【分析】プレーオフ争いの各球団、トレード期限に向けた最大の補強ポイントはどこか

3:08 AM UTC

今年のトレード・デッドラインは8月3日米東部時間午後6時(日本時間4日午前7時)に設定されている。今季も投手市場が主役となる見込みだ。

優勝争いを続けるほぼすべての球団が、投手補強を必要としており、先発投手の補強に動くチームもあれば、ブルペン強化を優先するチーム、あるいはその両方を狙う球団もある。

一方で、野手の補強需要も決して小さくはない。打者市場は各球団の補強ポイントによって動きが分かれるが、打線のテコ入れを検討するチームも多い。

7月を迎える時点でプレーオフ圏まで4.5ゲーム差以内につける24球団を対象に補強ポイントを整理する。

※成績・順位は月曜日時点。

ア・リーグ

レイズ:先発投手(48勝33敗、ア・リーグ東地区首位)

レイズ先発陣は防御率3.29でア・リーグトップを誇るが、補強ポイントは先発投手だ。シェーン・マクラナハンとグリフィン・ジャックスは登板数の管理が必要で、先発投手全体の投球回数399イニングはリーグ13位。ケビン・キャッシュ監督は5番手をオープナーでしのぐ試合を続けており、ブルペンへの負担が大きい。

マイケル・ワカのような実績ある先発を加えられれば、救援陣の負担軽減につながるだろう。さらに、もしタリック・スクーバル級の大物投手が市場に出るようなら、大型補強に動く可能性もある。

ヤンキース:捕手(48勝35敗、ア・リーグ東地区首位と1ゲーム差、ワイルドカード首位)

ヤンキースは捕手の攻撃力がリーグでも最低水準で、このポジションの強化が課題だ。捕手陣は打率.178、OPS.526でともにア・リーグ14位、打点19はリーグ最下位。オースティン・ウェルズは捕手陣唯一となる4本塁打を放っているものの、190打席で打率.157、OPS.499と苦戦している。

ロッキーズのハンター・グッドマンやツインズのライアン・ジェファーズを獲得できれば打力向上が期待できるが、ブライアン・キャッシュマンGMは、投手陣との連携への影響を考慮し、シーズン途中に正捕手を入れ替えることには慎重な姿勢を取ることで知られている。

ガーディアンズ:中軸を担える強打者(44勝40敗、ア・リーグ中地区首位タイ、ワイルドカード2位)

ガーディアンズは今季も平凡な打線ながらア・リーグ中地区の優勝を争っている。

週明け時点では得失点差が「-8」ながら、ホワイトソックスと並んで地区首位タイ。例年通りの粘り強さを見せているが、打線の強化は依然として最優先課題だ。

特に一塁手のOPS.670はア・リーグ14位、DHも同.648で同11位と低迷しており、この2つのポジションはいずれも補強候補となりそうだ。

ホワイトソックス:先発投手(43勝39敗、ア・リーグ中地区首位タイ、ワイルドカード2位)

予想外の快進撃を続けるホワイトソックスは、今や「売り手」ではなく「買い手」としてトレード期限を迎える可能性が高まっている。

クリス・ゲッツGMが補強に動くとすれば、最優先は先発ローテーションだろう。チーム先発陣の投球回数352回2/3はア・リーグ最少。デービス・マーティンやショーン・バークらは、これまでの登板実績を踏まえて慎重に起用される見込みで、シーズン後半の負担管理も欠かせない(つまり球団はイニングや球数を制限して、無理をさせない起用法をすると考えられる)。2021年以来となるポストシーズン進出を目指すホワイトソックスは、先発投手を1〜2人補強する可能性がありそうだ。

レンジャーズ:ブルペン(42勝42敗、ア・リーグ西地区首位)

レンジャーズの救援陣は防御率3.82とア・リーグ5位を記録するが、三振を奪える投手が不在だ。ブルペンの奪三振率は9イニング当たり7.8でア・リーグ最下位。勝負どころを任せられる剛腕リリーフの補強が、課題となりそうだ。

候補としては、2023年の世界一に貢献したアロルディス・チャップマンとの再契約という可能性も考えられる。

マリナーズ:ブルペン(42勝43敗、ア・リーグ西地区首位と0.5ゲーム差、ワイルドカード3位)

マリナーズのリリーフ投手陣の防御率3.67はア・リーグ3位と安定しているが、終盤を任せられるリリーフの補強が必須。過去2年連続でオールスターに選ばれた守護神アンドレス・ムニョスは、今季32試合で防御率4.91、20セーブ機会中5度のセーブ失敗と本来の安定感に欠く。

さらにマット・ブラッシュは広背筋の張りで今季2度目の負傷者リスト入り。復帰時期の見通しも立っておらず、マリナーズは終盤の重要な場面を任せられるリリーフを1〜2枚補強したい。

アストロズ:外野手(42勝44敗、ア・リーグ西地区首位と1ゲーム差、ワイルドカードまで0.5ゲーム差)

最大の補強ポイントは外野手だ。外野陣はOPS.662でア・リーグ13位、打率.217と出塁率.294はいずれもリーグ最下位と低迷しており、打線強化が急務。ブラウンGMは、生産性の高い外野手、とりわけ打線のバランスを整えられる左打者の獲得を最優先課題とすることになりそうだ。

アスレチックス:投手陣(40勝44敗、ア・リーグ西地区首位と2ゲーム差、ワイルドカードまで1.5ゲーム差)

先発、救援ともに補強が必要な状況だ。先発陣の防御率4.97はア・リーグ14位、ブルペンも同4.95で13位。チーム全体の防御率4.96はリーグワーストとなっている。

ただ、その数字には本拠地サクラメントでの苦戦が大きく影響している。本拠地では防御率6.11と低迷する一方、敵地では同3.73とア・リーグ2位の好成績を残している。ポストシーズン進出を目指すためには、補強だけでなく、本拠地での投球内容の改善が大きなカギとなる。

ツインズ:ブルペン(40勝45敗、ア・リーグ中地区首位と4.5ゲーム差、ワイルドカードまで2ゲーム差)

最大の補強ポイントはブルペンだ。救援陣の防御率5.45はア・リーグ最下位で、奪三振と与四球の比率(K/BB)1.72もリーグワーストタイと苦戦が続く。

30試合以上に登板しているリリーフ3人はいずれも防御率4.03~6.16と安定感を欠く一方、ヨエンドリス・ゴメスは24試合で防御率1.25、7セーブと数少ない明るい材料となっている。

チームは借金を抱えながらも地区優勝、ワイルドカードの両争いに踏みとどまっており、ポストシーズン進出へ向けてはリリーフ投手の強化が欠かせない。

ブルージェイズ:先発投手(39勝45敗、ア・リーグ東地区首位と10.5ゲーム差、ワイルドカードまで2.5ゲーム差)

先発ローテーションの5番手が補強ポイントだ。ディラン・シース、トレイ・イェサベージ、ケビン・ゴーズマン、シェーン・ビーバーの4人は実力十分だが、5番手は結果を残せていない。パトリック・コービン、あるいは負傷離脱中で本来の力を発揮できていないマックス・シャーザーに頼らざるを得ない状況にある。

勝率は5割を下回っているものの、ワイルドカード争いには踏みとどまっており、デッドラインまでに先発投手を補強したい。

特にシーズン終了後にゴーズマン、ビーバー、シャーザーがFAになる。ホセ・ベリオスとコディ・ポンセは手術からのリハビリ中であることを踏まえると、複数年にわたって保有できる先発投手の獲得が理想的といえる。

オリオールズ:先発投手(39勝46敗、ア・リーグ東地区首位と11ゲーム差、ワイルドカードまで3ゲーム差)

最大の補強ポイントは先発ローテーションだ。マイク・エライアス編成本部長は最近、「勝負にいく」と明言しており、買い手として補強に動く方針を示している。

オフにはピート・アロンソ、テイラー・ウォード、シェーン・バズを獲得したものの、先発陣の防御率4.38はア・リーグ9位。2024年シーズン終了後にコービン・バーンズが退団して以来、不在となっているエース級先発の補強が求められている。

また、左のリリーフを中心としたブルペン補強にも動く可能性が高そうだ。

レッドソックス:二塁手と遊撃手(36勝46敗、ア・リーグ東地区首位と12.5ゲーム差、ワイルドカードまで4.5ゲーム差)

レッドソックスは二遊間の補強が課題となっている。

今季、トレバー・ストーリーは41試合出場にとどまり、マルセロ・メイヤーも期待された成績を残せないまま、先週、負傷者リスト入りした。

その影響もあり、二塁手のOPS.619、遊撃手は同.600で、いずれもア・リーグ最下位。ポストシーズン返り咲きを目指すためには、どちらか、あるいは両ポジションの戦力アップが必要になりそうだ。

ナ・リーグ

ドジャース:先発投手(54勝30敗、西地区首位)

ワールドシリーズ2連覇中のドジャースは、戦力に大きな穴が見当たらない。あえて、補強ポイントをあげると、やはり先発投手だ。

今季はブレイク・スネルがわずか3イニング、タイラー・グラスノーも39回2/3しか投げておらず、負傷者が相次いだ。一方で、すでに5人の先発が70イニング以上を消化しているが、ドジャースは先発陣の層の重要性を誰よりも理解している球団でもある。

もし、スクーバルのようなエース級投手が市場に出れば、大型補強に動く可能性は十分ある。「ドジャースなら当然そうする」という見方が強い。

ブルワーズ:ブルペン(50勝31敗、中地区首位)

ブルワーズのブルペンは防御率3.72でナ・リーグ5位と安定しているものの、補強ポイントは救援陣だ。

トレバー・メギル、アーロン・アシュビー、アブナー・ウリベを中心に好成績を残している一方で、負傷者も多く、頼れる投手が限られているのが現状だ。

昨季はナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)で敗退しただけに、今季はさらに上を目指すため、パット・マーフィー監督がシーズン後半を戦い抜けるよう、実績あるリリーフを1〜2枚補強する可能性が高そうだ。

ブレーブス:先発投手(49勝33敗、ナ・リーグ東地区首位)

先発ローテーションはシーズンを通して負傷に苦しんでいるが、それでもナ・リーグ東地区では3ゲーム差の首位を維持している。チーム防御率3.85はリーグ3位と高水準を保っているものの、クリス・セールと並ぶもう一枚の“柱”となる先発の補強は急務だ。

特にエース級投手を加えられれば、ナ・リーグ制覇を争う上でドジャースとの差を縮める大きな戦力になる。

ブレーブスは財政的にも柔軟性があり、スクーバルの年俸3200万ドル(約51億円)のような大型契約を引き受けることも可能。さらに有望株も揃っているが、アレックス・アンソポロス編成本部長が“短期レンタル”にどこまで踏み込むかが焦点となる。

フィリーズ:右翼手(47勝37敗、ナ・リーグ東地区首位と3ゲーム差、ワイルドカード首位)

フィリーズは右翼手の戦力が大きな課題となっている。チームの右翼手はOPS.596でナ・リーグ14位と低迷しており、ホワイトソックスから加入したデレク・ヒルは好スタートを切っているものの、ジャスティン・クロフォードやガブリエル・リンコネスJr.から安定した生産は得られていない。

ブランドン・マーシュが外野全体をカバーできるユーティリティ性を持つとはいえ、打線に安定感をもたらすベテラン外野手の補強が必要だ。

カブス:先発投手(46勝38敗、中地区5.5ゲーム差、ワイルドカード2位)

先発陣は防御率4.54でナ・リーグ13位と低迷している。

さらに、ジェイムソン・タイヨン、エドワード・カブレラ、ベン・ブラウンがケイド・ホートン、ジャスティン・スティールとともに負傷者リスト入りしており、ローテーションは大きく崩れている。ポストシーズン争いを維持するためには、即戦力となる先発投手の補強が急務となっている。

ホイヤー編成本部長がスクーバルやジョー・ライアン級のエース獲得に踏み切るかは不透明だが、戦力補強候補となる“層の厚み”を増すタイプの先発投手は市場に複数出る見込みだ。なお、すでにメッツからデビッド・ピーターソンを獲得し、先発事情の改善に動いている。

カージナル:先発投手(43勝38敗、中地区7ゲーム差、ワイルドカード3位)

就任1年目のハイム・ブルーム編成本部長は、今季のカージナルスが買い手に回るとは想定していなかったかもしれないが、予想外の健闘により補強の可能性が出てきている。

特に先発ローテーションの補強は優先事項となる。今季は実質5人の先発が先発機会の大半を担っており、先発陣の登板はほぼ固定されているが、その分ダスティン・メイやカイル・リーヒーの後半戦での疲労や負担増が懸念されている。ポストシーズン進出を現実的に狙うためにも、先発の層を厚さが必要だ。

パドレス:先発投手(43勝39敗、西地区10ゲーム差、ワイルドカード0.5ゲーム差)

パドレスもまた先発投手の層の薄さに悩まされている球団の一つだ。

今季は先発防御率4.51でナ・リーグ12位。負傷者が相次いだ影響ですでに12人もの先発投手を起用する事態となっている。

ジョー・マスグローブとニック・ピベッタが本来の状態で復帰できるかが鍵となるが、A.J.プレラー編成本部長がその“復活頼み”に賭け続けるのかは不透明だ。

補強としては、マイケル・ワカやセス・ルーゴのような実績ある先発投手の獲得が現実的な選択肢となる。一方で、スクーバル級のトップエースに大きく動く可能性は低いが…プレラーGMだけは最後まで読めない存在でもある。

マーリンズ:一塁手&三塁手(44勝40敗、ナ・リーグ東地区6ゲーム差、ワイルドカード0.5ゲーム差)

マーリンズは一塁、三塁の両コーナー内野が明確な課題となっている。

今季は一塁での長打力が不足しており、本塁打はわずか7本でナ・リーグ最少タイ。三塁も固定できず、OPS.543でリーグ最下位と深刻な状態が続いている。

一塁では本来外野手のカイル・ストワーズを起用するなど苦心しており、マイナーでは有望株ケンプ・オールダーマンも一塁での起用が試されている。

三塁もジャビエル・サノハを中心に、グレアム・ポーリー、レオ・ヒメネスらが併用される“流動的な状態”で、固定化できていない。コーナー内野の安定化が、ポストシーズン争いを勝ち抜くための大きな鍵となる。

ナショナルズ:ブルペン(43勝42敗、ナ・リーグ東地区7.5ゲーム差、ワイルドカード2ゲーム差)

予想外に健闘しているナショナルズは、今後、買い手に回る可能性も出てきている。

最大の補強ポイントは明確でブルペンだ。救援防御率5.02はナ・リーグワーストタイと厳しい状況が続いている。

今季はすでに10人の投手がセーブを記録しており、守護神を固定できていない。

終盤を安定して任せられる中継ぎ投手の獲得が急務となる。

パイレーツ:ブルペン(42勝42敗、中地区9.5ゲーム差、ワイルドカード2.5ゲーム差)

パイレーツのブルペンはナ・リーグでも中位以下にとどまっている。

救援防御率4.36、K/BB比2.11、WHIP1.380といずれも安定感を欠く。

クローザーのグレゴリー・ソトは一定の役割を果たしているが、より実績ある投手を加えることでソトをセットアッパーに回し、全体の役割分担を整理する構想もある。

アロルディス・チャプマンの再獲得はコスト面で難しい可能性がある一方、マーリンズが売り手に回った場合、ピート・フェアバンクスやアンソニー・ベンダー、あるいはロッキーズのアントニオ・センザテーラといった選択肢も浮上する。

補強の選択肢は複数あり、パイレーツはトレード期限に向けて幅広く検討していくことになりそうだ。

ダイヤモンドバックス:中軸を担う打者(41勝42敗、西地区12.5ゲーム差、ワイルドカード3ゲーム差)

マイク・ヘイゼンGMは「買い手に回る」と明言しており、補強姿勢は明確だ。

チーム打線はリーグ平均を下回っており、得点はナ・リーグ11位タイ(350得点)、OPS.692は13位、本塁打も74本で同じく13位タイと低調が続く。

特に一塁(OPS.568)とDH(OPS.604)はいずれもナ・リーグ最低水準で、どちらかのポジション強化が急務だ。

今季フリーエージェントとなるルイス・アラエス(ジャイアンツ)は、一塁・二塁・DHの複数ポジションを守れるユーティリティで、打率.324、OPS.807と好調。コスト面でも現実的な補強候補として名前が挙がる。

レッズ:ブルペン(39勝43敗、中地区11.5ゲーム差、ワイルドカード4.5ゲーム差)

レッズのブルペンは防御率4.79でナ・リーグ13位と苦戦している。

さらに接戦時の被打率・被OPS(いずれも.761)もリーグ下位に沈んでおり、終盤の安定感に課題がある。

エミリオ・パガンが太ももの負傷で約2カ月離脱していることも影響しており、復帰は明るい材料ではあるが、それだけでは不十分と見られる。

ポストシーズン進出を狙うためには、勝ちパターンで投げられるリリーフを1〜2枚加えることが必要になりそうだ。