メジャーデビューを果たしてから、瞬く間にアスレチックス打線の中心となったニック・カーツ。スーパーマンのような圧倒的なパワーと存在感でア・リーグ新人王に輝いた。しかし、そんなスーパーマンにも弱点はある。
それが守備だ。データ分析サイト、ベースボールサバント(Baseball Savant)のほぼすべての打撃指標で球界トップクラスの成績を残した一方で、守備面は課題が多い。
規定試合数に出場した一塁手の中で、カーツのOAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)は-6、守備防御点も-4と、いずれもメジャー下位となっている。
新人ながら117試合で36本塁打、86打点を記録し、昨季400打席以上の打者でOPS1.000超をマークしたわずか3人(アーロン・ジャッジ、大谷翔平、そしてカーツ)のうちの1人となれば、守備の課題を見過ごすこともできるはずだ。
しかし、チームが目標としているポストシーズン争いに食い込むには、カーツを含めチーム全体として守備力を向上させなければならない。2025年のチームの守備防御点は-34で、MLBで5番目に悪い数字だった。
オフシーズンを母校ウェイクフォレスト大学とデューク大学で過ごしたカーツは、守備練習に多くの時間を割いた。
「12月に挨拶がてら電話をかけたんだ」とアスレチックスの三塁兼内野コーチ、ボビー・クロスビーは語った。
「すると彼が『今何やってたと思う?』と言ったんだ。『何を?』と聞くと、『フライの練習』だって。12月だぞ」
カーツは2025シーズンに強烈なインパクトを残したが、守備では悪い意味で印象に残るシーンもあった。特に風の影響を受ける本拠地のサターヘルスパークでは、右翼やファウルゾーンに入ったフライの処理に苦戦した。
「もし彼に苦手なものが一つあるとすれば、それ(フライの処理)だろう。少し突っつくように取りにいってしまう。ボールを自分のところまで来させる必要がある。打席では自信がある。ポップフライでも同じように自信を持つべきだ」とクロスビーは語った。
その自信を求めて、この冬カーツは練習場にポップフライマシンを設置し、できる限り高くボールを打ち上げ、最大限に難しい状況を作り出した。
「そうすれば、通常のフライがそれほど難しく感じなくなるはずだ。同じポップフライは二度と来ない。太陽や風の影響も考慮して、高い打球に慣れることだ。サクラメントの風は他の場所とは少し違うから、そういったすべてに備えて練習している」とカーツは説明した。
クロスビーの中では、カーツが一流の守備者になることに疑いはない。その理由は、打撃練習での努力を守備練習でも見せているからだ。
「彼は努力し、上達したいと思っている。あれだけ打てる選手が守備にもそこまでこだわるのは珍しいかもしれない。でも彼はそうなんだ。彼は素晴らしい守備者になると思う。必要なものはすべて持っている。センスも、ハンドリングも、グラブさばきもある」とクロスビーは語った。
攻撃面でカーツはさらに何を改善できるのか。本人にとって明確な目標の一つは、左投手への対応の向上だ。昨季は右投手には打率.336、OPS1.153だったのに対して、左投手には打率.197、OPS.685と苦戦した。
カーツはこの課題にも向き合い、その成果が早速17日(日本時間18日)に表れた。チームのライブBP初日、左腕ジェフリー・スプリングスに対し3-1のカウントからの速球を捉え、左中間フェンスを大きく越える本塁打を放った。練習場に設置された機器によると、推定打球速度は120マイル(約193キロ)だった。
「正直に言えば、昨年と同じ自分でありたいだけだ。一貫性が非常に重要だ。良い感覚で打席に立っているときがどんな状態かを理解すること。そしてオフシーズンに毎日、BPでその打ち方を繰り返し練習し、それが当たり前になるようにすることだ」とカーツは語る。
「スランプは必ず来る。自分のスイングがどうなっているのか分からなくなる時期もある。大事なのは、スイングが良いときの感覚を理解し、調子が落ちたときにそれを再現する方法を見つけることだ」
