【パイレーツ3−4ジャイアンツ】デトロイト/コメリカパーク 9月26日(日本時間27日)
ジャスティン・バーランダーは、6カ月ぶりとなるメジャーでの登板、なかなか消えなかった左太もも裏の張り、そして43歳という年齢。さまざまな不安を抱えながらも、この日、最後に「ヴィンテージ・バーランダー」と呼ぶにふさわしい姿を見せた。
パイレーツ戦で5回1/3を投げ、6奪三振。投球を終えた右腕がマウンドを降りると、7歳の娘ジュヌビエーブちゃんが駆け寄り、父親を抱きしめた。目に涙を浮かべたバーランダーは、妻と2人の娘とともにマウンドを後にした。
21年間にわたる現役生活を締めくくる最後の登板で、残された力をすべて出し切った。その3イニング後、タイガースは9回2死、2ストライクからエドゥアルド・バレンシアが2ラン本塁打を放ち、パイレーツに4−3でサヨナラ勝ち。コメリカ・パークに歓喜の瞬間が訪れた。
どこまで投げられるのか、どんな球を投げられるのかは、本人にも分からなかった。実戦に向けた準備はブルペンでの投球練習と、先週末にシカゴでチームメートを相手に行った1イニングのライブBPのみ。だからこそ、この日はこれまで積み重ねてきた経験が大きな支えとなった。通算556試合の先発登板、1万4636打者との対戦で培った投球術を駆使し、単に1、2人を抑えるのではなく、最後まで「先発投手」としての登板をやり切ることを目指した。
その力は、まだ十分に残っていた。
パイレーツの最初の4打者を連続で退けると、二回は1死からワンイル・クルーズをスライダーで空振り三振。通算3555個目の奪三振を記録した。
続くルーキーのコナー・グリフィンには中前打を許したが、二盗を試みたグリフィンを捕手ディロン・ディングラーが刺すと、バーランダーもガッツポーズで喜んだ。
スプリングトレーニングから探し続けていた約153キロの速球も、この日は健在だった。三回にはヘンリー・デービスを空振り三振に仕留めると、続くライアン・オハーンには約152キロを投げ込み、打ち取った。
四回にはブランドン・ロウに初球の速球を右翼席へ運ばれ、初失点。さらに五回2死からはジェイコブ・ゴンザレスにも甘く入ったカーブを捉えられ、ソロ本塁打を浴びたものの、外角いっぱいのスライダーで三振を奪うなど健在な投球を披露した。
五回にはザック・マッキンストリーが今季9個目の外野補殺を記録し、追加点を阻止。六回もマウンドに上がり、先頭のロウを一塁後方のファウルゾーンへの飛球に打ち取ったところで、A・J・ヒンチ監督が交代を告げに向かった。
そこで、思わぬ光景が広がった。
バーランダーの7歳の娘、ジュヌヴィエーブちゃんがマウンドへ駆け寄り、父親を抱きしめた。前日には同じマウンドから父親へ始球式を行ったばかり。この日は登板を終えた父を迎え、チームメートもその周りを囲んで祝福した。家族とともにダグアウトへ戻るバーランダーに、球場からは「J.V.」の大合唱が送られた。
通算266勝、防御率3.33、3560奪三振。奪三振数はメジャー歴代8位に位置する。最後のマウンドでは、長年ファンを魅了してきた投球術と、43歳とは思えない速球も披露し、すばらしいキャリアの幕を閉じた。
