ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)は再びカナダへ。シアトル・マリナーズが球団史上初のワールドシリーズ進出にあと1勝と迫っている。
マリナーズはすでに、敵地ロジャースセンターで強さを証明している。ブルージェイズとのシリーズ第1戦、第2戦を連勝し、今回はその地に戻って決着をつけるチャンスを迎える。
マリナーズが第5戦を6−2で制したあと、フリオ・ロドリゲスは言った。
「すごく大きい。あと1勝に近づいた。いまのマインドはそれだけ。あと1勝だ」
このシリーズは簡単に逆方向へ傾いていてもおかしくなかったが、第5戦の八回にすべてが変わった。カル・ローリーの勝負どころでの本塁打と、エウヘニオ・スアレスの満塁本塁打で、流れは再びマリナーズに戻った。
課題は、この勢いを持ち込めるかどうかだ。
カル・ローリーは言った。
「この先は厳しい道のりになる。相手は強いチームだ。だからこそ、俺たちは自分たちの野球をやるだけ。攻撃的に、いつも通りに」
一方でブルージェイズは、がけっぷちでも動じない。レギュラーシーズンの本拠地成績はア・リーグ最高の54勝27敗(勝率.667)。シーズンが揺らいだ局面でも、そのたびに立て直してきた。
自分たちの家で2勝。2025年に繰り返しやってきたこと、それだけが前に進む道で、その現実を受け入れている。
アーニー・クレメントは言った。
「状況は悪くない。チャンスがある。それで十分だ」
先発投手は
マリナーズ:先発はローガン・ギルバート(1勝0敗、防御率2.45)に決まった。第6戦の前日に正式発表された。ギルバートはALCS第2戦で強打を浴びたが、前回登板はア・リーグ地区シリーズ第5戦(対タイガース、延長15回)で救援登板した直後の中2日という厳しい日程だった。
今季の開幕投手でもあるギルバートは、今回は中5日での登板となる。前回の登板(13日)では、3イニング58球で3失点を喫し、同点とされたところで降板。制球が真ん中か大きく外れるかの両極端だったが、今回は通常のローテーション間隔に戻るため、修正が期待される。
ブルージェイズ:トレイ・イェサベージ(1勝1敗、防御率4.82)は今季、チームの大一番を次々と任されてきた新人右腕。今季はマイナーの全レベルを駆け上がり、昇格直後からメジャーで通用することを証明したが、第2戦で4回5失点とALDSでヤンキース打線を苦しめた決め球のスプリットを見極められ、マリナーズに攻略された。22歳にとって大きな試練のマウンドとなる。イェサベージはブルージェイズのシーズンをつなげることができるか。
予想スタメン
マリナーズ
ダン・ウィルソン監督が2日連続でオーダーを入れ替え、ランディ・アロザレーナを7月30日以来はじめて1番から外し、エウヘニオ・スアレスと並べ、フリオ・ロドリゲスを1番に据えた。ロドリゲスは今ポストシーズン3本塁打(うち2本が初回)。
- フリオ・ロドリゲス(中堅)
- カル・ローリー(捕手)
- ホルヘ・ポランコ(DH)
- ジョシュ・ネイラー(一塁)
- ランディ・アロザレーナ(左翼)
- エウヘニオ・スアレス(三塁)
- J.P.クロフォード(遊撃)
- ドミニク・カンゾーネ(右翼)
- レオ・リバス(二塁)
ブルージェイズ:ジョージ・スプリンガーは第5戦で右膝に時速96マイルの速球を受けて途中交代したが、第6戦は出場可能と判断され、第5戦と同じオーダーで臨む。
- ジョージ・スプリンガー(DH)
- ネイサン・ルークス(左翼)
- ブラディミール・ゲレーロJr.(一塁)
- アレハンドロ・カーク(捕手)
- ドールトン・バルショ(中堅)
- アーニー・クレメント(三塁)
- アディソン・バーガー(右翼)
- アイザイア・カイナー=ファレファ(二塁)
- アンドレス・ヒメネス(遊撃)
先発降板後の継投は?
マリナーズ:
アンドレス・ムニョス、マット・ブラッシュ、ゲイブ・スピアーら最重要リリーバー3人は、第5戦で計3回無失点、1安打に抑えた。第6戦は“仕留めにいく”局面で、この3人は起用される見込み。ウーは、9月19日の大胸筋炎症後では初の登板となった第5戦に2回を投げており、おそらく登板回避となる。エデュアルド・バザルドは今シリーズ2登板ながら“陰の功労者”で、10月は重要度が上がっており、起用されるはずだ。
ブルージェイズ:
ブレンドン・リトルとセランソニー・ドミンゲスは第5戦で痛い被弾を許したが、再び必要になるだろう。ジェフ・ホフマンもルイス・ヴァーランドも休養十分。さらにシュナイダー監督は、2025年に一気に台頭した新人ブレイドン・フィッシャーのような投手に、より多くを託す可能性がある。先発イェサベージの降板が早ければ、クリス・バシットとエリック・ラウアーが複数回を担える見込みだ。
注目すべき負傷者情報
マリナーズ:
ウーはついに第5戦で今ポストシーズン初登板を果たし、2イニングを投げた。初球でアレハンドロ・カークに二塁打を許し、さらに2打者後にはアーニー・クレメントに同点タイムリーを浴びた。スプリンガーへの95.6マイル(約154キロ)の死球も、グラブ側への制球の不安定さを象徴していた。レギュラーシーズンのエースが戻ってきたことはチームにとって朗報だが、先発として調整されてきたこと、登板間隔が長かったことから、このシリーズ(ALCS)残り試合でどこまで登板可能かは不透明なままだ。
ブルージェイズ:
ボー・ビシェットは左膝捻挫のリハビリを続けており、ALCSのロースターから外れている。ワールドシリーズ進出が決まれば復帰を目指しており、その状況はトロントで毎日話題となっている。今季が契約最終年であり、唯一所属した球団でもあるため、その行方には注目が集まっている。
スプリンガーは第5戦で「右膝の打撲」により途中交代したが、検査(X線)の結果は異常なし。第6戦には名を連ねている。
アンソニー・サンタンデールは背中の負傷で第4戦前にALCSのロースターから外れた。そのためワールドシリーズ出場資格を失い、2025年シーズン終了となった。
好調・不調の選手は?
マリナーズ:
カル・ローリーは今10月、球団史に残る絶好調だ。4本塁打で1995年のジェイ・ビューナーに並ぶチーム史上2位(トップは同年のケン・グリフィーJr.の6本)となった。さらに2二塁打、6安打、7四球を記録し、39打数でOPS1.127を誇る。しかも、最も打撃好調な球場に再び戻ってくる。
一方のアロザレーナは極度の不振で、ウィルソン監督はついに1番から外した。今ポストシーズンの打率は.150(40打数6安打)と苦しんでいる。
ブルージェイズ:
ブラディミール・ゲレーロJr.は依然として火を噴いている。第5戦では左中間へ強烈な二塁打を放った後、マリナーズが2度も敬遠するほどの存在感で、第6戦でも同様の対応が見られそうだ。
アーニー・クレメントも引き続きポストシーズン屈指の好調打者で、打率.429。さらにルークスも.333をマークし、スプリンガーとゲレーロの間を打つ2番として機能している。
アレハンドロ・カークのバットも復調傾向にあり、シアトルで本塁打を放ち、第5戦では鋭い二塁打を記録した。
ただし、ゲレーロ以外の選手が打線をけん引しなければ、この攻撃陣の勢いを維持するのは難しい。
マリナーズ
・ポストシーズンでの対ブルージェイズ通算は5勝2敗。ALCS第1〜2戦と2022年のワイルドカードシリーズ2連戦を含め、ロジャースセンターでは4勝0敗。
・10月の6勝は、球団の1ポストシーズン最多勝。第5戦の勝利で、過去最多の5勝(1995年、2000年)を上回った。
・10月の本塁打17本は、1ポストシーズンの球団最多(これまでの最多は16本=1995年)。
・今ポストシーズン10試合のうち9試合で先取点を奪っている。
ブルージェイズ
・ポストシーズンの7回戦制シリーズで2勝2敗から第5戦に勝ったチームは、67回中46回(68.9%)でシリーズ制覇。現行の7回戦制の方式では、第5戦を本拠地で勝って3勝2敗として敵地へ向かったチームが、33回中20回(60.6%)でシリーズに勝っている。
・イェサベージは、球団史上最年少(22歳83日)での「負けたら終わり」の先発投手になる。


