「たった一球で火がつく」ドミニカ打線が終盤に爆発

カミネロの勝ち越し2ランが口火

5:44 AM UTC

ドミニカ共和国12-3ニカラグア】マイアミ/ローンデポパーク、3月6日(日本時間7日)

ワールドベースボールクラシック(WBC)初戦を前に、フアン・ソトはドミニカ共和国代表が「楽しんでプレーする」とコメント。それに対して「しかも、かなりにぎやかになるよ」とフェルナンド・タティスJr.は付け加えた。

その言葉通り…ではないだろうが、この日一番の快音を響かせ会場を盛り上げたのは、ジュニア・カミネロの一打だった。

レイズのスラッガーは六回に2ランを放ち、同点だった試合を動かした。これがきっかけとなり、ドミニカ打線が爆発。プール初戦を大量得点で飾った。

「ジュニア・カミネロの一番素晴らしいところは、こういった瞬間を恐れずに、むしろ楽しんでいることだ。これは、この大会で彼が見せる輝きのほんの一部に過ぎない」とアルバート・プホルス監督は絶賛した。

八回にはフリオ・ロドリゲスオニール・クルーズも本塁打を放ち、この回一挙6得点。ニカラグアを一気に突き放した。

ニカラグアのダスティ・ベイカー監督は「五回まではいい試合だったが、あちらの強力打線が目を覚ました。…あんな打線は久しぶりに見たよ」と振り返った。

ニカラグアは翌7日正午にオランダ戦が控えているため、すぐに気持ちを切り替える必要がある。一方、ドミニカ共和国は中1日を開け、8日午後に同じくオランダと対戦する。

タイトなスケジュールになるが、ベイカー監督は「明日がデーゲームでよかった。この敗戦について考えている時間はあまりないからね」と前向きに捉えている。

この日は数千人のドミニカファンが詰めかけたが、ニカラグアのファンも多く駆けつけ、初球から熱気あふれる雰囲気を作り出していた。

ニカラグアは初回、相手先発のクリストファー・サンチェスから、三振振り逃げで先頭打者が出塁すると、3番イスマエル・ムングイアの適時打で先制に成功。さらに、マーク・ビエントスが四球を選び、いきなり無死満塁となった。

しかし、昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票2位の左腕は、続く3人を三振に仕留めてピンチを脱出。この回4奪三振となり、WBC史上初の”1イニング4奪三振”を記録した。

「完全に追い込んでいたし、無死満塁だったから1点以上は取らないといけなかった。大量点を期待していたよ」とベイカー監督は悔しさをにじませた。

その裏、ケテル・マルテが適時二塁打を放って同点に追いつき、さらにブラディミール・ゲレーロJr.の内野ゴロの間に逆転。ドミニカ共和国は初回の大ピンチをしのいだ直後に2点を取り返したが、ニカラグアも簡単には引き下がらなかった。

二回、ニカラグアは最初の5人のうち4人が安打を放ち、フレディ・サモラとチェイス・ドーソンがそれぞれ打点を挙げて3-2と再びリード。サンチェスは1回1/3で降板し、6安打、3失点(自責点2)、1四球、4三振とらしくない投球だった。

三回には“Jロッド”ことフリオ・ロドリゲスが適時打を放ち、再び同点。序盤から点の取り合いが続いた。

しかし、その後は両チームのブルペンが試合を落ち着かせた。ドミニカのリリーフ陣はサンチェス降板後に13者連続でアウトを奪い、ニカラグアも四回と五回を三者凡退に抑える。突如として得点が生まれなくなった球場には緊張感が充満した。

「今日は特に試合序盤のニカラグアの投手陣を称えないといけない。こちらの打者のタイミングを完全に外していた」とプホルス監督は語った。

次に入る1点が勝負を決める、そんな雰囲気が漂っていた。そして、その予感は的中した。

六回、マニー・マチャドがブルワーズ傘下24歳右腕スティーブン・クルーズから二塁打を放って出塁。すると2球後、カミネロが414フィート(約126メートル)の特大アーチを中堅へ叩き込んだ。スタンドもフィールドも大歓声に包まれ、チームメートたちはダグアウトを飛び出してホームへ戻るカミネロを待った。

カミネロは「ベースを回っているときは観客の声が聞こえなかった。完全に集中していた。ダグアウトに戻ったとき、少し涙が出たよ」と振り返った。

カミネロは三塁から本塁まで、ジャンプしたりジェスチャーを交えながらゆっくりとベースを回った。ホームではマチャド、ロドリゲス、タティスJr.が迎え、それぞれとセレブレーションを披露。22歳のスラッガーはチーム特製のホームランジャケットも受け取り、両腕を掲げてファンの声援に応えた。

「われわれのファンは野球を愛している。呼吸するように、食べるように、生活の一部として野球がある。これから数週間、マイアミでそれを見ることになるだろう」とプホルス監督は語る。

その祝福はサヨナラのような盛り上がりだったが、ドミニカ共和国にはまだ勝利を決めるための9アウトが残っていた。

ワンディ・ペラルタとカミロ・ドバルが最初の6アウトを奪い、その後ドミニカ共和国は八回に大量得点。最終的にリリーフ7投手が合計7回2/3を無失点に抑えたが、この夜の主役は最後まで打線だった。

「選手たちはリラックスしている。たった1球、たった1打席で火がつくことをみんな分かっている」とプホルス監督は語った。