9月に復活のベッツ、好調をポストシーズンに持ち込めるか

September 30th, 2026

2025年、ムーキー・ベッツはキャリアで最も低調な打撃成績に終わった。OPSは.732で、OPS+はほぼリーグ平均となる104。そして今季の大半も、同じような状況に見えた。序盤に脇腹の肉離れで離脱していたため、出場90試合に達したのは8月半ばを過ぎてから。その時点で打率.232、出塁率.238、長打率.401。OPSはわずか.688だった。打順が6番まで下がることもあった。

昨年の不振は、シーズン序盤の体調不良や足指の骨折、あるいは新しいポジションでのプレーによる負担の増加で説明できたかもしれない。しかし、その後のポストシーズンでもOPS.648と振るわず、今年も低迷が続くと、10年以上にわたる殿堂入り級の活躍を経て、緩やかな衰えが始まったように感じられた。30代のスーパースターにキャリアの終わりが見え始めることは、珍しくない。バットスピードや走力の低下を考えれば、なおさらだ。

「以前にも経験しているから、まったく新しい体験というわけではない」とベッツは、シーズンのどん底に近かった7月下旬、オレンジカウンティー・レジスター紙に話した。「でも、この状態が続いてほしくはない。もうすぐ2年くらいになるけど、これが本来の自分だとは思っていない」

やがて状況は変わった。

ベッツは8月最後の10試合で打率.300、OPS.816と大きく調子を上げた。続く9月はさらにペースを上げ、打率.337、出塁率.438、長打率.674、OPS1.112を記録。キャリア全体でも屈指の月間打撃成績となった。

8月20日以降のこの期間は、2024年の開幕直後までさかのぼる、2年以上ぶりの好調ぶりだった。シーズン最後の6週間ではメジャーの打者トップ10に入る成績を残し、ア・リーグMVP候補のヨーダン・アルバレスや同リーグ打点王のピート・アロンソといった強打者に匹敵する打撃を見せた。

大谷翔平、アンディ・パヘス、フレディ・フリーマンが、それぞれ負傷や不振に悩まされるなか、シーズン最後の1カ月にチームで最も好調だった打者はベッツだった。再び1番や2番を打つようになり、ドジャースがナ・リーグ地区シリーズの対戦相手を待つ今、問いはいつの間にか変わっていた。「ムーキー・ベッツはどうしてしまったのか」ではない。「どうやって復調したのか」だ。

絶好調や絶不調の打者を分析するとき、まず注目するのは三振だが、ベッツの場合はそれが原因ではない。そもそも、三振が問題になることがめったにない選手だ。不振だった2025年も、三振率10.3%は自己最高の低さだった。比較的低調だった2026年の最初の5カ月も、上昇したとはいえ11.5%にすぎない。やはり、そこではない。構えを急に変えたわけでもなく、年間を通して一貫していた。バットスピードにも大きな変化はなく、それが主な理由でもない。

かなり単純化すれば、どうやら鍵は次の2点にある。

  • チーム全体を苦しめていた速球への対応を改善することに集中した。
  • その代わり速球に対する空振りは増えたが、それは受け入れた。

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この話を覚えているだろうか。2カ月前、ジ・アスレチックのイーノ・サリス記者は、ドジャースに投じられる速球が大幅に増え、それがチーム全体の打撃不振と重なっていると指摘していた。

ベッツも例外ではなかった。2018年には速球への対応でトップ3に入る打者で、スイングだけでなく見送った球の価値も含むランバリューは+43。2026年を迎えるまでは、常に速球に対して平均以上からトップクラスの成績を残していた。しかし、今年の7月末時点では、速球に対する打率はわずか.223、ランバリューは-2と、初めてマイナスに沈んでいた。

鍵は速球だ。それ以外の球種への対応は、ほとんど変わっていない。ところが、速球に対しては、大きな変化が起きた。9月だけで速球に対して21安打を記録。これは、開幕から6月19日までに速球に対して放った安打数と同じだ。

Betts was consistent against non-fastballs this year, but really turned it on against fastballs in September.

では、どうやって復調したのか。どれほど実績のある打者でも、何カ月も打てなかった速球を、どうすれば突然打てるようになるのだろうか。

まず、変わったのはベッツだけではない。カイル・タッカーも夏場は速球に苦しみ、何カ月にもわたって速球に対する貢献度がマイナスだったが、9月には今季最もよく速球を打った。テオスカー・ヘルナンデスにも、まったく同じことがいえる。マックス・マンシーが9月に速球をよく打ったのは本来の姿といえるものの、彼も7月は速球に大きく苦戦した一人だった。

ここには、カブスと似たところがある。カブスは5月、記録上ほぼどのチームよりも高い割合で変化球を投げられた。ところが、その後はシーズン終了まで、他を大きく引き離す最高の打撃を見せた。ドジャースも、7~8月には速球に対してメジャーで4番目に低調だったが、9月には今季の全チームの月間成績を通じて最高の対応を見せた。

外から見る限り、振る球の選択とどんな意図でスイングするかが重要なようだ。

例えば、ベッツの四球率は急上昇した。昨年は9%、今年の8月半ばまでは7%だったが、9月には15%に達した。別の言い方をすれば、7月と8月の合計で15四球だったのに対し、9月だけで16四球を選んだ。月間の四球率としては、2024年6月以来、2年以上ぶりの高水準だった。(野手が登板した際の四球は一つもない)

ある程度は、単純にストライクが減ったことが理由だった。ベッツに投じられた球のうち、ゾーン内に来た割合は8月の56%から9月には46%へ低下。ベッツはボール球に手を出さず、そのまま四球を受け入れた。ただ、それ以前に、打席での辛抱強さもあった。投手の1球目を降る割合が、それまでと比べて大幅に下がっていたのだ。

(繰り返すが、これはベッツだけではなく、チーム全体の傾向だった。2026年9月のドジャースのスイング率は、2018年以降のどの月よりも低かった。極めて辛抱強い新人ホスエ・デポーラの加入だけで説明できるものではない)

つまり、ベッツはゾーン内への投球が減るなかでも、そこに来た速球を仕留める準備ができていた。重要なのは、9月にはそれまでよりも上向きのスイング軌道で速球を捉えていたことだ。その分、空振りも増えたが、より大きな打撃成果につながるなら悪いことではない。実際、9月に放った長打16本のうち12本が速球を打ったもので、これはメジャー最多だった。

では、10月も同じような活躍を見せることができるのか。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。まず、ベッツは昨年9月も終盤に好調な時期があったが、その後のポストシーズンでは目立った活躍を見せられなかった。また、最近は速球を打ち込んでいるとはいえ、必ずしも球速の高い球を打っているわけではない。96マイル(約154.5キロ)を超える球を長打にしたのは、わずか1本だった。

終盤の好調だけで、2年間にわたる疑問が消えるわけではない。それでも、好調な時期がないよりは、ある方がいい。ベッツのように殿堂入りが有力な選手を見限るのは、たいていの場合間違うことが多い。