【ブルワーズ2−1レッズ】シンシナティ/グレートアメリカンボールパーク 6月22日(日本時間23日)
ブルワーズのブランドン・ウッドラフが、長期離脱からの復帰戦で圧巻の投球を披露した。
その姿を誰よりも信じていたのが、投手コーチのクリス・フックだった。
2人の付き合いは10年前にさかのぼる。2016年、ダブルAビロクシィでフックが投手コーチ、ウッドラフが23歳の有望株としてプレーしていた頃から、その成長を見守ってきた。
それだけに、負傷者リストから復帰した右腕の投球に、フックは何の不安も抱いていなかった。
「彼は投球術を知っている投手だ」
復帰戦前、フックはそう言い切っていた。
「どんな球の状態であっても、自分で答えを見つけられる。もし球威や球質が戻っていれば、何も心配はいらない」
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その球威は確かに戻っていた。
いや、それ以上だった。
約2カ月ぶりに負傷者リストから復帰した33歳のウッドラフは、22日(日本時間23日)のレッズ戦で先発。16人連続で打ち取るなど、六回途中まで完全投球を続ける圧巻の内容で、6回を1安打無失点、無四球、10奪三振に抑えた。
完全試合こそ逃したものの、長期離脱を感じさせない快投。週後半から始まる17日間で18試合という過酷な日程を前に、ブルワーズにとってこれ以上ない朗報となった。
ウッドラフがいかに圧倒的だったかを示すデータがある。
1900年以降、先発登板で「被安打1以下、無四球、10奪三振以上」を3度達成した投手はわずか2人。1人目はコービン・バーンズ(ブルワーズで2度、オリオールズで1度)、そして2人目がウッドラフだ。
パット・マーフィー監督は驚きも見せなかった。
「びっくりしている人はいないよ。それがウッドラフだからだ。彼は投球という技術と真剣に向き合っている。そうした姿勢でチームを引っ張るリーダーシップを見せてくれていることを誇りに思う。本当に特別な選手だ」
右腕は立ち上がりは鋭い当たりを許し、直球も88~91マイル(約142~146キロ)にとどまったが、二回に92.6マイル(約149キロ)、三回はわずか5球で三者凡退に抑えながら92.8マイル(約149キロ)、四回には94.4マイル(約152キロ)まで上昇。五回も93.8マイル(約151キロ)を計測し、レッズ打線を寄せ付けなかった。
六回にはこの日最速の94.9マイル(約153キロ)をマーク。タイラー・スティーブンソンに左前打を許して完全試合こそ逃したものの、その3球後にはマット・マクレインを空振り三振に仕留め、復帰戦を堂々と締めくくった。
6回1安打無失点、無四球、10奪三振と完璧だったが、打線の援護には恵まれず、両チーム無得点のまま試合は延長十回へ。ブルワーズは無安打で2点を奪い、ジョーイ・オルティスの犠飛で先制すると、さらに暴投の間にギャレット・ミッチェルが生還。貴重な追加点を挙げ、接戦を制した。
本人も当然ながら記録を意識していた。
「ノーヒットかどうか分からないなんてことはないよ。だって数字もスコアボードも至る所にあるからね。誰だって分かる。もし気付かないなら、何かおかしいよ」とウッドラフは笑った。
マクレインからの空振り三振で10個目の三振を記録。ウッドラフにとって通算21度目の2桁奪三振試合となった。通算奪三振数は906。節目の1000奪三振も視界に入ってきた。
昨年、右肩手術からの長いリハビリを経て652日ぶりにメジャーのマウンドへ戻ったマーリンズ戦では、感情をあらわにしながら6回8奪三振の好投を披露した。
今季は、4月30日のダイヤモンドバックス戦の後にIL入りした。それでもマイナーで2度のリハビリ登板を重ね、復帰への準備を整えた。
「序盤はリズムが合っていなかったし、早い段階でセットポジション中心に変えることも考えた」とウッドラフは明かす。それでも修正し、試合の中で立て直した。
マーフィー監督は、「最高の形のピッチングだった。最初から良かったわけではない。むしろ最初は崩れていた。ただ、そこから立て直していった」と評した。
「自分はいい場所に投げることだけを意識している。あとは打者が教えてくれるんだ。相手が遅れているように見えるなら、90〜91マイルでも通用する。その感覚で投げている」と右腕は笑顔でまとめた。
