ジャッジの再来? 元中日ブランコの息子が父譲りのパワーで活躍中

トニー・ブランコJr.がアリゾナ秋季リーグで大活躍

November 8th, 2025

トニー・ブランコJr.は確かにそれらしく見える。身長6フィート7インチ(201センチ)、体重243ポンド(110キロ)の大きな体に背番号は99。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)を彷彿とさせるが、ジャッジではない。ブランコJr.が打席に入ると、まるで「ボールの皮をえぐるほどかっ飛ばす」という古い格言を体現しているかのようだ。そしてボールがバットに当たると、どんなレベルの打者でもほとんど出せないような音が鳴り響く。

パイレーツ傘下に所属する20歳のブランコJr.は、有望株の見本市とされる「アリゾナ・フォール(秋季)リーグ」に参加している。2週目では464フィート(141メートル)の特大弾と、打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打を連日放ち、持ち前のパワーを発揮した。

「野球のプレーだけでなく、ブランコJr.は素晴らしい人間で、一生懸命努力するいい子だ。彼の才能は本当に大きい。勤勉さも並外れている。毎日準備万端で球場にやって来ますし、特にリーグの中でも若い選手の一人であることを考えると、この瞬間は彼にとって大きすぎるものではないと思う」と、ブランコJr.が所属するソルトリバ・ラフターズのエリック・パターソン監督(パイレーツ3Aのベンチコーチ)は語った。

ブランコの飛距離は間違いなく驚異的だ。しかし、この20歳(リーグでも8番目に若い)を特に稀有な存在にしているのは、打球速度だ。10月17日に放った打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打によって、スタットキャスト導入(2015年)以降で打球初速120.4マイル以上の打球を放ったわずか7人の打者の1人となった。

  • ジャンカルロ・スタントン(16本)
  • オニール・クルーズ(6本)
  • アーロン・ジャッジ
  • ブラディミール・ゲレーロJr.
  • ロナルド・アクーニャJr.
  • ゲーリー・サンチェス

上記の6人の強打者は全員がアリゾナ・フォールリーグを経験している。

ブランコJr.はわずか45打席(68位)にしか立っていないが、打球速度ランキング上位50位のうち、他のどの選手よりも多い5本のランクインを誇っている。レギュラーシーズンでも1Aブラデントンでリーグの打球速度ランキングの上位6位の打球すべてをブランコJr.が記録していた。

パイレーツで同僚の有望株エズメルリン・バルデスは「すごいよ」と、ブランコJr.のパワーを簡潔に称賛した。

現役時代にはエイドリアン・ベルトレ、デービッド・オルティス、フランク・トーマスらの殿堂入り選手とプレーしたパターソン監督も「バットの音が違う」と語る。

「打った時は、何も感じない。手には何も感じない。ただ打ったという感覚だけで、それだけなんだ」とブランコJr.は涼しい顔だ。

ブランコJr.のパワーの秘密の一つには優秀なDNAもある。父トニー・ブランコは20年前にアリゾナ・フォールリーグに参加した有望株で、2008年から日本球界へ移籍。日本で大砲としてのキャリアを築き上げた。

しかし、父は4月にドミニカ共和国で事故によって他界。今季の前半戦はケガに苦しむなど、試練も味わった。

2005年に父が成し遂げたようにメジャーリーグに昇格し、そして父も成し遂げられなかったメジャーの舞台で活躍するという究極の目標のためには、パワーだけでは足りないとブランコJr.は自覚している。マイナーでの通算打席数は362で、好成績を残しているもののまだ技術は未熟だ。

「どんな球種でも打てる練習に集中している。今年の初めは少し苦労したから、神様にとても感謝している。でも、今はうまくいっている」とブランコJr.。

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「ブランコJr.は自由にプレーしていて、思い切り打つことを恐れない。明らかに驚異的なパワーのポテンシャルがある。でも、本当に良い打者になる可能性もあると思う。ホームランだけじゃない。完璧な打者になる可能性もあると思う」と、パターソン監督は将来に大きな期待を寄せる。

結局、プロスペクトが秋季リーグに選出されるのはそのためだ。マイナーの下部でプレーした打者は、レギュラーシーズンで直面するよりも、球速が速く、変化球が鋭く、そして打席で相手を攻めるための総合的なアプローチが優れている上位レベルの投手と対戦することになる。ブランコは、対戦してきた投手陣に感銘を受けていると述べている。その投球を次々と打ち返してきたにもかかわらずだ。

前述の464フィート(141メートル)の本塁打は、ストライクにはならないはずのスライダーを左中間まで引っ張って打ったものだった。これは一つの結果に過ぎないが、パイレーツのNo.30有望株である大砲の未来を暗示している。

「彼は自分が何をしているのか、本当によく分かっている。もちろん、微調整が必​​要な部分はあるが、間違いなく正しい方向に進んでいる」とパターソン監督は語った。