毎年、FA市場の選手を単純な順位ではなく「5段階」で分類して紹介している。2023年・2024年はレベル5に大谷翔平やフアン・ソトといった「超最上位グループ選手」がいた。今年は同格のスーパースターはいないものの、層の厚みは増しており、各球団の選択肢は広がっている。
以下は、今年のFA138選手をレベル別にまとめたもの。アルファベット順掲載で、年齢は2026年シーズン時点のもの。
レベル5(最上位)
ピート・アロンソ(一塁/31歳)
メッツとの契約最終年 2400万ドル(約36億円)を破棄し、2年連続でFA市場へ。2025年は全162試合に出場し、38本塁打・126打点・OPS .871 と復活。長年の実績に加え、今季はQO(クオリファイングオファー)が付かないため、より多くの球団が狙うだろう。守備は平均的だが、打撃の影響力はトップレベル。クラッチヒッターとしての評価も高く、複数年・大型契約に最も近いスラッガーのひとり。
コディ・ベリンジャー(外野・一塁/30歳)
ここ4年で3度目のFA。ヤンキース移籍後は打撃が安定し、152試合で29本塁打・98打点・OPS .813 と復活。センター、ライト、一塁を守れるユーティリティ性も魅力。MVPシーズンの破壊力には届かないものの、長期契約の価値あり。
ボー・ビシェット(遊撃/28歳)
ケガの多かった2024年から復調し、139試合でOPS .840、18本塁打・94打点。特にWSでは打率.348、出塁率.444で大舞台に強いことを証明した。守備面については遊撃より二塁の方が適性が高いと見られるが、打撃力と年齢の若さは市場トップ。中長期契約を勝ち取る可能性は高い。
アレックス・ブレグマン(三塁/32歳)
レッドソックスとの2年8000万ドル(約120億円)の契約を破棄し、FAへ。今季は負傷があったものの、114試合でOPS .821 と高い打撃力を維持。選球眼とコンタクト能力は今もリーグ屈指で、プレッシャーに強い。守備も安定しており、確実な戦力として高く評価される。
ディラン・シース(先発右腕/30歳)
今季の数字は8勝12敗、防御率4.55と物足りないが、スカウト・分析部門の評価は依然高い。理由は圧倒的な空振り能力と球速で、奪三振能力はMLBトップクラス。5年連続32先発&200三振を記録しており、『ケガをしない先発』という価値が大きい。2〜3番手として長期契約を勝ち取る可能性は大きい。
今井達也(先発右腕/28歳)
西武からポスティングされた右腕。2025年は163回2/3で防御率1.92、過去4年間も2.21という安定感。150キロ台のストレートに加え、カーブ・チェンジアップ・スライダーなど6球種を操る『引き出しの多さ』が武器。米球団からは「MLBのNo.2あるいはNo.3先発」と評価されている。
マイケル・キング(先発右腕/31歳)
リリーフから先発に完全転向して2年連続で成功。防御率は2.92と安定し、パドレスのローテを支えた。2025年は負傷で15先発にとどまったものの、奪三振と被打率は優秀で、指標の裏付けも強い。『高年齢ではない即戦力先発』として複数球団が興味を示すのは確実。
カイル・シュワーバー(DH・外野/33歳)
言わずと知れたホームランマシン。2025年はMLBトップの56本塁打・132打点。守備力は高くないが、それを補って余りある破壊力を持つ。年齢的に扱いが難しい面はあるが、「打線の中心として一発で試合を決められる男」を求める球団にとっては最適解。
レンジャー・スアレス(先発左腕/30歳)
先発転向後、4年間の通算防御率は3.59と堅実。2025年前半は7勝3敗、防御率2.15でオールスター選出。この時点ではサイ・ヤング候補と言われたが、後半にやや失速し防御率4.40。とはいえ左腕先発としての希少性、安定した制球、ゲームメイク能力が評価される。
カイル・タッカー(外野/29歳)
市場の『総合力No.1選手』。パワー・出塁力・走塁・守備を高バランスで備え、過去5年のfWARは毎年4.2〜4.9。2025年前半はOPS .931 とMVP級の活躍も、手の負傷で後半やや下降したが、複数年の大型契約は確実だ。
フランバー・バルデス(先発左腕/32歳)
即戦力になる先発左腕。ここ4年間の平均イニングは192回。ゴロを多く打たせるタイプで球数が少なく、ローテを安定させる存在。ただし2025年後半の不調と、試合中の「サインミス事件」で話題となった点はマイナス材料か。
レベル4
エドウィン・ディアス(右腕、32歳)
メッツで5年1億200万ドル(約153億円)を結んだ大物クローザー。2025年も防御率1.63、98奪三振と圧巻の内容で、今オフは2年分の契約を破棄して市場へ。依然としてリーグ屈指の救援投手で、複数球団が争奪戦を繰り広げる見込み。
ザック・ギャレン(先発右腕、30歳)
2025年の防御率は自己ワーストの4.83だったが、2020〜24年は安定して優秀な成績を残した実力派。制球力とイニング消化能力に優れ、ローテを底上げできるタイプ。復活を期待する球団にとって魅力的な市場価値を持つ。
メリル・ケリー(先発右腕、37歳)
近年はダイヤモンドバックスとレンジャーズで安定した働きを見せ、2022年以降は防御率3.47と高い数字をマーク。37歳でも184イニングを投げるタフさが魅力で、実績・安定性を兼ね備えたベテラン先発として高い需要が見込まれる。
村上宗隆(一塁/三塁、26歳)
日本球界屈指の長距離砲で、2022年に日本人最多の56本塁打を記録。三振の多さや守備面に課題はあるが、飛距離と選球眼が武器で若さも魅力。MLBで中軸候補となるポテンシャルを秘め、注目度は極めて高い。
岡本和真(内野手、29歳)
NPBで通算248本塁打、6年連続30発以上の安定したパワーを誇る。三塁・一塁を守れるが、最大の売りは中距離〜長距離の打撃力。即戦力の中軸候補として複数球団が関心を示すとみられる。
ホルヘ・ポランコ(二塁、32歳)
2025年は26本塁打、OPS.821と復活。ポストシーズンでも活躍し、攻撃力のある二塁手を求める球団にとって魅力的な存在。600万ドル(約9億円)のオプションを拒否し、複数年契約を狙う。
J.T.リアルミュート(捕手、35歳)
市場唯一の正捕手クラス。打撃は全盛期から落ちたが、走塁阻止や捕球技術など守備力は依然トップクラス。捕手難に悩む球団には最重要ターゲットとなる可能性が高い。
エウヘニオ・スアレス(三塁、34歳)
2025年に49本塁打、118打点と大爆発。強打の三塁手を求める球団には格好の補強候補で、トップスラッガーより安価にパワーを確保できる点も魅力。複数球団が注目するはず。
ロベルト・スアレス(右腕、35歳)
2年連続オールスターで、2025年も98.6マイル(約159キロ)の速球とともに防御率3.00を記録。2つの800万ドル(約12億円)オプションを破棄し市場へ。技巧とパワーを兼ね備えた右腕で、クローザー候補として人気が集中しそう。
レベル3
ルイス・アラエス(一塁、29歳)
生涯打率.300超え常連のヒットメーカー。2025年は.292ながら181安打でリーグ最多。三振をほとんどしない卓越したコンタクト能力が武器で、上位打線の安定を求める球団にとって理想的な存在。
ハリソン・ベイダー(外野、32歳)
2025年は両リーグで17本塁打、OPS.796とバランス良く活躍。守備はセンターでリーグ屈指の評価を維持し、OAA(平均的な野手よりどれだけ多くアウトを取ったかを示す指標)も高水準。攻守の安定感から、外野の即戦力を求める球団に人気の高いタイプ。
クリス・バシット(先発右腕、37歳)
170イニング以上を4年連続で投げる耐久力が最大の魅力。三振は多くないものの、弱い打球を打たせる投球術が光る。ローテ後半を安定させたい球団にとって信頼度の高いベテラン先発。
ピート・フェアバンクス(右腕、32歳)
レイズのクローザーとして75セーブ、2025年も高い奪三振率を維持。制球に波はあるが、球威と決め球のスライダーはトップレベル。クローザー市場が厚い中でも争奪戦が予想される逸材。
ルーカス・ジオリト(先発右腕、31歳)
トミー・ジョン手術から復帰し、レッドソックスで10勝、防御率3.41と好成績。終盤に肘の不安を抱えたものの、健康なら先発2〜3番手級の力。メディカルチェックを徹底した上で契約を狙う球団は多いはず。
ライアン・ヘルズリー(右腕、31歳)
2020〜2024年は防御率1.83の圧倒的成績で2年連続オールスター。2025年はメッツで不振だったが、能力の高さは折り紙つき。再起を狙う球団には魅力的で、クローザー転身も視野に入る。
ブラッド・ケラー(右腕、30歳)
2025年はカブスで68試合、防御率2.07と大活躍。極めて低いハードヒット(打球初速95マイル=約153キロ以上)率と高いゴロ率が特徴で、リリーフとして安定感抜群。先発再転向を検討する球団もありそうだ。
金河成(キム・ハソン)(遊撃、30歳)
2025年はケガで48試合に終わったが、2024年は選球眼と守備力が際立ち、攻守の総合力が魅力。1年契約で市場価値を再構築する可能性が高く、二遊間強化を狙う球団が注目。
ザック・リッテル(右腕、30歳)
2025年は32先発、186.2イニングで防御率3.81と安定。四球率が非常に低く、ゲームメイク能力に長ける。ローテの安定を求める球団に支持されやすく、複数年契約の可能性も。
タイラー・マーリー(右腕、31歳)
2025年は好調も肩のケガで離脱。ただし、16先発で防御率2.18と実力は確かだ。耐久性に課題はあるが、短期間なら高いパフォーマンスを発揮できる先発として魅力的な存在。
ライアン・オハーン(一塁・外野・DH、32歳)
オリオールズで打率.286、出塁率.382、長打率.458と前半戦にブレイクし、初のオールスターに選出。シーズン途中でパドレスに移籍し、50試合でOPS.736。アロンソやシュワーバー級の長打力はないが、低コストで補強できる。
エミリオ・パガン(右腕、35歳)
レッズでクローザーとして32セーブ、防御率2.88を記録。奪三振率30%、空振り率32.6%と高水準で、複数球団が獲得に興味を示す見込み。
コディ・ポンス(右腕、32歳)
2025年に韓国リーグで180回2/3を投げ防御率1.89と好成績。過去にパイレーツで20試合登板、防御率5.86だったことを考えると別人の投手のようで、メジャーのローテ補強候補として魅力的。
タイラー・ロジャース(右腕、35歳)
2025年にナ・リーグ最多登板81試合。防御率1.98。四球率、バレル率、打球速度、ゴロ率などでリーグ上位に入り、リリーフ市場でも注目される。
ジャスティン・バーランダー(先発右腕、43歳)
シーズン序盤は0勝8敗、防御率4.99と不調だったが、後半13登板で4勝3敗、防御率2.60。全盛期の力はないものの、まだローテーションに貢献可能。
ルーク・ウィーバー(右腕、32歳)
シーズン序盤は防御率1.05と好調も、太ももの負傷で3週間離脱。復帰後は防御率5.31。クローザーやセットアッパーとしての起用、先発復帰も可能。
デビン・ウィリアムズ(右腕、31歳)
ヤンキースで1年のみ登板も、2020-2024年は安定したリリーフ投手。長期契約が得られなければ、1年契約で再評価を狙う可能性あり。
レベル2:43選手
レベル1:58選手
