先週、ワールドベースボールクラシック(WBC)の各チームのロースターが発表されると、MVP、サイ・ヤング賞受賞者、オールスターといった、スター選手たちで埋め尽くされた3チームが一気に注目の的となった。
実際、2023年の決勝はアメリカと日本の対戦という運命に導かれたかのようなマッチアップになったが、アメリカはトレア・ターナーの満塁本塁打、日本は村上宗隆のサヨナラ適時二塁打がなければ、決勝に辿り着かなかった可能性もあった。
この3チームが本命だとすれば、今大会でサプライズを起こし得るチームはどこだろうか。私の6つの予想を挙げる。
1:ベネズエラ
ベネズエラはあまりにも戦力が充実しているため、もはやサプライズ枠と呼ばないほうがいいかもしれない。アメリカ、ドミニカ共和国、日本にわずかに及ばない位置づけで、2009年を最後に、準決勝に進出していないことからこのリストに入れたが、特に打線は強力だ。ロナルド・アクーニャJr.、サルバドール・ペレス、ジャクソン・チューリオの中軸は大会屈指の破壊力を誇る。昨季49本塁打を放ったエウヘニオ・スアレスも忘れてはいけない。
鍵を握るのは先発陣だ。パブロ・ロペスと新たにレッドソックスと契約したレンジャー・スアレスを軸に、エドゥアルド・ロドリゲスとヘルマン・マルケスが控えており、どのチームとも渡り合えるだけの投手陣が揃っている。さらに、カブスの情熱的なクローザー、ダニエル・パレンシアが終盤のリードを守る存在となる。
2:カナダ
ジャスティン・モルノーやジョーイ・ボットーといった名選手がいたにもかかわらず、カナダはWBCで一度も1次ラウンドを突破したことがない。しかし今年はその状況が変わる可能性がある。カナダが戦うプールAは決して楽ではないが、プエルトリコとキューバは例年より戦力が落ちているように見え、カナダのロースターはこれまで以上に層が厚い。
先発陣は、21歳で出場した2013年大会以来に復帰するジェイムソン・タイオンを筆頭に、カル・クアントリル、マイク・ソロカといったメンバーが揃う。打線にはネイラー兄弟、強打者タイラー・オニール、そしてマーリンズの有望株オーウェン・ケイシーが名を連ねる。カナダは準々決勝に進出するために攻守両面で十分な戦力を備えている。そして、そこから先は何が起きても不思議ではない。
3:チャイニーズ・タイペイ
2024年のプレミア12で多くの人々を驚かせた。グループステージで宿敵・韓国を破り、さらに決勝では日本に4-0で完封勝利。開催国の国際大会27連勝を止めた。
チャイニーズ・タイペイが再び日本を破り、東京プールを1位通過する姿を想像するのは難しいが、韓国に勝利できれば2位で突破する道はある。
元MLB選手の張育成(ユウ・チャン)と主将の陳傑憲(チェン・チエシエン)のベテラン2人がチームの軸だ。陳は打率.652、2本塁打(うち1本は決勝での3ラン)を記録し、プレミア12のMVPに選ばれた。プレミア12優勝投手であり、ダイヤモンドバックス傘下の有望株である林昱珉(リン・ユーミン)が先発ローテーションを率いる。
そんなチームに、さらに才能が加わった。ガーディアンズの外野手スチュアート・フェアチャイルドとカブスの強打の有望株ジョナソン・ロングがそれぞれのルーツに敬意を表して代表入りし、他にも多くのマイナー有望株がチームに層の厚みを加えている。予選で3回2/3を投げ5奪三振と好投し、その後NPBの福岡ソフトバンクホークスと契約した25歳の先発・徐若熙(シュー・ルオシー)も注目を集める可能性がある。
注目点として、チャイニーズ・タイペイでは近年、MLBの最新トレーニング手法を用いた投手育成への取り組みが強化されていると聞く。その成果が現れ、ブルペンが相手打線を封じ込めることができれば、サプライズを起こすかもしれない。
4:メキシコ
かつて代表のスター選手でもあった、ゼネラルマネージャーのロドリゴ・ロペスが目指すのは、2023年に決勝進出まであと数アウトに迫る躍進を見せ、国内で野球人気を急上昇させたチームの再現だ。再び指揮を執るベンジー・ギル監督は、メキシコのチャロス・デ・ハリスコを率いてカリビアンシリーズを制したばかりであり、チームはメキシコ生まれのスター選手と同国にルーツを持つアメリカ人選手の融合となっている。
2023年大会で活躍したランディ・アロザレーナが今回も代表入り。また、2025年MLBオールスターに選出されたジョナサン・アランダ、アレハンドロ・カーク、アンドレス・ムニョスも名を連ねる。同一シーズンにメキシコ生まれの3選手がオールスターに選出されたのは初めてだった。ハビエル・アサド、タイワン・ウォーカー、タジ・ブラッドリーが先発陣を支え、ブレナン・バーナーディーノとダニエル・ドゥアルテがムニョスへとつなぐリリーフ陣を形成する。
メキシコは2023年のサプライズチームだったかもしれないが、今回は各チームがその存在を警戒して臨むことになる。
5:イタリア
そんなメキシコの宿敵がイタリアだ。2013年大会ではイタリアが6-5で勝利し、2017年には九回に5得点を挙げて10-9で逆転勝ちを収めている。3月11日のプール最終戦で再びメキシコと対戦し、両チームにとって、突破か敗退かが決まる一戦となる可能性が高い。
新監督フランシスコ・セルベッリは、ベンチコーチのホルヘ・ポサダのリクルート力を評価しており、期待がかかるのは、新たなエースとして迎えたアーロン・ノラだ。彼が2024年の状態に戻れば、対戦相手にとっては脅威となる。イタリアで生まれ育った初のメジャーリーガーであるサミュエル・アルデゲーリや、パイレーツ傘下の有望株アレッサンドロ・エルコラーニが投手として加わる。主将ビニー・パスクアンティーノは強力な攻撃陣を率い、メジャーの若手カイル・ティールやジャック・カグリオーンが名を連ねる。この大会が彼らにとってスターへの飛躍の場となる可能性もある。
6:コロンビア
2023年にイギリスに敗れて予選に回ったことに不満を抱いていたコロンビアは、ツーソン予選を圧倒。大会を通じて23-1と相手を大きく上回り、全勝で突破し、実力を証明した。現在は主将ホセ・キンタナがフリオ・テヘランとともに先発ローテーションの柱を務める。両者はメジャーにおけるコロンビア生まれ投手の通算勝利数でそれぞれ1位と2位に位置している。さらにマリナーズ傘下の有望株マイケル・アローヨ、そしてベテランのメジャーリーガーであるハロルド・ラミレス、ドノバン・ソラーノ、ジオ・ウルシェラ、ホルヘ・アルファーロがロースターに名を連ねる。
突破するためにはプエルトリコかカナダのどちらか一方を破る必要があるだろうが、コロンビアは再び予選に回るよりも準々決勝に進出する可能性の方が高い。
