6日(日本時間7日)、MLBはクオリファイングオファーの提示期限を迎え、13人のフリーエージェント(FA)選手に対してクオリファイングオファー(年俸2202万5000ドル=約33億円の1年契約)が提示された。
クオリファイングオファーの返答期限は東部時間の18日午後4時(=日本時間19日午前6時)。受諾した選手は1年2202万5000ドルの契約で元の所属球団に残留する。拒否した選手は引き続きFAとなり、元の所属球団と再契約することも可能。別の球団と契約した場合、元の所属球団にはドラフトの補償指名権が与えられる。
ちなみに、クオリファイングオファーの制度が導入された2012年以降、受諾した選手はわずか14人しかいない。
ここでは、クオリファイングオファーの提示を受けた13人のFA選手のほか、提示を受けなかった主な選手、さらに提示を受ける資格がなかった選手について見ていく。
◆クオリファイングオファーの提示を受けた選手
※2025年のWARの順に紹介(総合指標WARはFanGraphsを使用)
カイル・シュワーバー(DH/フィリーズ)
2025年fWAR:4.9
シュワーバーにとって、フィリーズとの契約最終年はこれ以上ないほど素晴らしいシーズンとなった。全162試合に出場してリーグ最多の56本塁打を放ち、メジャー最多の132打点を記録。OPS+は自己最高の150をマークし、フィリーズとの4年契約を華々しく締めくくった。契約期間中、シュワーバーの187本塁打を上回るのはメジャー全体でアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だけ。ポストシーズンでも見事な活躍を見せ、通算23本塁打は歴代3位タイにランクインしている。
カイル・タッカー(外野手/カブス)
2025年fWAR:4.5
今オフのFA市場の目玉として注目されるタッカーは、2021年以降にWAR23.4(FanGraphsより)、OPS+145を記録。アストロズからカブスへ移籍した今季は右手の亀裂骨折、左ふくらはぎ痛とケガに悩まされたが、136試合に出場し、自身3度目となる20本塁打&20盗塁を達成(22本塁打、25盗塁)しただけでなく、OPS+143と例年通りの好成績を残した。
レンジャー・スアレス(先発投手/フィリーズ)
2025年fWAR:4.0
スアレスはフィリーズの先発ローテーションに加わった2021年以降、116試合に先発して防御率3.39を記録。これは同期間に100試合以上先発した投手の中で13位の好成績だ。また、ポストシーズンでも素晴らしい成績を残しており、通算42回2/3を投げて防御率1.48をマークしている。
フランバー・バルデス(先発投手/アストロズ)
2025年fWAR:4.0
「真のエース」が不足しているFA市場において、おそらく最高の先発投手であると思われるバルデスは、アストロズで継続的な成功を収めてきた。2020年以降、973イニングを投げて防御率3.23を記録。奪三振とゴロ率を両立させたピッチングで先発ローテーションを牽引してきた。
ボー・ビシェット(遊撃手/ブルージェイズ)
2025年fWAR:3.8
2024年はケガに悩まされ、81試合でOPS.598に終わったビシェットにとって、今季はFA前に自身の価値を証明するための重要なシーズンだった。かつての輝きを取り戻し、打率.311、18本塁打、94打点、OPS.840の好成績をマーク。見事な復活を遂げた。
ディラン・シース(先発投手/パドレス)
2025年fWAR:3.4
成績は安定していないものの、シースは素晴らしい球威を持ち、非常に頑丈な投手であることを証明している。今季は全先発投手の中でトップの空振り率33.8%(1000スイング以上)を記録。5年連続で32試合以上に先発し、214個以上の三振を奪っている。
トレント・グリシャム(外野手/ヤンキース)
2025年fWAR:3.2
今季最大のサプライズの1つであるグリシャムは、本塁打(34)、打点(74)、四球(82)、OPS(.811)など多くの部門でキャリアハイを更新。2022~24年は合計381試合で打率.191、39本塁打、出塁率.298、長打率.353と低迷していたが、大きく飛躍した。
グレイバー・トーレス(二塁手/タイガース)
2025年fWAR:2.6
トーレスは昨オフにFAとなった際、ヤンキースがクオリファイングオファーを提示しなかったため、今オフ、タイガースからクオリファイングオファーの提示を受ける資格がある。1年契約でタイガースに加入した今季はオールスター選出を果たしたが、後半戦にOPS.659と失速。シーズントータルでは16本塁打、74打点、OPS.745、OPS+108にとどまり、前年とほぼ同水準の成績だった。
エドウィン・ディアス(救援投手/メッツ)
2025年fWAR:2.0
ディアスは2022年シーズン終了後にFAとなった際、メッツからクオリファイングオファーの提示を受けなかった。クオリファイングオファーの提示期限前に5年契約で残留したからだ。今季は防御率1.63をマークし、9イニングあたり13.30奪三振と三振奪取能力の高さも健在。オプトアウトの権利を行使し、5年契約の残り2年を破棄してFAとなった。
ブランドン・ウッドラフ(先発投手/ブルワーズ)
2025年fWAR:1.8
ウッドラフはキャリアを通してケガに悩まされており、昨季は右肩の手術で全休。しかし、2019年以降、健康時にはメジャー屈指のパフォーマンスを続けている。今季途中にケガから復帰し、12度の先発登板で防御率3.20、K/BB(奪三振と与四球の比率)5.93を記録。シーズン終盤に右広背筋を痛めて離脱したが、復活をアピールした。
ザック・ギャレン(先発投手/ダイヤモンドバックス)
2025年fWAR:1.1
ダイヤモンドバックスは今季、シーズン終了後にFAとなる予定の選手を夏場に次々と放出したが、ギャレンはチームに残した。今季は33試合に先発し、自己ワーストの防御率4.83。2019~24年には防御率3.29をマークしていたが、今季は本来の実力を発揮できなかった。
今永昇太(先発投手/カブス)
2025年fWAR:0.9
今永はメジャー最初の2年間で54試合に先発し、防御率3.28、K/BB5.39を記録したが、カブスは3年契約のオプションを破棄。今永も1年契約でカブスに残留するオプションを破棄したため、FAとなった。
マイケル・キング(先発投手/パドレス)
2025年fWAR:0.8
キングは昨季、フルタイムの先発投手への転向を成功させ、サイ・ヤング賞投票で7位にランクイン。今季も好成績を残していたが、ケガに泣き、シーズンの約半分を欠場した。
◆クオリファイングオファーの提示を受けなかった主な選手
ルイス・アライズ(パドレス)
ザック・エフリン(オリオールズ)
ルーカス・ジオリト(レッドソックス)
ホルヘ・ポランコ(マリナーズ)
デビン・ウィリアムス(ヤンキース)
◆クオリファイングオファーの提示を受ける資格がなかった選手
FA選手全員がクオリファイングオファーの対象となるわけではない。過去にクオリファイングオファーの提示を受けたことがある選手は対象外となる。つまり、以下のFA選手たちはクオリファイングオファーを受ける資格がない。
ピート・アロンソ(メッツ)、タイラー・アンダーソン(エンゼルス)、クリス・バシット(ブルージェイズ)、コディ・ベリンジャー(ヤンキース)、アレックス・ブレグマン(レッドソックス)、アレックス・カッブ(タイガース)、マイケル・コンフォート(ドジャース)、パトリック・コービン(レンジャーズ)、ジェイソン・ヘイワード(パドレス)、ライセル・イグレシアス(ブレーブス)、ケンリー・ジャンセン(エンゼルス)、ニック・マルティネス(レッズ)、マーティン・ペレス(ホワイトソックス)、マーセル・オズナ(ブレーブス)、J・T・リアルミュート(フィリーズ)、デービッド・ロバートソン(フィリーズ)、カルロス・サンタナ(カブス)、マックス・シャーザー(ブルージェイズ)、クリス・テイラー(エンゼルス)、ジャスティン・ターナー(カブス)、ジャスティン・バーランダー(ジャイアンツ)
また、メジャー/マイナーにかかわらず、レギュラーシーズン開幕日から最終日まで、同じ球団に所属していなかった選手も対象外となる。このカテゴリーに該当する主なFA選手は以下の通り。
ハリソン・ベイダー(フィリーズ)、ライアン・ヘルズリー(メッツ)、メリル・ケリー(レンジャーズ)、キム・ハソン(ブレーブス)、ジョシュ・ネイラー(マリナーズ)、ライアン・オハーン(パドレス)、タイラー・ロジャース(メッツ)、エウヘニオ・スアレス(マリナーズ)、マイク・ヤストレムスキー(ロイヤルズ)
