【ドジャース5-4ブルージェイズ】トロント/ロジャースセンター、11月1日(日本時間11月2日)
全てがかかった運命のワールドシリーズ(WS)最終戦。9年ぶりに第7戦までもつれた理由が全て詰まった一戦だった。両チーム一歩も引かない総力戦はまさに激闘。2025シーズンを締めくくるのに、この上なく相応しい一戦だった。
試合が決したのは延長11回、ウィル・スミスがレフトオーバーのソロを放ち、WS連覇を決める決勝弾を放った。最後は、中0日登板の山本由伸(27)が締め、ドジャースが激闘を制した。
ドジャースの先発・大谷翔平(31)は、二回に満塁のピンチをなんとか脱するも、三回に捕まった。安打と犠打で1死二塁とされると、ワイルドピッチで走者が三塁へ。デーブ・ロバーツ監督は、すかさずブラディミール・ゲレーロJr.を敬遠で歩かせた。
しかし、この判断が裏目に出た。続くボー・ビシェットがセンター左への3ランを放ち、ブルージェイズが3-0と先制した。ビシェットは打った瞬間、確信を持ってボールを見送り、ゆっくりと一塁へ歩き出した。スタットキャストによれば、打球は今WSで最長の442フィート(134.7メートル)を記録した。
第4戦で93球を投げてから中3日で登板した大谷は、2回1/3、51球を投げ、5安打、3失点、3三振、2四球。リードを許してマウンドを降りた。
ドジャースは直後に反撃。初回、先頭の大谷が放ったヒット以降、9人連続で打ち取られていたマックス・シャーザーから、連打と四球で1死満塁のチャンスを作った。しかし、ブルージェイズ守備陣が躍動。テオスカー・ヘルナンデスのセンターへの当たりは、ドールトン・バーショがダイビングキャッチで犠牲フライにとどめ、続くトミー・エドマンの一塁への強烈なライナーをゲレーロJr.がダイビングキャッチで好捕。好守が光り、1失点に食い止めた。
バックに助けられたマックス・シャーザーは、4回1/3を投げ、1失点で降板。4安打、3三振、1四球と貫禄の投球で試合を作った。
六回、ドジャースは3番手のクリス・バシットから四球と安打で1死一、三塁のチャンスを作ると、エドマンが犠牲フライを放ち1点差とした。
直後の攻撃でブルージェイズは持ち味を発揮。先頭の8番アーニー・クレメントが安打で出塁すると、盗塁を成功させ無死二塁。その後、PSで勝負強さを発揮している9番のアンドレス・ヒメネスがタイムリー二塁打で4-2とし、リードを2点に戻した。クレメントは、九回にも左中間に二塁打を放ち、MLB史上単独トップとなる単一PSでの30安打に到達した。
七回は、第5戦で圧巻の投球を見せたトレイ・イェサベージが登板し、先頭の大谷に四球を与えるが、1死からフリーマンを一ゴロ併殺打で無失点。残り6アウトとなり、ロジャースセンターのボルテージは最高潮に達した。
しかし、ドジャース打線が意地を見せた。八回、マンシーがイェサベージからソロを放ち1点差とすると、九回にミゲル・ロハスが9月19日以来となる本塁打で4-4の同点に追いついた。伏兵が土壇場で試合を振り出しに戻した。
ドジャース投手陣はまさに総力戦だった。大谷を含む、先発4人柱全員が登板。ジャスティン・ロブレスキー(1回1/3)、タイラー・グラスナウ(2回1/3)、エメット・シーアン(1回)、ブレイク・スネル(1回1/3)とつなぎ、9回1死一、二塁で前日の試合で96球を投げた山本が登板した。
山本は、アレハンドロ・カークに死球を与え、1死満塁。しかし、続くバーショはセカンドゴロに打ち取られ、本塁でアイザイア・カイナー=ファレファが間一髪のタイミングでアウト。続くクレメントは左中間深くへ打球を放ったが、この回から守備交代で入った中堅手のアンディ・パヘスが、左翼手キケとぶつかりながらも好捕し、試合は延長戦に突入した。
決勝点が生まれたのは延長11回。2死からスミスが、この日チーム3本目となるソロ本塁打を放ち、この試合初めてドジャースがリードを奪った。この回から登板した、シェーン・ビーバーの3球目を捉えた。スミスはこのシリーズの計73イニング全てでマスクをかぶって戦い、1903年の初代シリーズで8試合に出場したルー・クライガー(71イニング)を超え、捕手として史上最多となった。
九回を抑えた山本は、延長10、11回も登板。見事にブルージェイズ打線を封じ、2001年のランディ・ジョンソン以来となる単一WSで3勝を挙げ、胴上げ投手となった。