【イギリス2-8メキシコ】ヒューストン/ダイキンパーク、3月6日(日本時間7日)
前回大会の悔しい思いを払拭するべく、今大会に臨むメキシコ代表。そんな新たな物語の第一歩を力強く踏み出した。
ヒューストンで行われたプールB初戦でイギリスに勝利。これまで6大会全てに出場していたが、初戦で勝利するのは初めてだった。2万9724人の大観衆のほとんどはメキシコを応援。会場は熱気に包まれた。
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「ファンは最初から最後まで試合に入り込んでいた。八回まで接戦だったが、ファンのエネルギーはまったく落ちなかったし、それは選手たちも同じだった」とベンジー・ギル監督はコメント。
「これまでの大会ではできなかった“良いスタート”を切ることができて本当にうれしい」と続けた。
試合は八回まで1-1の同点だったが、メキシコの一塁手ジョナサン・アランダが試合を動かした。トリスタン・ベックの96.8マイル(約156キロ)の速球を捉え、346フィート(約105メートル)の3ラン。ともに四球で出塁していたジャレン・デュランとランディ・アロザレーナをホームへ迎え入れた。
メキシコは九回にも4点を追加したが、試合の流れを決定づけたのはアランダの一発だった。しかし、本人は打った瞬間には確信はなかったため、本塁打を知らせる列車の汽笛を聞いて、初めてホームランだと分かったという。
「ホームランを打って、あんなに速く走ったことは一度もないよ。とても大事な一発だった。同点の場面で、あの打席がチームに良い流れを作ったし、チームを助けられて本当にうれしかった」とアランダは語った。
「チームだけじゃない。国のためでもある。このユニフォームの色を身につけてプレーしている。それが本当にうれしい」
2023年大会でもメキシコ代表の一員だった27歳のアランダはメジャーで自己最高のシーズンを終え、この舞台に帰ってきた。レイズで打率.315、14本塁打を記録し、オールスターにも選出。その活躍と成長は、WBCで指揮を執るギル監督にとって驚きではない。
「昨年のオールスターゲームの時点で、彼は野球界全体でもトップ10に入る打者の一人だった。出身やポジションは関係ない。打席内容の質を見れば分かる。彼はオールスター級の選手だし、これからも毎年オールスターに選ばれる選手だと思う。最終的にはMVP候補になるような打者だろう」とギル監督は評する。
まだ1次ラウンドは始まったばかりだが、この勝利でメキシコは突破に向けて有利な位置についた。次戦は8日、ダイキンパークでブラジルと対戦(米東部時間午後8時=日本時間9日午前10時)する。
もちろん大会はまだ先が長い。それでも、2023年大会で優勝した日本に準決勝で敗れたメキシコにとって、この白星は大きな第一歩となった。
番狂わせを狙っていたイギリス代表は、それを実現するチャンスが何度もあった。ナショナルズの捕手で、2023年大会のイギリス躍進の立役者でもあるハリー・フォードが六回、アレックス・カリージョから左翼へ361フィート(約110メートル)のソロを放ち、試合を同点に戻した。
イギリスのブラッド・マルセリーノ監督は「流れが欲しい時にああいうプレーが出ると、大きく試合の勢いが変わるものだ」と語った。
しかし、チャンスを最後までものにできなかった。最初の六回までに6人の走者が残塁し、試合全体では9残塁だった。
「こういう相手に勝つためには、改善しなくてはならない部分だ。チャンスは作れていたが、得点につなげなければいけない。選手たちはよく戦っていたし、ボールをインプレーにして、粘り強い打席も多かった。ただ、その中で得点をもぎ取ることができなかった」とマルセリーノ監督は悔しさを語った。イギリスの次戦は7日、アメリカと戦う。
試合序盤、最初の五回までで両チーム唯一の得点を挙げたのはメキシコのナチョ・アルバレスJr.だった。二回、ジャック・アンダーソンの時速97.1マイル(約156キロ)の速球を捉え、394フィート(約120メートル)のソロ本塁打。メキシコに先制点をもたらした。そのリードは、“サー・ハリー”ことフォードが六回に同点本塁打を放つまで続いた。
