近年のMVPは2人の男が独占している。もちろん、アーロン・ジャッジと大谷翔平のことだ。前者は2年連続、後者は3年連続で受賞し、2021年以降の10個のうち7度を2人が占めている。われわれが今まさに、野球史上屈指の二人を目撃している。
しかし同時に、多くの素晴らしい選手たちが毎年MVPを阻まれてしまうのは少し残念でもある。MVP級のシーズンを送りながら、ジャッジと大谷の異次元の活躍によってわずかに届かない不運を味わっている。すでにMVPを複数回獲っていてもおかしくない選手が何人もいるが、ジャッジと大谷が歴史的なパフォーマンスを続けているため、その壁を破れずにいるのだ。
いずれは(多分)この独占が終わる時が来るだろう。その時に王座を奪うのは誰なのか?
ここでは2026年にジャッジ、そして大谷を打ち倒し得る、ア・リーグ/ナ・リーグそれぞれの候補を5人ずつ紹介する。(アルファベット順)
アメリカン・リーグ
ニック・カーツ(一塁手、アスレチックス)
「さすがに時期尚早では?」と思うかもしれないが、2025年の成績を見ただろうか?わずか117試合で36本塁打で、打撃成績はあらゆる面でジャッジに匹敵した。22歳のジャッジは1AとハイAで1年を過ごしたが、カーツは MLB で OPS 1.002 を叩き出し、さらに1試合6安打4本塁打という規格外の活躍までやってのけた。この若さでこれほどの実力があるのなら、ここからさらに伸びる可能性があるのは当然だ。そして、ほんの少し成長するだけでジャッジの領域に届く。
カル・ローリー(捕手、マリナーズ)
今年の再現をできない理由はどこにもない。最も負担の重い守備位置で高いレベルの守備をこなしながら、依然としてリーグ屈指の打者である。少しだけ打球運が上向けば、打率も上がり、60本塁打のインパクトはさらに増すだろう。実際、ローリーは2025年にジャッジが受賞したMVPレースで最も強力な対抗馬だった。そして彼はまだ成長途上なのかもしれない。
ホセ・ラミレス(三塁手、ガーディアンズ)
「そろそろ彼がMVPを獲ってもおかしくない」と思わないだろうか?今年の投票では3位になり、MVP投票トップ10入りは8回目。最も近づいたのは2020年で、ホセ・アブレイユに次ぐ2位だったが、今振り返ればラミレスが受賞してもおかしくなかった。33歳と年齢的にはピークを過ぎたと思われがちだが、実はジャッジより若い。もしガーディアンズが彼の周囲の打線を強化できれば、85打点という、『MVP候補としては』物足りない数字も改善されるだろう。
フリオ・ロドリゲス(中堅手、マリナーズ)
長く活躍しているため年齢を忘れがちだが、彼はカーツよりわずか2歳年上に過ぎない。ルーキーイヤーの数字にはまだ届いていないが、2025年は失望の残った2024年から大きな前進となった。恒例となりつつある後半戦の爆発も再び見せ、MLB随一の波に乗ると止まらない選手の1人だ。いつか、その爆発が半年ではなくシーズン全体にわたる年が来るはずだ。
ボビー・ウィット Jr.(遊撃手、ロイヤルズ)
もしジャッジがいなければ、確実にMVPを獲っていた選手がここにいる。ウィットの2024年は完璧なMVPシーズンだったが、ジャッジにわずかに及ばなかった。2025年はやや数字を落としたものの、依然としてゴールドグラブを受賞し、4年連続の「20本塁打・20盗塁」を達成している。味方の援護がもう少し必要だが、本人が長打力を伸ばす余地もある。今季メジャー最多の47二塁打を放ったように、年齢を重ねるにつれて、それらの一部は本塁打に変わっていくだろう。ウィットがMVPを獲るのは時間の問題であり、おそらく一度では済まない。
ナショナル・リーグ
コービン・キャロル(右翼手、ダイヤモンドバックス)
キャロルは2年前、新人王を獲得したシーズンに一躍脚光を浴びた。2年目の2024年も良い選手ではあったものの、ルーキーイヤーの数字にはわずかに届かなかった。しかし2025年は見事に復活し、三塁打で再びナ・リーグトップの17本を記録し、さらにパワーも増してキャリアハイの31本塁打を放った。相変わらず自由自在に盗塁を決め、今必要なのは選球眼のわずかな改善だけだ。昨季は三振が増え、四球は減った。8月に25歳になったばかりで、ロドリゲスより約半年年上に過ぎない。キャロルもまだ『始まったばかり』だ。
エリー・デラクルーズ(遊撃手、レッズ)
近い将来、必ず来ると誰もが思っている。圧倒的な身体能力と滲み出る才能を見れば、将来MVPを受賞する姿が簡単に想像できるだろう。それは1度では済まないかもしれない。まだ三振が多く、四球が少なく、2025年はパワーも盗塁数もやや落ち込んだ。さらに2年連続でナ・リーグ最多失策という課題もある。それでも、このリストで彼より若いのはカーツだけで、デラクルーズは1月にようやく24歳になる。彼が全てを整える日は近く、その時が来たら誰も止められない。
ポール・スキーンズ(先発投手、パイレーツ)
投手がMVPを獲ったのは、2014年のクレイトン・カーショウが最後で、今はそれ以上にハードルが高い。しかし、もし1968年のボブ・ギブソン級のシーズンをやってのける投手がいるとしたら、それはスキーンズだろう。キャリア55先発を終えた時点で、いまだに防御率は2点未満。これは異常な数字で、しかもシーズンが進むほど良くなる傾向がある。近いうちに、誰にも否定できない圧倒的なシーズンを過ごしても不思議ではない。
フアン・ソト(右翼手、メッツ)
そう、彼はいまだにMVPを獲っていない!通算WARはすでにホセ・カンセコ、ドン・マッティングリー、ダリル・ストロベリーを上回り、MVP投票では6度トップ10入りしているが、それでも頂点にはまだ届いていない。どのリーグにいても同じで、昨年はジャッジに阻まれ、今年は大谷に阻まれた。ソトがもしMVPを獲らずにキャリアを終えるなんて想像できるだろうか?20年後、どう説明するのか?おそらく心配は必要ないだろう。
フェルナンド・タティス Jr.(右翼手、パドレス)
過去のトラブルはすべて置いてきた。タティスは出場停止前の圧倒的な数字にはまだ届いていないが、その距離は確実に縮まっており、今では、あと一歩で壁を破れないチームの、誰もが認めるリーダーになった。守備位置の変更も問題なくこなし、2025年にはナ・リーグのプラチナ・グラブ賞を受賞したことも評価を大きく押し上げた。キャリアを通じてずっと30本塁打・30盗塁にあと一歩届かないままだが、いっそ30-30を飛ばして40-40に到達するかもしれない。
