ウォーカー・ビューラーはパドレス戦で数々の記憶に残る瞬間を生み出してきた。2018年にメキシコで行われた試合では継投ノーヒッターの先発投手を務め、2020年と2024年のポストシーズンでも印象的な登板があった。
長年ドジャースの一員として活躍してきた右腕は17日(日本時間18日)、パドレスのキャンプ地のクラブハウスに足を踏み入れ、ブラウン&ゴールドのユニフォームを初めて身につけた。ビューラーはスプリングトレーニングへの招待を含むマイナー契約を結んだばかりで、開幕ローテーション入りを目指して競争を繰り広げることになる。
ビューラーは「少し変な感じだね。5年前なら、もっと変な気持ちだったかもしれない。でも、野球というのはクレイジーな世界だし、本当に才能豊かなチームの一員としてプレーする機会を再び得られたのは素晴らしいことだ」と語った。
ビューラーは紆余曲折を経て、2026年のパドレスにたどり着いた。かつてドジャースのエースとして活躍したビューラーは、2022年に2度目のトミー・ジョン手術を受けたあと、以前の姿を取り戻そうと努力を続けてきた(1度目のトミー・ジョン手術は2015年、ドジャースからドラフト全体24位指名を受けた直後)。2024年のポストシーズンでは勝負強いパフォーマンスを見せ、ワールドシリーズ制覇に貢献したものの、それを除けば以前のような活躍を見せることができていない。
昨年は1年契約でレッドソックスに加入したものの、防御率5.45と苦戦。レッドソックスを解雇され、フィリーズへ移ったが、移籍後はわずか3試合の登板にとどまった。
しかし、昨季終盤にビューラーは復調の兆しを見せていた。8月8日のペトコパークでの登板から始まる最終7試合では防御率2.53をマークしたのだ。
ビューラーは「球速を取り戻し、投球フォームを安定させることが大きな課題だった。昨年の後半戦は、前半戦と比べて順調だったと思う。もちろん、ここからさらに調子を上げていきたい」と語り、完全復活への意欲を示した。
実際、ビューラーはパドレスの開幕ローテーションに食い込むことができるのだろうか。ビューラーが以前の姿を取り戻し、球界有数の好投手として活躍できれば、開幕ローテーション入りは間違いない。ローテーションの4~5番手には疑問符がつき、先発三本柱のうち2人も健康面の懸念を抱えているからだ。
先発三本柱を形成するのはニック・ピベッタ、マイケル・キング、ジョー・マスグローブの3人だ。マスグローブはトミー・ジョン手術から復帰するシーズンとなり、キングは昨季、膝と肩のケガで15試合しか先発できなかった。また、4~5番手はまだ固まっておらず、パドレスはローテーション候補として多くの投手を獲得している。
先週、クレイグ・スタメン新監督はランディ・バスケスが4~5番手の有力候補であることを認め、17日(同18日)にも同様の発言をした。ビューラー、ヘルマン・マルケス、グリフィン・キャニングが加入したが、バスケスが有力なローテーション候補であることに変わりはないようだ(キャニングはアキレス腱断裂からの回復中のため、シーズン開幕に間に合わない可能性が高い)。
つまり、ケガ人が出なければ、ローテーション5枠のうち、ピベッタ、キング、マスグローブ、バスケスで4枠が埋まる。残りの1枠をマルケス、ビューラー、JP・シアーズ、マット・ウォルドロン、トリストン・マッケンジー、マルコ・ゴンザレスらが争うことになる。開幕ローテーションの最後の1枠をかけて、熾烈な競争が繰り広げられそうだ。
スタメン監督は「選択肢が多すぎるということはあり得ない。選択肢は多ければ多いほど良いんだ」と話している。
では、パドレスの補強は完了したのだろうか。ビューラーの到着直後、スタメン監督はメディアの取材に応じ、新加入選手についての見解を述べた。戦力補強が続いた今週は、そうした発言を頻繁に行っている。
「彼(=ビューラー)をキャンプに迎えることができて嬉しいよ。AJ(=プレラー編成本部長)の補強は止まらないね」とスタメン監督は語った。
ここ数日間でパドレスはニック・カステヤノスとタイ・フランスを野手陣に加え、ローテーション争いにはビューラー、キャニング、マルケスが加わった。これらの補強は、A・J・プレラー編成本部長が各ポジションの補強の必要性を指摘してからわずか数日後に行われた。
これらの補強により、パドレスのロースターに明確な穴はなくなった。しかし、16日(同17日)に複数年の契約延長にサインしたプレラー編成本部長が自ら語っていたように、これで補強が終了したとは考えにくい。
プレラー編成本部長は15日(同16日)、ビューラーとフランスを獲得する前の時点で「まだ市場にはたくさんの優秀な選手がいる」と話していた。「だから、FA市場とトレード市場の両方で交渉を続けている。オフシーズンはウィンターミーティングで終わるわけではないんだ。スプリングトレーニング、そしてシーズン全体を通して、ロースターの構築は行われていく」と語り、引き続きチーム強化の方法を探っていく方針を明らかにした。
