【マーリンズ1−2カブス】シカゴ/リグレーフィールド 9月24日(日本時間25日)
ピート・クロウ=アームストロングが、また一つ歴史を塗り替えた。今季、数々の記録を打ち立ててきたカブスの中堅手が24日(日本時間25日)、本拠地で行われたマーリンズ戦で40盗塁に到達。45本塁打で本塁打数はクリアしており、40盗塁で史上7人目となる「40本塁打・40盗塁」の偉業を達成。これはカブスでは球団史上初めての快挙だ。
カブスはこの日、マーリンズを下してプレーオフ進出を決定。節目の瞬間は、いかにもクロウ=アームストロングらしい形で訪れた。
初回、先頭打者として四球を選ぶと、続く鈴木誠也への初球でスタート。マーリンズの右腕タイラー・フィリップスが投球するのとほぼ同時に走り出し、二塁手ジャレッド・セルナのタッチよりも先に二塁へ滑り込んだ。
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「近い将来にMVPに輝くピート・クロウ=アームストロングが40-40を達成!」
球場実況がそう告げると、スタンドは大歓声に包まれた。
クロウ=アームストロングは立ち上がると、すぐに空を指差した。大型ビジョンには「40-40」の文字が浮かび、ヘルメットを掲げてファンに応える。外野席には「M-V-Pete」と書かれた旗も揺れた。大歓声が鳴り響く中、クロウ=アームストロングは胸に手を当て、何度もスタンドに向かって感謝を示した。
「正直、センターに向かって走っているとき、かなり感情が込み上げてきた。きょうは旗もたくさんあって、本当に圧倒された」
40-40という数字は、今季のクロウ=アームストロングを象徴する一つの到達点にすぎない。パワーとスピードに加え、中堅守備でも卓越したプレーを続け、走攻守のすべてでチームを支えてきた。カブスのクレイグ・カウンセル監督は今季の活躍を「いつかファンが自分の孫たちにまで語り継ぐようなシーズン」と表現していた。
「最近になって、みんながどれだけ40-40を楽しみに待ち望んでいるのか感じるようになった。もちろん、僕自身も達成したかった。素晴らしい選手たちと同じ話題の中に入ることも目標だった」
そう話した上で、クロウ=アームストロングは続けた。
「でも、毎日球場に来て、塁を一つ進めることがチームの助けになるなら、それをやろうと思っていた。今季はずっと、そういう考え方でプレーしてきた」
その姿勢こそが、今季の飛躍を支えている。40-40の達成でクロウ=アームストロングはメジャー史上でも極めて限られた選手だけが名を連ねる仲間入りを果たした。
大谷翔平が2024年に記録した54本塁打、59盗塁をはじめ、ロナルド・アクーニャJr.(2023年、41本塁打・73盗塁)、アルフォンソ・ソリアーノ(2006年、46本塁打・41盗塁)、アレックス・ロドリゲス(1998年、42本塁打・46盗塁)、バリー・ボンズ(1996年、42本塁打・40盗塁)、ホセ・カンセコ(1988年、42本塁打・40盗塁)に続く史上7人目となる。
「本当にすごい。そもそも、この記録を狙える選手自体がほとんどいない。史上7人目なんだからね。これまでの名前を見ても、本当にすごい選手ばかりだ」と、カブスのジェド・ホイヤー編成本部長も称賛を惜しまなかった。
今季、クロウ=アームストロングの名前はいつも球場で響き渡った。メジャー昇格直後から、ファンは「PCA」と頭文字を取ったチャントで声援を送ってきた。2023年のメジャーデビュー戦、敵地コロラド州デンバーのクアーズフィールドでも「P-C-A」の声が響いた。その後、敵地でも徐々に広がり、昨年の東京ドームで行われた開幕シリーズでも大きな声援が送られた。
今季はその「PCA」コールが、いつしか「MVP」へと変わった。打席に立てば声援が飛び、盗塁を決めれば歓声が沸く。中堅で躍動感あふれるプレーを見せても、スタンドが揺れる。
「彼がメジャーに入ってから、これほど名前をチャントされる選手は見たことがない。本当にすごいことだよ。あれだけの声援を受けながら、普段通りにプレーするのは大変なことだと思う」
カウンセル監督はそう語った。
クロウ=アームストロングはすでに、カブス史上初となる「40本塁打・30盗塁」も達成している。30本塁打・30盗塁の「30-30」は、サミー・ソーサに続く球団史上2人目で、昨季に続いて2年連続。さらに30二塁打も加え、カブス史上初めて「30本塁打・30盗塁・30二塁打」を2度記録した選手にもなった。
今季45本塁打は、球団史上でも屈指の数字だ。45本以上を放ったカブスの選手は、ソーサ、アーニー・バンクス、ハック・ウィルソン、アンドレ・ドーソン、デーブ・キングマン、デレク・リーに続いて7人目。2005年にリーが46本を放って以来、20年ぶりとなる。さらに左打者としては、1970年にビリー・ウィリアムズが記録した42本塁打を抜き、球団新記録を樹立した。
ここまでの活躍を目の当たりにしてきたホイヤー編成本部長は、「私がこれまでのキャリアで見てきた中で、最高の野手シーズンで、MVP、ハンク・アーロン賞、プラチナ・グラブ賞も獲るだろう。私にとっては、どんな三冠王の話よりもすごいことだ」と最大限の賛辞を送る。
カウンセル監督にとっても、クロウ=アームストロングの今季は特別なものになっている。
「私はもう、一人のファンみたいなものだよ。もちろん自分もその一部だけど、ただ一緒になって楽しんでいるんだと思う。こういう瞬間こそ、この仕事をしていて記憶に残るものだからね。彼は今年、僕たち全員にそんな瞬間をたくさん与えてくれている」
40-40は、クロウ=アームストロングにとって一つの節目だ。だが、今季の彼が残してきた足跡を振り返れば、それはこの特別なシーズンを彩る、数ある記録の一つにすぎない。
