マリナーズvsブルージェイズALCS第7戦、見どころ&スタメン

October 20th, 2025

すべてはこの一戦に懸かっている。両チームともゴールはすぐそこに見えているが、到達できるのは1チームだけだ。

19日(日本時間20日)の第6戦でブルージェイズが巻き返し、ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)は最終戦までもつれ込んだ。トロント、ロジャースセンターでの第7戦を制したチームが、ドジャースの待つ2025年ワールドシリーズへと進出する。

「第7戦では何だって起こり得る」とブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.は語った。

ブルージェイズは1993年以来のア・リーグ優勝を、マリナーズは約半世紀の球団史上初となる王座への挑戦権を狙う。

なお、トロントが第7戦を戦うのは1985年のALCSロイヤルズ戦以来であり、シアトルは今回が初の第7戦となる。つまり、どちらかが「球団史上初の第7戦勝利」を手にする。過去のデータを見ると、「勝てば突破、負ければ敗退」の第7戦は通算30勝29敗で、ホーム側がわずかに勝ち越している。

「勝つか、帰るか。この試合の重みは全員が理解している」とブルージェイズのアディソン・バージャーは語る。

マリナーズは第6戦でエラーや、チャンスをふいにする場面が多く、本来の野球を見せられなかった。この点を修正できるかどうかが勝敗を大きく左右するだろう。シリーズ序盤に本拠地で2連敗しても動じなかったチームは、当然、今さら折れるつもりはない。

「われわれは今季、小さなプレーを積み重ねてきたチームだ。何度も立て直してきた。明日の第7戦でも同じことをやるチャンスだし、必ずやり遂げる」とマリナーズのダン・ウィルソン監督は語った。

先発投手は?

**マリナーズ:ジョージ・カービー**(今ポストシーズン3先発0勝1敗、防御率7.07)

第3戦で自責点8を喫して降板。本拠地で4-13の敗戦の原因を作ってしまった。このポストシーズンでは、得意としている本拠地で3試合登板してきたが、悠長なことを言っている場合ではない。レギュラーシーズンでのアウェイ防御率5.16を乗り越えることができるか。

**ブルージェイズ:シェーン・ビーバー**(レギュラーシーズン4勝2敗、防御率3.57)

トレード・デッドラインで獲得した右腕が、キャリア最大の先発に臨む。ALDSヤンキース戦の不調を経て、ALCS第3戦では6回、2失点、8三振の快投。2失点はいずれも初回で、その後は見事に立て直した。32年ぶりのワールドシリーズ進出へ、最高のパフォーマンスが求められる。

スタメンは?

マリナーズ:ウィルソン監督は第5戦でランディ・アロザレーナを7月30日以来初めて1番から外し、第7戦でも5番に据えた。基本的にメンバーは固定しつつ、打順を入れ替え、ジョシュ・ネイラーが3番、ホルヘ・ポランコが4番。ライトはドミニク・カンゾーネに代えてビクター・ロブレスを起用。ロブレス(今ポストシーズン26打数3安打)は第3戦でフェンスに激突後、これが初先発となる。レオ・リバスは先発したALCS3試合では9番だったが、この試合は8番に入る。

ブルージェイズ:ジョン・シュナイダー監督は二塁イザイア・カイナーファレファを信頼し、継続して起用。第5戦から3試合連続で同じスタメンを選んだ。

先発降板後のブルペンの状態は?

マリナーズ:ブライス・ミラーブライアン・ウーら先発陣を含め、使える投手は全員使う。唯一起用できないのは第6戦で5回途中5失点のローガン・ギルバートのみだ。ウーは第5戦の初救援後「問題なく、必要なら行ける」と語っていた。ミラーやウーを使う場合は走者を背負っていない、イニングの先頭からが理想だ。

終盤の要所はアンドレス・ムニョスマット・ブラッシュゲイブ・スピアーエドゥアルド・バザルドが任されるだろう。カービーが完璧でない限り、15回まで戦ったタイガースとのALDS第5戦同様の総力戦が想定される。

ブルージェイズ:第6戦で2イニングを投げたジェフ・ホフマンは、今季最高の投球内容も、2イニング登板は4月以来で、状態の見極めが鍵となる。第5戦で乱調だったブレンドン・リトルを起用するかどうかは分からないが、基本的にはこちらも総動員となる。不測の事態に備えて、ルイス・バーランドセランソニー・ドミンゲスの勝ちパターンに加え、先発のマックス・シャーザーケビン・ゴーズマンも選択肢となる。

注目すべき負傷者情報は?

マリナーズ:胸筋の炎症で約1カ月離脱し、ALDS(タイガース戦)のロースター(出場登録メンバー)から外れていたブライアン・ウーは、第7戦で登板すると予想される。今ポストシーズン初登板は第5戦の六、七回。初球でアレハンドロ・カークに二塁打、2人後にアーニー・クレメントに勝ち越し打を喫した。さらにジョージ・スプリンガーの右膝に95.6マイル(約154キロ)の速球を当てるなど、利き手側への制球に課題を見せた。

ブルージェイズ:ボー・ビシェットは左膝捻挫のリハビリを続けており、ALCSのロースターから外れている。ワールドシリーズ進出が決まれば復帰を目指しており、その状況はトロントで毎日話題となっている。今季が契約最終年であり、唯一所属した球団でもあるため、その行方には注目が集まっている。

アンソニー・サンタンデールは背中の負傷で第4戦前にALCSロースターから外れ、ワールドシリーズ出場資格も失ったため、2025年シーズンは終了となった。

そのほかブルージェイズに大きな負傷はなし。スプリンガーは第5戦で右膝に死球を受けたが、第6戦には出場した。

好調・不調の選手は?

マリナーズ:第6戦は2得点、残塁6で「絶好調」と言える打者は少ない。とはいえ粘って走者は出しており、あと一押しが足りないだけという見方もできる。第6戦でジョシュ・ネイラーが今ポストシーズン3本目の本塁打を放ち、OPSは.974に上昇。カル・ローリーはこの試合、ノーヒット、3三振だったが、10月はOPS1.028と好調だ。突破にはビッグイニングが必要で、第1、2戦のような主砲の爆発に期待したい。

ブルージェイズ:ゲレーロJr.は今、MLBで最も熱いバッターかもしれない。第6戦で今ポストシーズン6本塁打目を放ち、球団のポストシーズン通算本塁打記録のトップ(ジョー・カーター、ホセ・バティスタ)に並んだ。ヤンキースとのALDSで爆発して以降、打線全体の調子も上向きだ。クレメントは打率.447、バージャーは第6戦で一発、バーショも強い打球が増えている。

ファンが知っておくべきことは?

マリナーズ:

  • 第7戦は球団初で、勝敗を決定する最終戦は球団史上4度目。これまでは3戦全勝(1995年、2001年、2025年のALDS第5戦)とめっぽう強い。
  • 同一年にそれぞれのシリーズの最終戦である、「地区シリーズ第5戦」と「リーグ優勝決定シリーズ第7戦」を戦うのは史上8球団目(2020レイズ、2017ヤンキース、2012ジャイアンツ、2012カージナルス、2004アストロズ、2003レッドソックス、2003カブス)。この条件で世界一になったのは2012年ジャイアンツのみ。
  • 今ポストシーズン11試合のうち9試合で先制している。

ブルージェイズ:

  • 第7戦は球団史上2度目。前回は1985年ALCSのロイヤルズ戦に敗れシーズン終了となった。なお、その時のチームはレギュラーシーズン99勝を挙げ、いまだに球団最多勝記録を保持している。