目指すはWS制覇、スタメン新監督「全員を頼りにしている」

November 10th, 2025

クレイグ・スタメンの監督就任は、パドレス史上初の出来事であると同時に、過去の歴史を繰り返すものでもある。後者の歴史は、スタメンが長期的に成功する可能性を示唆している。

スタメンは10日、ペトコ・パークで開かれた記者会見で球団史上20代目(代理監督を除く)の監督として正式に紹介された。現役時代の大半をブルペンで過ごした球団初の監督であり、パドレスでプレー経験のある監督としてはブルース・ボウチー以来2人目、指導者経験がない監督としてはジェリー・コールマン以来となる。

スタメンの最終目標は?

それは、パドレス史上初のワールドシリーズ制覇を達成し、監督として新たな歴史を築くことだ。

「この仕事の最大の挑戦で、野球の最も楽しい部分は、最後まで勝ち残るチームになるために努力と準備を積み重ねること。それを考えるとワクワクするし、鳥肌が立つ思いだ」とスタメンは語った。

41歳のスタメンは、現役最後の6シーズンをパドレスの救援投手として過ごし、計333試合に登板した。現役最終年の2023年はマイナー契約で、負傷からの復帰を目指したが登板はなかった。引退時には、GMのA.J.プレラーが特別補佐として彼を迎え入れ、新しいポジションに適応するための機会を作った。

実は今回のように、球団のフロント職員が採用する側として関わりながら、最終的に自分自身が重要な役職に就いた前例が存在する。1995年、ケビン・タワーズはスカウティング部長としてGM候補の選考に関わっていたが、その過程で球団社長ラリー・ルチーノに高く評価され、GMに昇格した。

この意外な人事の後、タワーズはすぐに地区優勝チームを作り上げ、15シーズンにわたってその職に就いた。パドレスはその間に4度ポストシーズンに進出し、1998年にはワールドシリーズ出場も果たしている。

同様に、スタメンもマイク・シルト監督の後任探しのプロセスにおいて、面接官の一員として参加していた。だがプレラーがスタメンの採用を検討し始めると、彼は質問する側から答える側へと立場を変えた。

「監督になってみたいか?」とプレラーは尋ねた。

その答えは?

「クレイグはノーとは言わなかったが、イエスとも言わなかった」とプレラーは10日に明かした。

プレラーは最初からスタメンを監督候補として見ていたが、その意図を明かしてはいなかった。この提案を受けたスタメンは、妻のオードリーと相談したという。夫妻はオハイオ州に住み、4人の幼い子どもがいる。監督職はフロント補佐とは比べものにならないほどの時間的・移動的負担を伴う。

「妻のオードリーは全面的に賛成してくれた」とスタメンは語った。

「これはこの組織のためで、フライアーズ・フェイスフル(パドレスファンの愛称)が誇りを感じられるチームを作るための挑戦だ。フィールドでの戦い方、人との接し方、家族を大切にする姿勢、そのすべてで模範となりたいと思っている。このプロセスを率いることに胸が高鳴っていますし、それがこの球団をまだ到達したことのない場所へ導けることを願っているよ」

プレラーがスタメンに注目した理由は何だったのか?

「まず第一に、非常に誠実な人物だ」とプレラーは語った。

「自分らしさを保ち、どんな状況でもブレない。大勝しても、大敗しても、同じスタメンでいられる。現役時代からそれを見てきたし、この2年間のスタッフとしての姿勢にも同じものを感じた」

特別補佐という肩書きは名誉職ではなかった。スタメンはマイナー選手との交流、メジャー首脳陣との協働、トレード交渉やドラフト準備、選手評価について学ぶなど、球団運営のあらゆる側面に積極的に関わった。監督としてのキャリアを始めるにあたって、彼はまだ学ぶべきことが多いと自覚している。今後のコーチ陣人事には、チームワークを重視する姿勢が反映されるだろう。

「パドレスの組織の素晴らしいところは、優秀な人材がそろっていること。私はその全員を頼りにしている。これは私一人の仕事ではない。多くの仲間の支えを得て、チャンピオンへと導く仕組みを作り上げていくつもりだ」