打席に立つ男とマウンドに立つ男、数々の栄誉を勝ち取った2人が対戦した。
大谷翔平 vs マックス・シャーザー。3度のMVP受賞者と3度のサイ・ヤング賞受賞者がワールドシリーズで対決するのは、2009年のペドロ・マルティネス対アレックス・ロドリゲス以来のことだ。
軍配は大谷に上がった。
大谷は初回に先頭打者として二塁打を放ち、三回にはソロ本塁打を放った。その1イニング前にはテオスカー・ヘルナンデスも本塁打を放っており、ドジャースに先制点をもたらしていた。
テオスカーは打った瞬間に確信した様子で、派手なバットフリップを見せた。一方、大谷は自らの打球がライトスタンドの角に消えていくのを静かに見届けた。
おそらく、もう少し飛ぶと思っていたのだろう。
大谷が本拠地でプレーした前回の試合は、野球史に残る圧巻のパフォーマンスを見せたあのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦。3本塁打のうちの1本はライトスタンドの屋根を越える場外弾。左打者として球場を完全に超える一打を放ったのは史上3人目だった。
この日の一打はスタットキャストによる推定飛距離389フィート(約118.6メートル)と控えめだったが、価値は同じだ。
大谷はこれで止まらなかった。
五回には、キケ・ヘルナンデスをかえすタイムリー二塁打を放つと、4-5で迎えた七回には左中間へ同点ソロ本塁打を放った。タイムリー二塁打は2番手メイソン・フルハーティから、2本目のソロは4番手セランソニー・ドミンゲスから放った。
これで今ポストシーズン8本塁打となり、2020年にコーリー・シーガーが記録した球団最多記録に並んだ。また、MLB.comのサラ・ラングスによれば、ワールドシリーズで1試合で4本の長打を放ったのは、1906年のフランク・イスベル以来で、同一ポストシーズンでの3試合マルチ本塁打は史上初めてとなった。
