テネシー大学からジャイアンツの監督に就任したトニー・ビテロ新監督は、歴史的なキャリアのスタートにあたり、自身の課題を理解している。指揮官は、これから一緒に歩み、未知の部分を補ってくれる適切な人材を見つけていかなければならない。
ビテロにとって最初の優先事項のひとつが、コーチ陣の最終決定だ。新顔となじみの顔ぶれを組み合わせる可能性がある。47歳のビテロは自ら選びたいと考えているが、ボブ・メルビン前監督の下で働いたコーチの多くを残す可能性もある。
「いろいろな考えがあると思います。すでにチームにいて選手をよく知る人を残すこともあれば、新しい人材を迎えて弱点を補い合うこともあるでしょう。大切なのは、全員が同じ方向を向くことです。『同じロープを引く』という言葉には意味があります。長いシーズンを戦ううえで、苦楽を共にできる仲間が必要です。明るさや経験の豊富さよりも、互いに信頼し、支え合える関係であることが重要だと思います。そうして初めて、本当のチームワークが生まれると思います」とビテロは先週の就任会見で語っている。
一方、元ジャイアンツのベンチコーチ、ライアン・クリステンソンはアスレチックスの一塁コーチとして復帰。また、フランチャイズのレジェンドで三塁コーチのマット・ウィリアムズもチームを離れる意向で、少なくとも2枠の空きが生まれる。
162試合に及ぶシーズン未経験のビテロにとって、経験豊富なベンチコーチの採用は重要だ。元パドレス監督のジェイス・ティングラーが何らかの役割でビテロのスタッフに加わる見込みと『The Athletic』は報じている。44歳のティングラーは、ビテロの母校ミズーリ大学でのチームメイトで、直近4シーズンでツインズのベンチコーチを務めた。
また、バスター・ポージー球団本部長は、元ジャイアンツ一塁コーチのアントアン・リチャードソンとの再結成を望んでいたが、リチャードソンはブレーブスでポジションを得ている。今季、ジャイアンツは盗塁と外野守備でリーグ下位に低迷しており、リチャードソンのスキルは今後もチームにとって重要となる。
さらにビテロは、過去8年間でテネシー大で選手勧誘で高い手腕を発揮してきたが、特にラテンアメリカ出身選手との経験はほとんどない。スペイン語を話せるコーチの存在は、言語の壁を越える上で重要だ。投手コーチのJ.P.マルティネスやアシスタント打撃コーチのオスカー・バーナードはバイリンガルであり、その点で有利だ。
ビテロはラテンアメリカ出身選手との関わりについて、「スタッフの顔ぶれは本当に重要です。大切なのは、努力を惜しまず課題に正面から向き合う姿勢を持つこと。どんなバックグラウンドの選手でも、まずは人として理解し合い、関係を築くことが必要です。そして、信頼関係をつくり、選手が悩みや問題を抱えたときに気軽に相談できるような環境を整えることが何より大事だと思います」と語った。
