カーショウとシャーザー、「ずっとつながっていた」2人のレジェンド

October 27th, 2025

ひとりは静かに去ろうとしており、もうひとりは、闘志を燃やし立ちはだかる者すべてに牙をむいている。

クレイトン・カーショウマックス・シャーザー。2人が再び同じ舞台に立ち、フィールドの内外でこの2025年のワールドシリーズに影響を与えていることは、互いに歩んできた長い野球人生の物語にふさわしい最終章といえるだろう。

「俺たちはずっと、どこかでつながっていた」とカーショウは語る。

シャーザーは「同じドラフト世代で、すべてがリンクしている。キャリアを通してカーショウと競い合えたのは最高だったし、2021年にはチームメイトにもなれた。互いに戦い続け、この舞台で最後の戦いを迎えられるのは、彼のキャリアに相応しい」と言う。

カーショウは球威こそ衰えたものの、ドジャースのブルペンで静かにその時を待っている。一方、シャーザーはブルージェイズの先発として、第3戦のマウンドに立つ。

「まだ95マイル(約153キロ)を投げてるんだ。だから、やる気がある限り、数年は現役を続けられると思うよ」とカーショウは評する。

このワールドシリーズでの登板が、その将来を占う重要な試金石となるかもしれない。

今季のシャーザーは17先発、防御率5.19というキャリア最悪の成績に終わった。しかし、ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)で、ジョン・シュナイダー監督に「最後まで投げさせろ」と食ってかかり、2019年以来となるポストシーズン勝利をつかんだ投球と気迫は、まだまだ健在であることを示していた。

ALCS第4戦の試合前。22日ぶりの登板に向けてブルペンで肩を作るシャーザーを見守っていたのは、ブルージェイズの投手コーチ、ピート・ウォーカーだった。キャッチャーミットに響く快音を聞いた瞬間、ウォーカーの腕には鳥肌が立った。

「何が起きたのかは分からなかった。でも、あの瞬間、彼はまた”あの”マックス・シャーザーに戻っていた」とウォーカーは語った。

41歳のシャーザーは、今季悩まされた親指の不調は完全に治ったと語る。その口調からは、引退を考える選手の雰囲気は微塵(みじん)も感じられない。

「とにかく前だけを見ている」とシャーザーは意気込みを語る。

「優勝を狙えるチームの先発として投げられる限り、続けたい。体が健康である限り、まだやれると思っている。親指の問題を克服してから、再び『自分はこのレベルで戦える』という確信が湧いてきた」

37歳のカーショウはシャーザーより4歳若いが、ここ数年にわたり考え続けていた引退をついに決断した。近いうちに5人目の子どもが生まれる予定で、今季、通算3000奪三振を達成した左腕は引退する覚悟が決まったと説明した。

「このシーズン全体に感謝している」とカーショウは語った。

「色々なことがあったけど、今年で最後にすると決めたことに満足している。感情を表に出すのは得意じゃないけど、今は本当にいろんな思いがあって、とても特別な時間なんだ。できる限り楽しみたいと思ってるよ」

2008年9月7日、ドジャース対ダイヤモンドバックス戦。観客がグレッグ・マダックスとランディ・ジョンソンの投げ合いを期待していたその日、実際にマウンドに立ったのはカーショウとシャーザーだった。その光景を覚えている人も多いだろう。しかし、まさか殿堂入り投手2人が、次なる殿堂入り投手2人に取って代わられた瞬間だったとは思いもよらなかったはずだ。

2人の右腕が殿堂入りすると仮定して、シャーザーとカーショウは「新人同士で先発対決した殿堂入り投手の組み合わせ」として史上3例目になる。1890年のキッド・ニコルズ対サイ・ヤング、そしてニコルズ対ジェシー・バーケット以来、実に135年ぶりの記録だ。

2人が最後に投げ合ったのは今年8月8日。試合後には、ユニフォームを交換した。4球団でワールドシリーズ進出を果たしたシャーザーと、生涯ドジャースに身を捧げたカーショウ。異なるキャリアを歩んだ2人の伝説が互いに敬意を示した瞬間だった。

2006年、カーショウはダラスの高校から全体7位でドジャースに、シャーザーはミズーリ大学から全体11位でDバックスに指名された。

2008年には1カ月違いでメジャーデビュー。シャーザーは4月29日、カーショウは5月25日だった。2013年には、タイガースに移籍したシャーザーがア・リーグ、カーショウがナ・リーグでそれぞれサイ・ヤング賞を受賞。両者とも3度の受賞歴を持ち、2017年にシャーザーがナショナルズで最後のサイ・ヤング賞を受けた際には、カーショウが2位につけていた。

それから十数年。カーショウは223勝でキャリアを終え、シャーザーはその背中を追う221勝に到達している。

かつて“天才右腕”と呼ばれながら負傷に泣いたドジャースの投手コーチ、マーク・プライアーにとっても、この2人の存在は特別な意味を持つ。

「彼らの継続性、存在感、そしてマウンドに立つだけで周囲のレベルを引き上げる圧倒的なオーラ。それは数値では測れない。彼らが築いてきたキャリア自体が本当に偉大なんだ」とプライアーは語る。

もちろん、昔と全く同じではない。シャーザーは2年連続で100イニング未満の登板に終わり、カーショウも膝と足指の手術でシーズン開幕が遅れた。それでも、両チームの選手やスタッフは、2人がフィールド外でもたらしてきた影響を口々に称賛している。

ブルージェイズにとってシャーザーは、昨季ア・リーグ東地区最下位に沈んだチームに闘志をもたらした存在だ。入団早々から「ワールドシリーズ出場」を口にし、そのために何が必要かを語り続けた。

「彼こそチームプレイヤーの鑑だ」とウォーカーは言う。

「スタッフにも礼儀正しく、素晴らしい姿勢を見せてくれる。毎日のように監督室に顔を出し、シュナイダーと30分は話をして、投手陣と議論し、質問し、常に自分やチームの向上策を探している。どんな人物か最初は知らなかったが、本当に素晴らしく、心からチームの一員として幸せそうにしているよ」

カーショウは長年にわたり、ドジャースのクラブハウスで精神的支柱の役割を担ってきた。かつての剛腕から、今では89マイル(約143キロ)前後の技巧派ベテランへと変化したその過程が、深い知恵をもたらした。

「カーショウが特別なのは、彼と一緒にプレーしたいと思わせる存在であることだ」とプライアーは語る。

例えば、26歳の左腕リリーバー、ジャック・ドライヤー。幼い頃からカーショウを理想とし、そのフォームを「100%真似していた」という。

また、ドライヤーは「彼がいなくなれば、クラブハウスには大きな穴が空く」と説明する。ドライヤーだけでなく、チーム全員が、カーショウの存在感そのものを再現することは、2026年以降には不可能だと分かっている。

「彼の存在は簡単に埋められるものじゃない。本当に素晴らしい人間性と姿勢を持った選手がチームにいてくれたことに感謝しているよ。今回のワールドシリーズで何より素晴らしいのは、有終の美を飾るチャンスを手にしていることだと思う。そして向こう側にはマックス・シャーザーがいて、まだ95マイル(約153キロ)を投げながら監督に向かって吠えている。あの2人はいつまでも語り継がれる偉大な投手同士だ」