ウィンターミーティング直前、ドジャースのブルペン事情を徹底分析

本当に新たなクローザーは「必須ではない」のか?

December 2nd, 2025

MLB恒例のウィンターミーティング(WM)まで1週間を切り、リリーフ投手市場の動きが活発化している。もしドジャースがトップクラスのリリーバーを高額で取りにいくつもりなら、早めの決断が求められそうだ。

11月にライセル・イグレシアスがブレーブスと1年契約を結び、リリーフ市場で先陣を切った。そしてここ数日で大物の契約が一気に進み、ライアン・ヘルズリーのオリオールズとの2年契約が12月1日に正式発表され、同じ夜にデビン・ウィリアムズがメッツと3年契約に合意したと報じられた。

昨オフ、ドジャースはタナー・スコット、カービー・イェーツを獲得し、さらにブレイク・トライネンが復帰。盤石のブルペンを築くはずだった。しかし実際にはシーズンを通して不安定で、チーム防御率は4.27、セーブ失敗は27回とフィリーズと並んでMLB7位の悪さ。連覇こそ達成したものの、終盤は常に綱渡りだった。

それでも球団は「新たなクローザー獲得」に対し慎重で、ゼネラルマネージャーのブランドン・ゴームズは「必須ではないと思う。ただ、加われば大きな助けになるのは確かだ」と語った。

果たして本当に補強は不要なのか。ここでは、現時点のブルペン事情を踏まえ、ドジャースの今オフの展望を整理する。

40人枠の中で“クローザー候補”になり得る投手は?

40人枠のリリーフ候補は15名。アンソニー・バンダ、ベン・カスパリアス、ジャック・ドライヤー、ポール・ジャーベイス、ブルスダー・グラテロル、エドガルド・エンリケス、カイル・ハート、ウィル・クライン、ローナン・コップ、ボビー・ミラー、タナー・スコット、ブロック・スチュワート、トライネン、アレックス・ベシア、ジャスティン・ロブレスキー。

このうち2025年のレギュラーシーズンで実際にセーブ機会を成功させたのはスコット(23)、ベシア(5)、ドライヤー(4)、カスパリアス(2)、ロブレスキー(2)、トライネン(2)、エンリケス(1)の7人だ。

スコットは防御率4.74、10度のセーブ失敗と厳しいシーズンだったが、4年総額7200万ドル(約111億円)契約の最初の年でもあり、ドジャースは復活に楽観的だ。一方、チームが本当に必要としているのは「右打者をしっかり抑えられる右腕」である。

負傷から復帰する右腕たちは解決策になるのか?

2025年、グラテロルの不在が大きかった。剛腕右腕は2024年11月に肩の関節唇手術を受けてシーズンを全休。もし順調に復帰し、再び終盤を任せられるようになれば、ブルペン強化に直結する存在となる。

もう一人の有力候補がハートだ。トミー・ジョン手術からの回復を終え、9月には3Aオクラホマシティで9回1/3を投げ自責点2、防御率1.93と好調な投球を披露した。

スチュワートは9月に右肩のクリーニング手術を受けた影響で、2026年の開幕には間に合わない可能性が高い。ただしシーズンの大半は稼働できる見込みで、トレード前にツインズでセットアッパーを務めた実績から、ドジャースでも同様の役割を担うことが期待される。

FA市場で『フィット』しそうなのは誰か?

リリーフ市場の上位にいた投手の多くはすでに契約済みだが、目玉2人はまだ残っている。メッツのQOを拒否したエドウィン・ディアス、そしてパドレスのロバート・スアレスだ。

また、ドジャースは、一度はクローザーを務めながら先月ノンテンダーFAとなったエバン・フィリップスの“再契約”も選択肢として検討している。ただし、彼は6月にトミー・ジョン手術を受けており、来季前半は戦列を離れる見通し。即戦力とは言い難い。

ここまで見てきたように、中堅クラスの候補は多い。ただ重要なのは、果たして“ビッグネーム”を追加すべきかどうかという点だ。すでにドジャースはタナー・スコットにクローザー相当の高額を投じている。そのうえでもう一人、クローザー級に大金を払うべきかどうか。

これは想像以上に判断が難しい問題だ。

ドジャースは必ずしも「正式なクローザー」を固定しないものの、実質的な守護神が明確なケースは多い。ポストシーズンでの佐々木朗希がその典型だ。

ワールドシリーズを中心にブルペンの課題は多かったが、それでも佐々木がクローザーを務めたことで不安定さが軽減された。

佐々木は来季先発に戻ることが決まっているため、ドジャースは代わりを探す必要がある。内部候補は多いが、信頼できる『もう1枚』を外部から加えることは、間違いなくブルペン全体の底上げにつながるはずだ。