ウインターミーティング開幕前、テオスカー・ヘルナンデスを巡るトレードの噂が浮上した。ヘルナンデスは昨オフ、ドジャースと3年総額6600万ドル(約99億円)で再契約している。
デーブ・ロバーツ監督が8日(日本時間9日)、「今のところ、彼がわれわれの右翼手だ」と語ったように、現時点では、ヘルナンデスがドジャースを離れる可能性は低そうだ。
この発言には含みもあったが、ブランドン・ゴームスGMは、「可能性は低いと思っている。もちろん、トレードに『絶対ない』とは言い切れないが、テオについては想定していない」とトレード説をより明確に否定した。
一方で、現実的な選択肢として残っているのが、右翼から左翼への配置転換だ。ヘルナンデスは、今季右翼守備で守備指標を示すアウト・アバブ・アベレージ(OAA)-9で、規定出場選手の中で下位3%だった。8月下旬のコロラド遠征では、九回にヘルナンデスの前に落ちる安打が2本続き、最下位のロッキーズ相手に衝撃的なサヨナラ負けを喫した。
その試合の直後、ロバーツ監督はヘルナンデスを右翼から左翼へコンバートする可能性について「もっともな疑問だ」と認めていたが、最終的にはそのまま右翼を守り続けた。ただ指揮官は、ポストシーズンで失策や細かなミスこそあったものの、ヘルナンデスが守備に取り組む姿勢には前向きな変化を感じていたという。
「左翼に回る可能性はある。確かにゼロではない。ただ、私の印象ではロッキーズ戦以降、右翼での守備は少なくとも平均的なレベルには達していた。打撃面でのポテンシャルを考えれば、それで十分だと感じている」とロバーツ監督は語った。
2026年にヘルナンデスが左右どちらの外野を守るにしても、ドジャースは今オフ、外野陣の上積みを図る余地がありそうだ。ヘルナンデス、アンディ・パヘス、アレックス・コール、トミー・エドマンの主力組は来季も在籍予定。加えて、ライアン・ウォードとエステウリー・ルイスが40人枠の控えとして控えており、層の厚さは確保されている。
右足首の違和感の影響で、2025年終盤は内野中心で起用されたトミー・エドマンは、オフに手術を受けたため、2026年シーズン序盤はやや出遅れる可能性があるものの、ゴームスGMは「シーズンに大きな影響が出るとは考えていない」と、復帰後は再び内野と外野を兼務できる見通しを示した。
エドマンが出遅れた場合、開幕時点ではアンディ・パヘスが中堅を務める可能性が高い。2025年は中堅で安定した守備を見せており、数字の上でも十分に評価できる。一方で、強肩を生かすなら右翼での起用も魅力的だが、その場合は新たに中堅を任せられる選手を補強する必要があり、現状では現実的ではない。
「アンディが中堅をこのレベルで守れているのは大きな強みだ。両翼ならさらに高い守備力を発揮できるが、中堅をこなせる選手自体が希少。FAやトレードでも簡単に獲得できる存在ではない。彼がいることで、チームとしての柔軟性が高まる」とゴームスGMは語る。
ドジャースは今オフも戦力補強を視野に入れているが、その規模については慎重に見極める構えだ。過去2年のオフには大谷翔平、山本由伸、ブレイク・スネルらを獲得する大型補強を敢行してきたが、この冬は「目玉級」の動きはなさそうだ。
指揮官は「常にロスターを改善するチャンスは探っているが、このチームはすでに高い完成度を誇り、3連覇を目指してまとまっているため、無理に大きな補強をする必要はないと感じている」と語った。
