アストロズのオーナー、ジム・クレイン氏(72)が15年前に球団を買収した後、最初のGM人事で選んだ人物もカージナルス出身の球団幹部だった。その人事は大成功につながった。セントルイスで育ち、旧ブッシュスタジアムで駐車係として働いた経験を持つクレイン氏は、カージナルスのフロントからジェフ・ルーノウ氏(60)を引き抜いた。ルーノウ氏はその後、ヒューストンに黄金時代を築いた。
クレイン氏はアストロズのオーナーとして4人目となるGM選びでも、セントルイスとの縁に目を向けた。球団は30日(日本時間31日)、カージナルスのGM補佐だったランディ・フローレス氏(51)を新GMに迎えると発表した。フローレス氏は11月2日にダイキンパークで記者会見に臨む。
アストロズが前GMのダナ・ブラウン氏(59)が球団を離れたから2カ月余り。ブラウン氏は就任4季目だった。今季のアストロズは10年間で8度目となるア・リーグ西地区優勝を果たしたものの、成績は81勝81敗。戦力構成には多くの課題が残り、球団の今後には不透明感が漂っている。
現役時代に左腕としてカージナルス、ロッキーズ、レンジャーズ、ツインズで通算350試合に登板したフローレス氏は、2015年にスカウト部門の責任者としてカージナルスのフロント入り。2019年から8シーズン、GM補佐を務めた。
「ランディはこの10シーズン、カージナルスに非常に大きな影響を与えてきた」とクレイン氏は声明で述べた。
「面接の全過程を通じて、ランディと、スカウトや選手獲得に関する彼の経歴には強い印象を受けた。ランディと家族をアストロズに迎えられてうれしい。ヒューストンに再び優勝をもたらすため、仕事を始めるのを楽しみにしている」
フローレス氏が最初に取り組む仕事は、3シーズン指揮した後に契約を更新されなかったジョー・エスパーダ前監督(51)の後任探しだ。ベンチコーチを含め、コーチ陣にも複数の空席がある。
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現役引退後、フローレス氏は母校USC(南カリフォルニア大学)に戻り、2014年に高等教育行政学の修士号を取得した。大学院在学中には2013年にUSCの投手コーチを務め、ESPNとPac-12 Networksで大学野球の解説にも携わった。さらにスポーツ映像技術の会社を設立した。
「この素晴らしい機会に興奮し、感謝している」とフローレス氏は声明でコメントした。
「ジム・クレインの下、アストロズは長年にわたって勝ち続けてきた。その成功に貢献できることを楽しみにしている。次の章へ進む機会を与えてくれたカージナルス球団の支援に感謝したい。家族とともにヒューストンを新しい生活の拠点にできることを楽しみにしている」
ルーノウ氏はアストロズを再建し、ワールドシリーズ制覇へ導いた。ヒューストンはその4年前まで3年連続100敗を喫していた。球界史上でも最も徹底した再建策の一つとして、主力を次々に放出し、戦力を大幅に入れ替えた結果でもあった。
その後、育成したスター選手を中心に強豪へ変貌。ア・リーグ優勝決定シリーズへ7年連続で進出し、リーグ優勝4度、2017年と22年のワールドシリーズ制覇を成し遂げた。
ただ、2022年に106勝56敗でフィリーズに勝ってワールドシリーズを制して以降、アストロズの勝利数は毎年減少している。今季は勝率5割でも低調な地区を制するには十分だった。優勝を支えた主力の一部を引き留められず、傘下マイナーからも2010年代後半のように一線級の戦力を継続的に送り出せていない。
球団は現在、一つの岐路に立っている。
今季は負傷者が相次ぎ、開幕から20勝31敗と出遅れた。それでも主力が復帰するとレンジャーズを抜き、勝率5割を超えた球団が一つもなかった地区で優勝した。一方で、戦力不足もシーズンを通して明白だった。質の高い投手の層が薄く、外野陣の戦力も十分ではなかった。傘下マイナーは改善傾向にあるものの、野手の上位有望株はまだ下位カテゴリーにいる。
クレイン氏が15年前と同じ大規模な再建に再び踏み切る可能性は低い。アストロズには、2026年ア・リーグMVP受賞が有力視されるヨルダン・アルバレス(29)、遊撃手ジェレミー・ペーニャ(29)、二塁手ホセ・アルトゥーベ(36)、守護神ジョシュ・ヘイダー(32)らスターが残る。さらに三塁手アイザック・パレデス(27)、救援右腕AJ・ブルーバー(26)、外野手キャム・スミス(23)、先発右腕ハンター・ブラウン(28)らも有力な戦力だ。
ただ、補強すべき穴は複数残っている。アストロズは2027年もポストシーズン争いを続けるため、編成のかじ取りをフローレス氏に託す。
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