対戦相手を指名?最新のMLB日程変更案を分析

October 9th, 2026

こんな場面を想像してほしい。両リーグのワイルドカードシリーズを勝ち抜いた2チームが、それぞれクラブハウスやホテルの会議室で待っている。第1シードのチームが、地区シリーズの相手にどちらを指名するのか。固唾を飲んで見守る。

発表は生放送の特別番組で行われるかもしれない。カメラが映し出すのは、笑顔か苛立ちか。対戦相手に指名されることは決して名誉なことではない。対抗心はますます燃え上がる。

大学バスケットボールの全米選手権「マーチ・マッドネス」の組み合わせ発表番組に相当する、野球版のショーになり得る。ポストシーズンに新たなドラマが加わる。

これらは決して、単なる私の妄想ではない。

メジャーリーグ機構(MLB)が、全く同じような構想をしているとは言えない。それでも、上位シードがポストシーズンの対戦相手を選ぶという案は、実際にMLBが労使交渉で示した最新の提案に盛り込まれている。

あくまでこの対戦相手の選択制度は、より合理的な日程を組むことで、野球をファンにとってさらに魅力的なものにするための制度改革の一部だ。それぞれの提案に利点があり、組み合わせれば相乗効果をもたらす可能性がある。

提案では、各リーグの第3シードのチームが、第5シードか第6シードのどちらかのチームをワイルドカードシリーズの対戦相手に選ぶ。そのラウンドが終わると、第1シードのチームが勝ち上がったチームの中から地区シリーズの対戦相手を選ぶ。

それは、シード順だけにとどまらない意味も生む。ライバル意識をかき立て、少しでも上位でシーズンを終えるための新たな動機をチームに与える。

MLBが訴えているのは、労使交渉ではめったに見られない、制度の根幹に踏み込む改革だ。長年にわたって存在し、さらに広がりつつある競技面と経営面の格差に対処するため、フリーエージェント制度や年俸総額の上限・下限制度に関する案を示してきた。今回の最新提案の中心にあるのは、日程を見直すことだ。

8日(日本時間9日)に示された提案には、レギュラーシーズンを154試合に減らす一方、地区シリーズの試合数を増やし、ポストシーズンの日程にゆとりを持たせることが盛り込まれた。また、大半のチームで毎週月曜日を休養日とし、全国テレビ中継で注目を集める新たな放送枠を設ける案も含まれている。

変更は、現在交渉中の新たな全国向けのメディア放映権契約に合わせ、2029年から実施する想定だ。一連の改革はすべて、年俸総額の上限・下限制度の導入が前提となる。

目玉となるのは、レギュラーシーズンを162試合から、1904~1960年に採用されていた154試合へ減らすことだ。

MLBとメジャーリーグ選手会(MLBPA)は長年、ポストシーズンの出場チームと試合数を増やしてきた。しかし、そのために年間日程そのものを設計し直すことはなかったため、日程はますます窮屈になっている。

確かに、154試合制になれば、レギュラーシーズンの総試合数は減る。その一部を、ファンにとってより価値の高い試合に振り分けようというのが、この案の狙いだ。地区シリーズを4勝先取にして、実力のあるチームが勝ち上がる可能性を高める。それに、試合がなるべく重ならないように日程を組み替え、新たな全国テレビ中継枠を組み合わせる。

目指すのは、量を減らす代わりに価値を高めることだ。

レギュラーシーズンは1週間早く終了する。各チームはシーズン中、同地区の他球団と1度ずつ、計4度のダブルヘッダーも行う。結果として、ワールドシリーズ第7戦まで進んだ場合でも、その終了日は現行制度より最大でも2日遅くなるだけだ。

4月から10月までの期間を、より有効に使える日程だと言える。

もちろん、実際に失うものもある。

地元の放送局は、中継できる試合数が減る。ファンはレギュラーシーズンの8試合を失い、選手も成績を積み上げる機会が少なくなる。ただし、出来高払い、契約オプション、その他の金銭に関わる条項の達成基準は、試合数に応じて調整される。

交渉を通じた変革には、常に得るものと失うものがある。一方で、関係するすべての側にとって、目立ちにくい利点もある。

154試合制なら、MLBは各チームに週1日の休養日を設けられる。大半のチームでは原則として月曜日となり、選手の疲労や身体への負担をいくらか軽減できる。日曜日のデーゲームに出場した選手は、火曜日のナイターまで試合がないことになる。

休養が増える効果を数値で示すのは難しいが、選手のパフォーマンス向上や、健康面でのある程度プラスに働くはずだ。

また、選手の入れ替えも減るとみられている。

2022〜2025年、各チームのオプションによるマイナー降格は、休養日がある週で平均1.45件、ない週で平均1.9件だった。つまり休養日がある週は、こうした選手の異動が24%少なかったことになる。オプションによる降格は、40人枠に入っている選手をメジャーとマイナーの間で行き来させる際に使われる。

野球という競技、そしてスター選手に、全国規模でスポットライトを当てる機会が増えることも利点だ。

大半のチームが月曜日を休養日とする一方、その日に1、2試合を組み、新たな独占中継枠を設ける予定だ。注目を集める試合が新たに生まれ、全国への露出が増えることになる。なお、祝日や特別イベントとして行われる試合には、月曜休養日の原則を適用しない。

レギュラーシーズンの試合数を減らせば、MLBはポストシーズンの試合日をより効果的に分散させ、同じ日に4試合を行う状況を避けられる。1日4試合は、熱心なファンでさえ追い切るのが難しい。日程を分散させることで、より多くのポストシーズンの試合を、より多くの人に見てもらえる。

経済面の計算は明快だ。価値の高いポストシーズンの試合が増え、10月の日程にゆとりが生まれる。さらに、レギュラーシーズンには月曜日の全国テレビ中継枠が加わる。それらによって放映権契約の規模が拡大し、レギュラーシーズン短縮による減収を補えるはずだ。

近年のファンの盛り上がりをさらに発展させるために、MLBには成長が必要だ。過去20年の収益成長では、北米の他の主要スポーツに後れを取っている。

ポストシーズンの休養日が増えれば、各チームはより多くのイニングを主力投手に任せられる。10月の野球は、レギュラーシーズンとはさらに違うものになるだろう。それでもファンが見たいのは、やはりシーズン最大の舞台でスターが力を発揮する姿だ。

全体として見れば、胸が躍る未来像ではないだろうか。

確かに、レギュラーシーズンの試合数が減ることで、ファン、選手、放送局はそれぞれ何かを失う。それでも、上位を目指す動機が強まり、日程の負担が軽くなり、ポストシーズンの各試合に十分な時間が確保され、全国メディアへの露出が増えるなら、そして、その過程に楽しみも少し加わるなら、試合数が減っても、MLBが届ける野球の魅力はほぼ間違いなく高まるだろう。