率.524、OPS .871、38本塁打、126打点、87得点、OPS+ 144、WAR 3.6(ファングラフス)
  • クオリファイング・オファー:なし

ピート・アロンソにとって2度目のFAとなる今オフは、1度目よりも有利な状況となっている。

もちろん1歳年を重ねたが、2025年シーズンはより生産的だった。今回はクオリファイング・オファー(QO)が付かないため、昨年より多くの球団が獲得に乗り出す可能性が高い。2024年は34本塁打、88打点、OPS .788だったが、今年は38本塁打、126打点、OPS .871と巻き返した。

「アロンソは昨オフと比べて明らかに良い立場にいる。問題は、それがどの程度のものかだ」と、あるナ・リーグ幹部は語る。

アロンソは2025年開幕前にメッツと2年5400万ドル(約79億円)の契約を結んだが、2年目2400万ドル(約35億円)のオプトアウトを行使し、昨冬に手に入らなかった長期契約を求めて再びFA市場へ戻ってきた。昨オフにアロンソを検討した複数の球団が再び興味を示す可能性があり、今季の成績向上とQOなしという条件もあって、より有利な位置にいる。

「QOが付かないのは彼にとって非常に大きい。昨年は獲得をためらった球団も、今年は考えを変えるかもしれない」とア・リーグ幹部は語る。

以下では、アロンソの今オフの動向を見ていく。

候補球団

メッツ

アロンソは7年間のキャリアですべてメッツのユニフォームを着てきた。今季、球団の通算本塁打記録を更新したこともあり、ファンからの支持は依然として厚い。すでにメッツと代理人スコット・ボラスは話し合いを始めているが、デイビッド・スターンズ編成本部長がアロンソの希望する長期契約を提示する意思があるかは不透明。特にマーク・ビエントスが一塁の後継候補として台頭している状況も影響する。

レッドソックス

昨年ラファエル・デバースをトレードし、大きな年俸枠を空けた。アレックス・ブレグマンが再びFA市場に戻ったことで、ボストンにはもう1人(あるいは複数)のスター選手を獲得する余地がある。ブレグマンが残留すればアロンソ獲得の可能性は下がるが、一塁の長打力強化は依然として課題であり、アロンソは最有力候補の一人だ。

オリオールズ

今オフは先発投手の補強が最優先だが、長打力のある打者の獲得も検討している。ライアン・マウントキャッスルは来年がFA前最後の年であり、サミュエル・バサヨが一塁とDHを兼任する予定だが、アロンソと併用することで2人の打力を最大限活用できる。

フィリーズ

最優先事項はカイル・シュワーバーの再契約だが、ナ・リーグMVP投票2位の大砲を失えば、その代役としてアロンソ獲得へ動く可能性がある。アロンソを加える場合は、ブライス・ハーパーを再び右翼へ戻すか、アロンソとハーパーの一塁/DH併用になるだろう。

ナショナルズ

唯一、近年ポストシーズンに出ていない球団で、最後の出場は2019年の世界一の年だ。若いコア選手は揃っているが、次の段階へ進むためにはベテランスターが不可欠だろう。昨季、ナショナルズの一塁手はOPS .680とリーグ平均より79ポイント低く、得点力はナ・リーグ13位(687得点)にとどまった。

幹部の見解

「昨年と似た市場になると思うが、昨オフより大砲タイプの選手が少ないため、彼の要求に応じる球団は増えるかもしれない。年齢は1つ上がったが、キャリアを重ねながら成績を残しており、この1年は良い方にも悪い方にも働き得る。最終的には昨年より良い契約になると予想されるが、どの程度の差が出るかは読みづらい。」

注意点

最大の魅力は圧倒的な長打力で、複数球団が興味を示す要因だ。また非常に頑丈で、2023年以降1試合も欠場しておらず、7年間で欠場はわずか24試合。一方で、守備面には懸念がある。アロンソは過去2年連続でOAAが-9で、キャリアでプラス評価を記録したのは2021年の一度だけ。DHの出場を増やす意向があることは、FA市場での評価を高める可能性がある。

比較対象

今オフの市場には優れた選手が複数存在するが、アロンソとカイル・シュワーバーは唯一の一流パワーヒッター。QOが付かないことで、アロンソは最低でも2年以上の契約を得る可能性が高いが、どこまで長期になるかは不透明だ。2019年以降、5年以上の契約を得た一塁手は4人のみで、そのうち4人は延長契約であった。唯一の例外は2022年にドジャースと6年1億6200万ドル(約237億円)で契約したフレディ・フリーマンで、年間平均額2700万ドル(約39億円)は昨オフにアロンソがメッツと結んだ契約と同額だった。