ピート・クロウ=アームストロングとメイシン・ウィンがマウンドに立ち、継投によるノーヒットノーラン。そして捕手として投球を受けるのは、ポール・スキーンズ。これは決して異世界の話ではない。
カブスの中堅手、カージナルスの遊撃手、そしてパイレーツのエース右腕――それぞれがメジャーで名を刻むはるか前、3人はアメリカ代表U-12の仲間だった。
2014年、メキシコで開催されたCOPABEパンアメリカン選手権。12歳以下代表として銀メダルを獲得したその大会で、クロウ=アームストロングとウィンは継投によるノーヒットノーランを達成した。そして、その快挙を陰で支えていたのが、マスクをかぶったスキーンズだった。
「メイシンは間違いなくあの中で一番の投手だった。あの試合はたしか自分が先発したと思う。確かコールドゲームにしたのは覚えている。でも一番クールだったのは、捕手がポール・スキーンズだったことだ。あのひょろっとした大きな体は、今みたいな“怪物”になり始めていた」とPCAは語る。
「いま思えば、本当に特別なことだったよ」
ワールドベースボールクラシック(WBC)で再びクロウ=アームストロングとチームメートになるスキーンズも、その記憶を共有している。
2026年ワールドベースボールクラシック
「当時は彼が投手で、打席に立っていたかどうかも覚えていない。ただ、自分は投げていなかった。時間が経つにつれて、立場が入れ替わった感じだね」とスキーンズは語る。
ルイジアナ州立大、そしてピッツバーグで圧倒的な投球を続けてきたスキーンズを知るファンにとって、かつて彼がチームのエースではなかった時代があったとは想像しにくいだろう。だが高校までは専任の投手ですらなかった。実際、大学入学当初は投手よりも捕手としての評価のほうが高かったという。
もしそのままマスクをかぶり続けていたら。いま世界中の打者たちは、そんな“もう一つの未来”を思わずにはいられないかもしれない。
