ドジャース以上?躍進カブス、好調の理由5つ

April 26th, 2025

シーズン開幕を東京で迎えたドジャース。その時は、多くの人が彼らを「今季最強チーム」と見なしていた。

しかし、今その見方に変化が生まれつつある。むしろ、東京では悔しい思いをしたチームが、ナ・リーグ最強の座に最も近づいているのだ。

22日(日本時間23日)から本拠地リグレー・フィールドで行われたドジャースとの2連戦を、カブスは見事スイープ(2勝0敗)。特に現地火曜日の試合では、11-10の大逆転勝利を収めるなどその勢いは本物だ。

ナ・リーグに止まらず、MLB全体で今、最も強いチームはカブスなのではないか。そんな声すら上がっている。

オフシーズン、カブスは12月13日にカイル・タッカーをトレードで獲得する大きな動きを見せた一方、それ以降の補強は終始控えめ。昨季は83勝79敗と、2年連続で中途半端な成績に終わっただけに、多くのファンが不安と共にシーズンを迎えた。

しかし、東京シリーズからわずか5週間。気づけば今季のドジャースとの対戦成績はここまで4勝3敗と勝ち越しを記録。

さらに、金曜日から始まったフィリーズとの3連戦を白星でスタートし、26日(日本時間27日)時点でナ・リーグ中地区では2位に4ゲーム差をつけて首位に立っている。

この好調は決して運によるものではない。むしろ、その反対とすら言える。

最初の6試合は2勝4敗とやや出遅れたものの、その後は15勝6敗と絶好調。そして、特筆すべきはこの成績を、最も厳しいスケジュール(開幕から27試合中、勝率5割未満のチームと対戦したのは3試合のみ)の中で実現していることだ。

フィリーズ以降もブルワーズ、ジャイアンツ、メッツといった強豪との対戦が続くが、その先は比較的緩やかな日程が待っており、今のカブスには、快進撃をさらに加速させる条件が整っているのだ。

今、全MLBの中でもっともポストシーズン進出に近い(もちろんドジャースも含め)シカゴ・カブス。その好調を支える理由を5つ紹介する。

1)MLB No.1得点力の打線

カブスはMLB全体で最も破壊力のある攻撃陣を誇る。
現地金曜日時点で、カブス打線はメジャー3位の本塁打数(38本)、1位の盗塁数(44盗塁)を記録。平均得点は6.2点と、続くダイヤモンドバックス(5.5点)やヤンキース(5.3)を大きく引き離している。

遊撃(スワンソン、打率.196)と三塁(マット・ショウ、現在3A)にやや不安はあるが、それ以外のポジションは攻守ともに安定している。

鈴木誠也がその真価を発揮し、マイケル・ブッシュが一塁で攻守にわたって好成績を収め、捕手コンビのカーソン・ケリーとミゲル・アマヤも安定。さらにベテランのニコ・ホーナーとイアン・ハップも復調しており、上位から下位まで、相手投手にとって逃げ場のない打線となっている。

2)カイル・タッカーがMVP級の活躍

メジャーで最高の選手の一人としての地位を確立しているカイル・タッカー。しかし、ここまではその期待をさらに上回る成績を残している。

打率.308、出塁率.414、OPS1.031と全てがキャリアハイ。ライトでの守備も安定感抜群で、さらには8盗塁と足でも貢献している。

打点(25)はナ・リーグ3位、得点数(25)はメジャー全体トップとあらゆる面においてチームを牽引。
今やタッカーは、「過小評価されていた選手」ではなく、「ナ・リーグMVP最有力候補」である。

3)ピート・クロウ=アームストロングの台頭

今季のピート・クロウ=アームストロングは一味も二味も違う。長いこと期待されていたそのポテンシャルを遺憾無く発揮し、華々しいブレークアウトシーズンを迎えている。

水曜日のドジャース戦では、3安打2盗塁、さらに決勝スリーランと圧巻のパフォーマンスを披露。

「走塁、攻撃、守備。試合のすべての局面に影響を与えることができる。それこそが特別な選手である証だ」とカウンセル監督も賛辞を惜しまない。

ここまで、打率.295、5本塁打、12盗塁。守備ではプラス6(メジャートップタイ)の「Outs Above Average」(平均と比べて、守備でどれだけ多くアウトを奪ったか)を記録しており、センターでの守備はすでにリーグ屈指だ。

強いて言えば、より四球を選べるようになれば(今季ここまで6四球)さらに隙のない選手へと成長するだろう。そこを相手投手たちが突いてくる可能性は否めないが、それを差し引いたとしても、今季のカブスの躍進の中心に彼がいることは間違いない。

4)補強の可能性

カブスにとって最大の誤算は、エース左腕のジャスティン・スティールがシーズン絶望となったことだ(4月18日に右肘を手術)。しかし、打線の爆発と、今永昇太&マシュー・ボイドの好投で、ここまでは大きな失速を免れている。トレードの期限は7月31日まで。ローテーションの穴を埋める選手を焦らずに見定めることができるのは大きなアドバンテージだ。

加えて、カブスはファームシステムもトップ10にランクインしており、トレードデッドラインまでに即戦力投手を補強する可能性が高い。スターターであるはずのマット・ショウが不調な三塁の穴も、必要なら市場で埋めに行くだろう。何より、今季は「カイル・タッカーがいる」シーズン。王座を掴むため、可能な手は全て尽くすはずだ。

5)中地区のライバルたちが脅威ではない

そして、何よりもカブスが最もプレーオフ進出に近い理由、それは、彼らがナ・リーグの東地区でも、西地区でもなく、中地区に在籍していることだ。

リーグ屈指の投手の一人、スキーンズを擁するパイレーツは補強不足で低迷。勢いのある若い打線を誇るカージナルスはブルペンが不安定で、反対にブリュワーズは打線に勢いと厚みがなく、レッズは若手は多いが安定感に欠けている。

いずれもカブスと比べると明確に戦力差があり、しかもカブスはまだこれら地区内のチームと一度も対戦していない。

これから迎える地区内対戦で白星を積み重ねれば、2018年以来のシーズン通してのプレーオフ進出がぐっと現実味を帯びるだろう。