【フィリーズ4−3ブレーブス】アトランタ/トゥルイストパーク 9月30日(日本時間10月1日)
ブライス・ハーパーは右翼で、ひとりうずくまっていた。
七回2死。フィリーズのドン・マッティングリー監督代行がクリストファー・サンチェスの交代を告げるためマウンドへ向かう中、ハーパーは帽子を脱ぎ、しゃがみ込んだ。
直前にハーパーが、ライトフライを捕球ミスしたことをきっかけに、ブレーブスに勝ち越しの2点が入った。ガンズ・アンド・ローゼズの曲が球場に響き、ブレーブスファンの大歓声が沸き起こる。フィリーズはあとアウト6つでシーズン終了という崖っぷちに追い込まれた。
しかし、そこから試合は大きく動いた。七回にブレーブスが勝ち越した直後の八回。カイル・シュワーバーとハーパーが2者連続本塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。
シュワーバーはディラン・リーの3―2からのスライダーを捉え、推定447フィート(約136メートル)の一発。右翼手ロナルド・アクーニャJr.は打球がスタンドへ吸い込まれるのを黙って見送ると、続くハーパーもカウント1−1からのスライダーを右翼席へ運び、自らの手で試合を振り出しに戻した。
七回の悪夢の守備からわずか数分。シーズン終了の危機に直面していたフィリーズが、再び息を吹き返した。
延長十回、決着をつけたのはアレック・ボームだった。
ボームが勝ち越しソロ本塁打をライトへ叩き込むと、ブレーブスファンから大きな溜息が漏れた。今季開幕戦以来となる逆方向への一発で、フィリーズの選手は球団史上4人目となるポストシーズンの延長回に勝ち越し本塁打。1981年地区シリーズのジョージ・ブコビッチ、1993年地区シリーズのレニー・ダイクストラ、2022年ワールドシリーズのJ.T.リアルミュートに続く記録となった。
ボームにとっても、七回の守備で犯したミスを取り返す一打でもあった。七回、マウンド付近へのバントを処理した際、二塁の走者を刺そうとして送球したものの、走者を刺せず。その瞬間、捕手のリアルミュートは本塁後方で両手を上げた。
守備のミスをしたハーパーとボームが自らのバットで取り返した。
そして最後を締めたのは、ルーキー右腕アンドリュー・ペインターだった。キャリアで初めて本格的にリリーフとして登板し、最終3イニングを無失点。10回2死一、二塁のピンチも切り抜け、フィリーズのシーズンをつないだ。
リアルミュートがABSの判定にチャレンジし、ドミニク・スミスの三振が認められて試合終了。フィリーズにとっては劇的な終わり方だった。
フィリーズは延長十回の末に4―3で勝利。対戦成績を1勝1敗とし、シリーズを第3戦へ持ち込んだ。
