オールスターの先発メンバーを決めるファン投票の仕組みには、2段階の投票方式がある。
その詳細は記事をチェックしてほしい。
オールスターで投票する選手の選考基準は?
お気に入りの選手を選ぶ?
応援しているチームの選手?
それとも冷静に数字だけを見て判断するタイプ?
投票の面白さは、自由に選べること。選び方は人それぞれだ。
投票用紙を埋めるとき、いつも悩んでしまう。というのも、自分の中でいつも3つのことを考えているからだ。
1)前半戦に素晴らしい成績を残している選手に報いること。
2)歴史的な意味合いを考えること――何年も先にこのオールスターゲームがどう語られるか。
3)ただ単に、自分が大舞台で観たいと思う選手を選ぶこと。
だから、もし投票に迷っているなら、一緒にポジションごとに見ていこう。
投票時の考え方を整理していくことで少しは参考になるかもしれない。
以下の数字はすべて6月11日(日本時間12日)の試合終了時点のもの。
ア・リーグ 一塁手
このポジションはは考えることが多い。まず、ロイヤルズのヴィニー・パスカンティーノ、通称“パスクワッチ”のオールスター初出場を見てみたい。これまで出場がなくて、今が絶好のタイミングかもしれない。次に、ヤンキースのポール・ゴールドシュミット。彼は数年後に殿堂入りの議論が本格化するだろうし、8度目のオールスター選出はその後押しになるはず。そして、今季ブレイク中のレイズのジョナサン・アランダや、タイガースのスペンサー・トーケルソンもいる。そして忘れちゃいけないのが、まだ26歳ながらすでに4度の選出を誇るウラジミール・ゲレーロ。どれも間違いではない選択だ。
数字で選ぶなら:アランダ。打率.317で、ア・リーグの一塁手でOPSトップ。躍進中のチームで一番の選手だ。
人気で選ぶなら:ゲレーロ。ホームランダービーへの再参戦を説得できないだろうか。
結論:ゲレーロ。あまり長打は出ていないが、それでもオールスターの華やかさを持っているし、前半戦も悪いわけじゃない。見たいのはやっぱりこの男だろ?
ナ・リーグ 一塁手
このポジションはいつも層が厚い。特にいまは、フィリーズのブライス・ハーパーが一塁手に専念して2年目を迎え、ますます競争が激しくなっている。実際、ブレーブスのマット・オルソン、カージナルスのウィルソン・コントレラス、ダイヤモンドバックスのジョシュ・ネイラーらオールスター級の選手たちですら候補に入れにくいほどだ。
メッツのピート・アロンソは前半戦で素晴らしい活躍を見せており、打点はメジャー最多。ハーパーもケガをしていないときは文句なしのパフォーマンス。そして、ドジャースのフレディ・フリーマンはこれまでのキャリアで最高の数字を出している。正直、複数人の一塁手を出場させたいくらいだ。
数字で選ぶなら:フリーマン。打率.349! 毎年どうやって成績を上げ続けているのか、不思議で仕方ない。
人気で選ぶなら:ハーパー。いまはIL入りしてるけど、オールスターに彼がいないのはやっぱり寂しい。
結論:フリーマン。開催地アトランタのファンからも大きな声援を受ける。
ア・リーグ二塁手
ここは今回の投票で最も難しい選択かもしれない。あまりワクワクする理由じゃないけど。というのも、正直そこまで目立った選手がいない。勢いよくシーズンをスタートした選手もいなければ、候補の中でもっとも実績のあるアストロズのホセ・アルトゥーベやヤンキースのジャズ・チザムは、二塁が本職ではない。しかし、誰かがこのポジションで先発しないといけない。
近い将来、オリオールズのジャクソン・ホリデーが毎年このポジションを占めるようになるかもしれない。すでに今年から選ばれてもおかしくないという声すらある。
数字で選ぶなら:グレイバー・トーレス(タイガース)。OPSは候補中トップで、しかも現時点でMLB最強チームの一員でもある。
人気で選ぶなら:アルトゥーベ。すでにオールスターに9回出場しており、これは現役選手で3番目に多い(今年出場すればマイク・トラウトに1回差まで迫る)。
結論:アルトゥーベ。たしかに、今では本職が二塁とは言えない(今季は15試合だけ二塁を守っている)が、それでも彼は一流選手。首位チームの中心選手でもあるし、「ホセ・アルトゥーベ」という名前の存在感は健在だ。
ナ・リーグ二塁手
ブレーブスのオジー・アルビーズは過去に何度もここに名を連ねてきたが、今季は成績が落ち込んでいる。メッツのジェフ・マクニールは好成績を残しているものの、ケガで離脱していた時期がある。それでも新しい打撃アプローチが大きな成果を生んでいる。トミー・エドマンはゴールドグラブや昨季のナ・リーグ優勝決定シリーズ MVPを受賞していて、ドジャースファンからの支持も厚いが、まだ数字がついてきていない。
カージナルスのブレンダン・ドノバンについては、2025年のオールスター出場は間違いないという声もあるが、今すぐ先発に推すのは少し難しい。
ということで、最終的に残るのはこの選手。ここ数年、最も過小評価されている選手のひとりだ。
数字で選ぶなら:ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)。OPSは候補の中でトップ。IL入りもあったが、キャリア最高のシーズンを送っている。
人気で選ぶなら:マルテ。これが3度目のオールスター出場で、ファン投票による選出は2年連続になる。
結論:マルテ。昨年のナ・リーグMVP投票で3位に入った選手だ。選ばれない理由が見つからない。
ア・リーグ三塁手
ボストンのアレックス・ブレグマンは、シーズン最初の1カ月間は素晴らしい争いを見せていたが、現在は太もものケガからの回復中。ということで、結局ここは最初からこの男の指定席だったのかもしれない。
数字で選ぶなら:ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)。これまでにア・リーグMVP投票で7回トップ10入りしていて、今季も間違いなく8回目になる。そろそろMVPを取ってもおかしくないだろう。
人気で選ぶなら:ラミレス。これが7度目のオールスター出場になるが、正直それでも少なすぎる。彼を殿堂入りさせなければならない。
結論:ラミレス。ア・リーグの打順でジャッジの前に置くか、それとも後ろに置くか悩みどころだ。
ナ・リーグ三塁手
いつもなら大混戦になるポジションだが、今季は少し差がついてきた。というのも、カージナルスのノーラン・アレナドやブレーブスのオースティン・ライリーがキャリア平均の打撃成績を出せていないからだ。
ドジャースのマックス・マンシーはいつも「思ってる以上にいい選手」だし、ジャイアンツのマット・チャップマンはチームのサプライズの中心的存在(ただし現在はIL入り)。
とはいえ、毎年毎年、変わらず安定しているのが … パドレスのマニー・マチャド。
数字で選ぶなら:マチャド。打率.325、出塁率.386はいずれもキャリアハイのペース。
人気で選ぶなら:マチャド。昨年、フィリーズのアレック・ボームに大差で投票負けしたって信じられる?
結論:マチャド。殿堂入りの履歴書という意味でも、今年が7度目のオールスター出場になる予定で、しかも今季終了後も契約が8年残っている。すごい選手だ。
ア・リーグ遊撃手
ア・リーグもナ・リーグも、いま遊撃手候補がとにかく豊富だ。アスレチックスのジェイコブ・ウィルソンやアストロズのジェレミー・ペーニャの台頭で、投票はますます複雑になっている。
レンジャーズのコーリー・シーガーはすでにワールドシリーズMVPを2度受賞しており、オリオールズのガンナー・ヘンダーソンは昨季大ブレークし、今季も調子を上げてきている。ツインズのカルロス・コレアは今もリーグで最も話題にのぼる選手のひとり。そして、忘れちゃいけないのがカンザスシティのあの男だ。
数字で選ぶなら:ウィルソン。打率.366(254打数93安打)で、今のところア・リーグ新人王争いを大きくリードしている。それに、とにかく見ていて楽しい選手。
人気で選ぶなら:ボビー・ウィット(ロイヤルズ)。もし総合スキル競技なんてものがあれば、彼が優勝候補じゃないか?
結論:ウィット。このままいけば、キャリア通算で15回くらいオールスターに出てもおかしくない。いや、それ以上かもしれない。
ナ・リーグ遊撃手
正直言って、ナ・リーグの遊撃手は4人くらい選出されてもいいくらいだ。レッズのエリー・デラクルーズ、フィリーズのトレイ・ターナー、さらにナショナルズのCJ・エイブラムスやカージナルスのメイソン・ウィンといった若手の台頭もある。
でも、最終的にはこの2人が全部持っていくかもしれない。ドジャースのムーキー・ベッツとメッツのフランシスコ・リンドア。どちらもリーグでも屈指の人気と愛されぶり。いっそのことホッケーの交代みたいに、打者ごとに交代で守らせてもいいんじゃないかと思う。
数字で選ぶなら:リンドーア。昨季はナ・リーグMVP投票で2位。今季はさらに好調で、チームも去年よりはるかに良い。
人気で選ぶなら:ベッツ。おそらく、ナ・リーグで最も好かれている選手の「2番手」——もちろん1番はチームメイトのあの人。
結論:リンドーア。2019年以降オールスターに選ばれていないのが信じられない。今回の選出は3回か4回分にカウントしてもいいくらいだ。
ア・リーグ捕手
カンザスシティのサルバドール・ペレスが、すでにオールスターに9回も選ばれているって知ってた?(ヤディアー・モリーナより1回少ないだけだ)
オリオールズのアドリー・ラッチマンが、もうこのポジションの常連になると思っていたかもしれないけど……その座を奪ったのは、名前を口にするたびにちょっと笑ってしまうあの男。
数字で選ぶなら:カル・ローリー(マリナーズ)。ホームラン数は、ペレス、ラッチマン、アレハンドロ・カーク、ジョナ・ハイムを合わせた数よりも多い。
人気で選ぶなら:ローリー。ビッグ・ダンパー(大きな体)というあだ名の男に投票しないなんて言わないでくれ。
結論:ローリー。これが初のオールスター出場になるけど、きっと全力で楽しむはずだ。
ナ・リーグ捕手
昨年のトップ2だった、ブリュワーズのウィリアム・コントレラスとフィリーズのJ.T.リアルミュートは、今年は昨季ほどのペースではない。その穴を、カブスのカーソン・ケリーとレッズのホセ・トレビーノが埋めるているが、やはりここでも注目はドジャースのあの男だ。
数字で選ぶなら:ウィル・スミス(ドジャース)。このラインナップの中で、彼が4人目のMVP候補になってもおかしくない。
人気で選ぶなら:リアルミュート。野球にそこまで詳しくない家族が「とりあえず入れとく」定番の名前。
結論:スミス。オールスター出場はまだ1回だけで、同姓同名のリリーフ投手より1回多いだけ。(俳優のウィル・スミスよりは2回多いけどね。)
ア・リーグ外野手
アーロン・ジャッジは当然として、えーと……他には? というくらい、ジャッジ以外の選択肢が驚くほど少ない。以下で候補を整理してみよう。
数字で選ぶなら:ジャッジ、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、バイロン・バクストン(ツインズ)。
ざっくり選ぶならデータサイト・ファングラフスのWAR(勝利貢献度)でア・リーグ外野手トップ3はこの3人。ロドリゲスとバクストンがそこまで上位にいるとは思わなかったかもしれないけど、ジャッジはこの2人の合計よりも上だ。
人気で選ぶなら:ジャッジ、ロドリゲス、マイク・トラウト(エンゼルス)。
ケガや低打率でトラウトはトップ3から外れる可能性もあるが、やっぱり彼のオールスターは特別。なにしろ、全国のファンが彼を見る数少ないチャンスのひとつだから。
結論:ジャッジ、ロドリゲス、ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ)。
スプリンガーが今季どれだけ素晴らしいパフォーマンスをしているか、あまり知られていない気がする。リーグ屈指の好調チームの中心選手だし、2022年にはブルージェイズとしてオールスターに出ている。今年も戻ってくる時だ。
ナ・リーグ外野手
ナ・リーグの外野手には、名の知れた選手は少ないかもしれない。でも、だからこそこのカテゴリーは難しい。
カブスからはカイル・タッカーとピート・クロウ=アームストロングの2人。さらにナショナルズのジェームズ・ウッド、パイレーツのオニール・クルーズ、ダイヤモンドバックスのコービン・キャロルといった若手の有望株もいる。
ジャイアンツのヘリオット・ラモスやマーリンズのカイル・ストワーズといった新鋭たちも台頭してきた。そしてもちろん、誰もが知る選手たち——メッツのフアン・ソト、パドレスのフェルナンド・タティスもいる。
数字で選ぶなら:キャロル、クロウ=アームストロング、ウッド。
タッカーはOPS.909という好成績を残しているのに、枠に入らないのが不思議なくらい。
人気で選ぶなら:ソト、タティス、タッカー。
トリビア:昨年のナ・リーグ外野先発は誰だったか覚えてる? 正解はパドレスのジュリクソン・プロファー、ブリュワーズのクリスチャン・イエリッチ、そしてドジャースのテオスカー・ヘルナンデス。フィリーズのブランドン・マーシュは5位だった!
結論:キャロル、ソト、クロウ=アームストロング。
これは本当に難しかった。スロースタートながら調子を上げてきたソトは絶対に外せない。クロウ=アームストロングのブレイクも今季最大級の話題のひとつ。まずこの2人は即決。
残る1枠は、キャロル、タティス、タッカーで迷った。どれを選んでもおかしくない。
ア・リーグ DH
ヨルダン・アルバレスの負傷によって、このポジションの選択はかなりシンプルになった。オリオールズのライアン・オハーン、ヤンキースのベン・ライス、アスレチックスのブレント・ルーカーには申し訳ないけど。
数字で選ぶなら:ラファエル・ディバース(レッドソックス)。開幕週に苦しんでたの、覚えてる?いや、たぶん誰も覚えてない。
人気で選ぶなら:ディバース。ボストンがブレグマンを獲得したときにDHへの転向を渋っていた件で、いまだに怒ってる叔父さんがいるかもしれない。でも、今の打撃を見たらさすがに許してるはず。
結論:ディバース。28歳でキャリアのピークを迎えるのは自然な流れだけど、来年はさらにすごくなってるかもしれない。
ナ・リーグ DH
まずは、義務的に触れておくべき選手たちを挙げておこう。フィリーズのカイル・シュワーバー(文句なしに素晴らしい)、カージナルスのイバン・ヘレラ、カブスの鈴木誠也。…でも、正直ここはもう決まりだよね。
数字で選ぶなら:大谷翔平(ドジャース)。1番打者での起用もアリか?
人気で選ぶなら:大谷。たぶん、打順は1番だ。
結論:大谷。…さすがにオールスター戦で投手復帰はないよね?
