【レッドソックス0-9ヤンキース】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、9月29日(日本時間30日)
初めてのポストシーズンでも、ペイトン・トールはいつも通り全力で野球を楽しんだ。
ア・リーグのワイルドカードシリーズ第1戦。レッドソックスの先発を任された23歳の新人左腕は、4回2/3を投げて5安打1失点、1四球、4三振と粘りの投球を見せた。結果としては完敗となり、トールにも黒星がついたが、初の大舞台での投球は、多くの野球ファンを楽しませた。
球界屈指のエンターテイナーは試合前からファンの注目を集めていた。MLB公式もXで、トールを紹介する映像とともに「ペイトン・トールが映ると、笑顔にならずにはいられない」と投稿。宿敵との決戦を前にしても、左腕を語るうえで欠かせないのは、いつもの笑顔だった。
もちろん、その人柄だけが魅力ではない。MLBのサラ・ラングス氏によると、この日のトールは23歳332日。その年のポストシーズンの初戦に先発したレッドソックスの投手として、球団史上3番目の若さだった。上にいる投手は、1912年のワールドシリーズ第1戦に登板したスモーキー・ジョー・ウッド(22歳349日)と、1918年の同第1戦に登板したベーブ・ルース(23歳211日)だけだ。
初回は1死からベン・ライスに二塁打を許したが、後続を抑えて無失点。二回にはオースティン・ウェルズの適時打で先制されたものの、追加点は与えなかった。続く三回はライス、エリオット・ラモスを連続三振に仕留め、三者凡退。失点した直後に、きっちりと立て直した。
トールらしさは、四回のピンチを切り抜けた場面だ。安打と四球で無死一、二塁とされたが、アンソニー・ボルピーを打ち取ると、続くスペンサー・ジョーンズのライナーを三塁手ケイレブ・ダービンが捕球し、二塁へ送球。飛び出した走者もアウトとなり、併殺でイニングが終わった。味方の守備に救われたトールは、喜びをあらわにした。
五回も先頭から2人を打ち取り、83球で交代。マウンドを降りた時点で、スコアは0-1だった。五回を投げ切ることはできなかったが、敵地で試合を接戦に保ち、打線の反撃を待てる状況をつくった。
初のポストシーズン登板は、勝利では飾れなかった。それでも、笑顔の通常運転で、大舞台にも向き合う。レッドソックスにとって厳しい敗戦の夜に、トールはこれからを期待させる存在感を示した。