【ドジャース5-4ブルージェイズ】トロント/ロジャースセンター、11月1日(日本時間11月2日)
なんという第7戦、そしてなんというワールドシリーズだろう。
ドジャースが再び王者に輝いた。そして今回は、信じられないほど劇的な勝利だった。九回にミゲル・ロハスが同点本塁打、延長11回にはウィル・スミスが決勝弾を放った。
ここでは、延長11回の決戦から見えた4つのポイントを振り返る。
1. 語り継がれる「フォール・クラシック」
これほどのシリーズはいつぶりだろうか。時代を超えて語り継がれる名勝負のひとつだったことは間違いない。
全ての試合にドラマがあった。第3戦は延長18回の末にドジャースが制し、第5戦では新人トレイ・イェサベージの快投が光った。第6戦も劇的な幕切れだった。そして、この最終戦である。
九回1死でのロハスの同点弾。11回2死からの、スミスの勝ち越し弾。そして11回裏、今PSを通してブルージェイズを牽引した、ブラディミール・ゲレーロJr.を三塁に残して、試合は幕を閉じた。
1960年、1991年、2001年、2011年。それらの名勝負と並ぶ「史上最高のシリーズ」のひとつに加わった。
2. ドジャース王朝の確立
2025年のドジャースは「優勝か、失敗か」というプレッシャーを恐れず、見事にその期待と重圧に応えた。ロサンゼルスは、1998年から2000年にかけて3連覇したヤンキース以来となる連覇チームとなった。
過去6シーズンで3度の優勝を果たし、ドジャースは今や名実ともに王朝を築き上げた。チームにはMLB屈指の才能が集い、優勝経験も十分だ。ここ2年のワールドシリーズでは、土壇場から巻き返して逆転優勝を果たしており(昨年はパドレスとの地区シリーズでも同様だった)、その勝負強さは際立っている。
2026年シーズンの本命はどのチームか。議論の余地はない。
3 .山本由伸、伝説の夜
山本由伸(27)の伝説がこれ以上大きくなることはないと誰もが思った翌日、日本人エースはドジャース史に名を刻む最高の投球を見せた。
第6戦で6回1失点と好投し、チームを救った翌日、27歳の右腕は第7戦のラスト2回2/3を無失点で締めくくった。前日に6回以上投げた翌日の試合で登板した投手は、2001年ワールドシリーズ第6、7戦で登板したランディ・ジョンソン以来の快挙だった。
そして延長11回、ブルージェイズ打線の中軸を迎え、最後はアレハンドロ・カークをショートゴロの併殺打に仕留めて試合終了。山本はドジャースに連覇をもたらす決定的な仕事でWSのMVPに輝いた。
4 .ブルージェイズを次に待つものとは
ブラディミール・ゲレーロJr.は、これから10年以上ブルージェイズの顔としてチームを支える存在だ。今季開幕前に球団史上最高額となる5億ドル(約740億円)の契約延長がそれを物語っている。
その契約は、チームにとって象徴的な年の幕開けとなった。ブルージェイズは地区優勝を果たし、ア・リーグ地区シリーズではヤンキースを撃破。続くア・リーグ優勝決定シリーズではマリナーズを相手に歴史的な激戦を制した。しかし、32年ぶりのワールドシリーズ制覇にはあと一歩届かなかった。
来年もこの舞台へ。悔しさを糧に再起を図るが、課題もある。ボー・ビシェットはFAを控え、ジョージ・スプリンガーは36歳と年齢を重ねている。ア・リーグ東地区の競争も激化する一方だ。2025年のブルージェイズの快進撃はまさに「奇跡のシーズン」だった。これは終焉なのか、それとも新たな黄金時代の始まりなのか。

