マーリンズは重要な場面を任せられるリリーバーを見つけた。24日(日本時間25日)、右腕ピート・フェアバンクスと1年1300万ドル(約20億2800万円)の契約で合意に達した。関係者がMLB.comに明かした。
関係者によると、フェアバンクスの契約には100万ドル(約1億5600万円)の契約金に加え、登板数に応じた100万ドルのインセンティブが含まれている。また、トレードされた場合の獲得ボーナス50万ドル(約7800万円)もある。球団はまだ正式発表しておらず、身体検査の結果待ちだ。
この合意は、今オフに単年契約を狙うマイアミの方針に合致する。また、マーリンズが救援投手に提示した年俸としては過去最高額となり、ヒース・ベルが2012年から14年の3年2700万ドル(約42億1200万円)契約で得た平均900万ドル(約14億400万円)を上回る。フェアバンクスは、一塁手のクリストファー・モレルに続き、今オフにマイアミと合意した2人目のFA選手となった。
このニュースが報じられたのは、マイアミが勝ちパターン継投のロニー・エンリケスについて、ハイブリッド式のトミー・ジョン手術(インターナルブレース術併用)を受けるため2026年シーズンを全休すると発表してから、2日も経過していないタイミングだった。マーリンズはそれ以前から、防御率(4.28)でメジャー22位、9イニングあたりの奪三振数(8.21)で25位に終わった救援陣を改善すべく、FAのリリーフ市場で動いていた。
フェアバンクスは、マーリンズのピーター・ベンディックス編成本部長と再会することになる。ベンディックス本部長は、2023年11月にマイアミでの職に就くまで、レイズのフロントオフィスの一員だった。
マーリンズは2025年、確立したクローザーを置かず、相性や打順の巡り合わせに応じた起用を行い、日替わりで試合を締めてきた。フェアバンクスは、こうした役割にも、より伝統的な役割にも適合するだろう。他の選択肢には、右腕のアンソニー・ベンダー、カルビン・フォーシェイ、タイラー・フィリップスがいる。
フェアバンクスは32歳を迎えるシーズンを前にレイズが2026年の1100万ドル(約17億1600万円)のオプション(契約延長権)を破棄し、100万ドル(約1億5600万円)のバイアウト(契約解除料)を支払ったことで、初めてFAとなった。この決断により、タンパベイでの成功した日々に幕が下ろされた。3シーズン連続で23セーブ以上を挙げ、球団史上3位の90セーブ、同4位の267登板を残してレイズを去った。
フェアバンクスは2015年のドラフト9巡目でミズーリ大からレンジャーズに入団。2019年にレンジャーズで投げた後、同年7月にレイズへトレードされた。翌シーズンまでにはリリーフ投手の主力として定着し、チームのワールドシリーズ進出に貢献した。2020年から25年にかけて254試合に登板し、88セーブ、防御率2.87をマーク。9イニングあたり11.2個の三振を奪い、対戦相手のOPSをわずか.584に抑えた。
レイズ時代のフェアバンクスにとって最大の問題は、健康維持だった。2021年から24年までは毎シーズン負傷者リスト入りしたが、今季はそれを回避し、キャリアハイとなる61試合登板、60回1/3をマークした。
2025年も防御率2.83、32回のセーブ機会で27セーブを挙げるなど活躍したが、数字の裏には懸念すべき兆候もあった。2023年から25年にかけて、奪三振率は37.0%(メジャー屈指の数字)から24.2%(リーグ平均をわずか2ポイント上回る数字)まで低下した。
一方で、チェイス率(ボールゾーンでスイングを誘う率)、空振り率、奪三振率が平凡な数字にとどまったものの、エリート級の平均球速(97.3マイル=156.6キロ)は維持しており、痛打を抑える能力(バレル率=長打になりやすい打球初速と打球角度は上位7%)にも長けていた。力強いフォーシームに加え、三振を奪う最高の球であるスライダーを多用し、チェンジアップやカットボールも交える。

