カブスの編成部門代表ジェド・ホイヤーは、今オフの最優先事項がローテーションとブルペンの両方における投手補強であることを明言した。
今永昇太が2202万5000ドル(約36億8000万円)のクオリファイングオファーを受諾して残留を選んだことで、ローテーションの一角は固まったが、いまだに先発投手の補強は必要だ。
ここでは、カブスが獲得を狙っているとされる、FA先発投手のトップ5の長所と短所を整理する。
※以下の投手は、MLB.comのマーク・ファインサンドによる2025-26年FAランキングの順位順に記載。所属球団は2025年のもの、年齢は2026年シーズン時のもの。
ディラン・シース(パドレス、30歳)
2025年は防御率4.55(32先発)とやや低調な成績に終わったものの、右腕は依然としてリーグ屈指の耐久性と実力を兼ね備えており、サイ・ヤング賞候補に挙がる存在だ(2022年ア・リーグ2位、2024年ナ・リーグ4位)。
【長所】
シースは2014年にカブスがドラフトで指名し、その3年後にホワイトソックスへトレードされた。球質は球界トップクラスで、速球とスライダーを軸に組み立て、昨季は奪三振率29.8%、空振り率33.4%(全体の上位5%)を記録した。防御率4.55に対し、想定防御率(xERA)は3.46、FIPは3.56と内容は表面上の成績以上に優れている。
【短所】
シースは三振を奪えない時、極端なフライボール投手になる。昨季、打球の62.7%がフライかライナーだった。風で打球が伸びやすいリグレーフィールドではリスクになりうる。
マイケル・キング(パドレス、31歳)
キャリア序盤をア・リーグで過ごしたのち、過去2年間はパドレスでプレー。ヤンキース時代は主にリリーフだったが、パドレスで先発に転向し、2024〜25年は防御率3.10の好成績を残した。
【長所】
フォーシーム、シンカー、スライダー、スイーパー、チェンジアップの5球種を操り、弱い打球を多く生む右腕。2024年の強打率30.3%は全体の上位3%だった。特にチェンジアップは強力で、被打率.181を記録した。
【短所】
2025年は肩の神経痛と膝のケガでシーズンの半分近くを欠場した。15先発で防御率3.44と悪くはなかったが、xERAは4.31と1点近く高く、被バレル率は11.4%と前年の倍近くに跳ね上がった。シース同様にフライボールを打たれる傾向にある(ゴロ率39.1%)。
レンジャー・スアレス(フィリーズ、30歳)
過去2年間、メジャー屈指の左腕として活躍してきた。2024〜25年のフィリーズでの防御率は3.33で、奪三振能力は平均的だが、打たせて取る技術は一流である。
【長所】
弱い打球を生む能力に加え(強打率31.1%は全体の上位2%)、高いゴロ率も特徴。昨季のゴロ率48%はキャリア平均52.9%より低下したとはいえ依然高い。カブスに加入すれば、二塁ニコ・ホーナー、遊撃ダンスビー・スワンソンという鉄壁の内野守備の恩恵を強く受けることになる。
【短所】
ケガが多く、キャリアで30先発を達成したことがない。特に腰痛の既往歴があり、過去2年も腰の問題で長期離脱している。
今井達也(西武ライオンズ、28歳)
NPBからMLBへ渡る次なるスター候補だ。昨季は埼玉西武ライオンズで163回2/3、防御率1.92を記録し、NPB8年間の通算防御率は3.15。
【長所】
MLBネットワークのモロシによれば、今井はメッツの千賀滉大に近い、もしくはそれ以上の評価を受けている。最速99マイル(約159キロ)の速球に加え、スライダー、チェンジアップ、スプリット、シンカーを持ち、メジャーでは先発ローテ上位とみなされている。今季のNPBではゴロ率53.8%を記録した。
【短所】
NPBからMLBへ移る選手には常に「適応できるかどうか」という未知の要素が伴う。近年は今永昇太や山本由伸の成功例があるものの、リスクが消えるわけではない。ただし今井にもその不確実性はある。2025年こそ四球率が改善したが、それ以前は毎年二桁に達していた。
フランバー・バルデス(アストロズ、32歳)
オールスターに2度選出されるなど、ここ数年でメジャー最高クラスの左腕として実績を積んできた。とにかくゴロを打たせるのが上手く、通算ゴロ率は61.5%。
【長所】
ゴロ率の高さは、風で打球が伸びやすいリグレーフィールドでは特に価値がある。過去4年で平均192イニング、防御率3.21と非常に安定しており、ポストシーズン16先発の実績も持つ。
【短所】
2025年は最初の21先発で防御率2.62と抜群の内容だったが、最後の10登板では防御率6.05に悪化。9月2日のヤンキース戦では、本塁打を打たれた直後、サインミスを口実に意図的に捕手の胸に投球を当てたとされ、物議を醸した。
