タイガースがトレード市場で「買い手」と「売り手」のどちらになるのか、球界全体がその決断を待っている。一方、今年のトレード期限に大きな影響を与える可能性があるもう一つの球団が、エンゼルスだ。
複数の関係者によると、エンゼルスのジョン・モゼリアク暫定GMは、今季限りで契約が切れる選手だけでなく、遊撃手ザック・ネト、先発投手リード・デトマーズ、ホセ・ソリアーノについても「交渉に応じる用意がある」という。
ある関係者によると、エンゼルスは3選手を放出した場合に得られる見返りについて「情報を集めている」という。モゼリアクが実際にこの3人のいずれかをトレードするかはまったく分からないが、その可能性を検討していること自体が意味を持つ。
オーナーのアート・モレノはこれまで、複数年にわたって球団が保有できる選手の放出に消極的だった。2023年の大谷翔平のように、シーズン終了後にFAとなる選手のトレードさえ、期限前に却下したこともある。
しかし、この夏は状況が変わるかもしれない。エンゼルスは29日(日本時間30日)、右腕チェース・シルセスと捕手ローガン・オホッピーをレンジャーズへ送り、マイナーの内野手アンヘル・アレドンドを獲得する今週最初のトレードを成立させた。オホッピーは今季終了後も2年間球団が保有できるが、今季は75試合で4本塁打、OPS.565と振るわず、レンジャーズはトレード後にオホッピーを3Aへ降格させた。シルセスは47試合で防御率2.72を記録しており、初めて年俸調停の資格を得るのは2027年シーズン終了後となる。
モゼリアクはペリー・ミナシアンの解任を受け、6月下旬にエンゼルスの暫定GMに就任した。編成部門を指揮するとともに、シーズン終了後に行われる新GM探しを支援する役割も担っている。契約は12月までだが、57歳のモゼリアクが正式なGMに就任する可能性もあるとみる関係者もいる。
エンゼルスには、今季限りで契約が切れる選手が複数いる。外野手兼指名打者のホルヘ・ソレア、救援投手のカービー・イエーツとブレント・スーターはいずれも、期限となる3日までに移籍する可能性が高い。2028年まで球団が保有できるデトマーズとソリアーノには、多くの優勝争いをする球団が興味を示すだろう。今季終了後も3年間年俸調停の対象となるネトも同様だ。外野手ジョー・アデルは、今オフに最後の年俸調停資格を得る。
「モー(モゼリアク)にどこまでの権限が与えられているのかは分からない」と、ナ・リーグ球団の幹部は話した。
エンゼルスのファーム組織は、MLBパイプラインが開幕前に発表したランキングで全30球団中28位だった。現在の有望株トップ100に入っているのも、全体42位の右腕タイラー・ブレムナーのみだ。球団が長期間保有できる選手の一部をトレードすれば、ファームを充実させ、次のGMがチームを築くための土台をつくることができる。
「デトマーズ、ソリアーノ、ネトをトレードすれば、球団内有望株トップ20の半分を新たな選手で埋められるだろう。ただ、実際にそうするかどうかは誰にも分からない」と、ア・リーグ球団の幹部は語った。
今夏の「レンタル」選手
ロイヤルズは今週、確実に「売り手」となる一方、複数年にわたって球団が保有できる選手を放出する可能性は低い。
関係者によると、ロイヤルズは今季限りで契約が切れる選手の放出には前向きで、特に救援投手ジョン・シュライバー、外野手レーン・トーマスとスターリング・マルテが候補に挙がっている。一方、投手のマイケル・ワカ、セス・ルーゴ、ダニエル・リンチ4世、アレックス・ラングら、2027年以降も球団が保有できる選手は、トレード期限後もカンザスシティに残る可能性が高い。
「彼らは2027年に優勝争いをすることを目指していて、その選手たちを構想の一部と考えている。誰かを放出するようには見えない。救援投手の一人を出す可能性はあるかもしれないが、それくらいだろう」と、他球団の幹部は語った。
同じく「売り手」として今季限りで契約が切れる選手の放出を目指しているのがロッキーズだ。球団が保有権を持つ選手のトレードにも比較的前向きなようだが、関係者によると、主力を一斉に放出する考えはないという。
「昨年よりもはるかに良いチームになっている。ポール・デポデスタ編成本部長は100敗したくないと考えているし、チームには勢いもある。中心に据えてチームをつくっていける、良い選手たちがそろっている」と、ナ・リーグ球団の幹部は話した。
いずれも今季終了後にFAとなる救援投手アントニオ・センザテラと先発投手の菅野智之は、トレードされる可能性がある。ロッキーズはまた、2027年まで球団が保有できる外野手ミッキー・モニアック、2028年までの外野手ジェイク・マッカーシー、2029年までの救援投手ブレナン・バーナーディーノに対するオファーにも耳を傾ける方針だ。2027年に900万ドルの球団オプションが設定されているマイケル・ロレンゼンも、放出される可能性がある。
「彼らは、ただ放出することを目的に選手を手放すつもりはない」と、ナ・リーグ球団の幹部は話した。
トレードを巡る各球団の動き
ブレーブスは少なくとも先発投手を一人必要としている。タリク・スクーバルの移籍先候補にも挙がっているが、ケビン・ゴーズマン、ロビー・レイ、クレイ・ホームズなど、候補はほかにもいる。右打ちの外野手とブルペンの補強も目指しているが、あるナ・リーグ球団の幹部は、アレックス・アンソポロス編成本部長が3日の期限直前までじっくりと市場の動きを見極める可能性があると考えている。「アレックスは2021年と同じように、最後まで待ってから、目玉ではない選手を次々と獲得するかもしれない」と同幹部は話した。
マリナーズは引き続き打線とブルペンの補強を目指しており、関係者によると、ほかの補強ポイントを埋めるために先発投手の一人をトレードする可能性がある。特に、放出したいと考えているのがルイス・カスティーヨだ。ただし、2027年までに約3000万ドルの契約が残っているほか、同年に180回を投げれば2028年の2500万ドルのオプションが自動的に有効となるため、トレードを成立させるには年俸の一部を負担するか、有望株を加える必要があるとみられる。関係者によると、条件が合えばエマーソン・ハンコックも放出される可能性がある。
パドレスを巡ってはメイソン・ミラーが最大の注目を集めているが、ある関係者は、マイケル・キングを放出する可能性があるとみている。キングの契約には2027年の2800万ドル、2028年の3000万ドルの選手オプションが含まれているが、今オフに再びFA市場へ出る可能性もある。パドレスは複数年にわたって球団が保有できる先発投手を探しているとされる。AJ・プレラー編成本部長がキングの交換要員を獲得すれば、それを活用して、より長期的に先発ローテーションを支えられる投手を手に入れることも考えられる。
