通算266勝バーランダー、今季限りで現役引退へ 「体がもう限界だと伝えている」

July 8th, 2026

タイガースのベテラン右腕、ジャスティン・バーランダーが8日(日本時間9日)、今季限りで現役を引退することを発表した。発表に先立ち、コミッショナーのロブ・マンフレッド氏から、21年間にわたる偉大な功績をたたえる「レジェンド枠」で、オールスターゲームに選出されていた。

現在43歳のバーランダーは、股関節と左ハムストリングの負傷で60日間の負傷者リスト(IL)入りしているが、フィリーズのブライス・ハーパーとともに、7月14日にフィラデルフィアで開催されるオールスターゲームの「レジェンド枠」で参加する。タイガースから同枠で選出されるのは、2022年のミゲル・カブレラ以来2人目となる。

バーランダーは自身のSNSで声明を発表した。

「節目の記録や数字、カレンダーの日付を理由に引退したいと思ったことは一度もない。野球そのものが『その時だ』と教えてくれるまで続けたかった。この数カ月で、その時が来たと感じました。今季最後までチームのために全力を尽くすけれど、このシーズンが私にとって最後になる。すべてが始まったデトロイトでキャリアを終えられることは、とてもふさわしいことだと思っている」

2026年オールスターは7月14日(日本時間15日)開催!

バーランダーがタイガースのユニホームでオールスターに参加するのは2013年以来。当時はマックス・シャーザーらとともに豪華なア・リーグ投手陣を形成していた。40代まで現役を続けることを公言していたバーランダーは、タイガース時代に6度、アストロズ時代に3度オールスターに選ばれ、今回が通算10度目の選出となった。

バーランダーは現代野球を代表する投手の一人。通算3554奪三振はメジャー歴代8位、266勝は同37位、WAR(Baseball-Reference版)82.3は投手歴代24位を記録。新人王、サイ・ヤング賞、MVPをすべて受賞した史上2人目の選手であり、ノーヒットノーランも通算3度達成している。

2017年のトレード期限最終日にアストロズへ移籍すると、その年のリーグ優勝決定シリーズ(ALCS)MVPに輝き、チームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献。2022年にも2度目の世界一を経験した。

バーランダーは長年にわたり、先発投手の理想像ともいえる耐久力を示してきた。

20勝以上は2度、36歳だった2019年には21勝をマーク。サイ・ヤング賞は3度受賞し、39歳だった2022年には18勝4敗、防御率1.75という圧巻の成績で3度目の栄冠を手にした。

  • 2007年から2019年まで13年間で12度のシーズン200イニング以上を記録
  • 200奪三振以上を9度達成
  • 2019年には300奪三振を記録して自身2度目のサイ・ヤング賞を獲得
  • 通算556先発は歴代29位

先発投手の役割が変化する現代では、こうした数字は今後ますます到達が難しい記録となりそうだ。

タイガース黄金期を支えたエース

2004年ドラフト全体2位でタイガース入りしたバーランダーは、2006年に新人王を獲得し、チームを1984年以来となるワールドシリーズ進出へ導いた。

2011年には24勝、防御率2.40、250奪三振をマークし、サイ・ヤング賞とMVPをダブル受賞。タイガースは2011年から2014年まで地区4連覇を達成し、バーランダー、シャーザー、リック・ポーセロらが黄金時代を築いた。

アストロズ、メッツ、ジャイアンツを経て、バーランダーは今年2月に1年契約でタイガースへ復帰。タリク・スクバル、ケーシー・マイズらとともに先発ローテーションを支え、再び世界一を目指すことを期待されていた。しかし、開幕直後に左股関節を痛めてIL入り。その後もリハビリを続け、復帰目前には左太ももを負傷するなど、度重なる負傷に苦しんだ。

会見では、負傷との闘いについて率直な胸の内を明かした。

「このケガとの向き合い方は、想像していた以上に難しかった。昨年は健康な状態でローテーションを守れたので、その勢いで今年ももう1年積み重ねたいと思っていた。でもシーズン序盤にそれが崩れてしまった。2~3週間で治ると思っていたものが何カ月にもなり、ようやく戻れると思ったらまた別のケガ。まるで穴の開いた船の水を必死にかき出しているような気分だ」

以前から「車輪が外れるまで投げ続けたい」と話していたバーランダーだが、今回はその言葉の意味を認めた。

「体が『もう限界だ』というサインを送っている。皮肉なことに腕自体は今でも素晴らしい状態だが、問題はそこではないんだ」

それでもバーランダーは、残りシーズンをベンチで過ごすつもりはないという。

「さようならと言って残りをベンチで過ごすつもりはない。自分はそう言う人間ではない。チームメイトが楽しそうにプレーし、投手陣が圧倒している輪の中にいたい」

21年間、メジャーリーグを代表するエースとして活躍してきたバーランダー。オールスターでの晴れ舞台、そして本拠地コメリカ・パークで迎える最後の日々は、多くのファンにとって特別な別れの時間となりそうだ。