メッツとの前半戦シリーズ最終戦を前に、レッドソックスは、文字通りの「弾丸強行軍(強行出場)」を強いられた。
ホワイトソックスを3連勝でスイープし、6連勝。直近12試合で10勝と破竹の勢いに乗るチームは、9日(日本時間10日)試合後にニューヨーク・マンハッタンのホテルでゆったりと旅の疲れを癒やすはずだった。
ところが、チャーター機の機体トラブルが発生。急遽シカゴのホテルへ引き返す羽目になり、ようやくチェックインできたのは10日(日本時間11日)の午前2時頃だった。
数時間の睡眠をとって再び機内に乗り込んだものの、今度は別の箇所に不具合が見つかり、さらに数時間の足止めを喰らう羽目に。当初予定されていたメッツ戦(午後7時15分開始)のわずか4時間前にようやくシカゴの空港を離陸。ニューヨークのラガーディア空港に到着したのは、午後4時40分だった。
2026年オールスターは7月14日(日本時間15日)開催!
唯一の救いは、空港から敵地シティ・フィールドが目と鼻の先だったことだ。
午後5時頃に球場へ滑り込んだナインは大急ぎで準備を開始。メッツ側もこの緊急事態を考慮し、試合開始時間を35分遅らせて午後7時50分に変更する措置を取った。
裏方スタッフがアウェイ用のロッカーを大慌てでセッティングするなか、チームはできる限り普段通りのルーティンをこなそうと必死だった。
チャド・トレイシー監督代行は「選手たちは着替えを済ませて、これから打撃ケージに入って準備を整えるところだ」と慌ただしく語った。
この最悪な状況を、チームは笑いに変えていた。
先発左腕のペイトン・トールは「もう笑うしかなかったよ。あまりに理不尽で、みんなで顔を見合わせて笑っちゃった」と振り返る。拘束されるとは知らず、機内のドーナツを5個も平らげたという。
そんな過酷な移動日のなかで、最高の瞬間を迎えたのがセンターのセダン・ラファエラだった。
まだ飛行機が動かない機内で、チャド・トレイシー監督代行が機内アナウンスのマイクを握った。負傷辞退したヤンキースのアーロン・ジャッジの代役として、ラファエラのオールスター初選出が決まったというサプライズ発表だ。機内は一気に歓喜に包まれた。
「みんなで大きなハグを交わしたよ。ラファエラはしばらく顔を両手で覆って、涙を流しているようだった。あのような形で評価されたことは、彼にとって本当に大きな意味があるんだと思う」とトレイシー監督代行は嬉しそうに語った。
その後も遅延は続いたが、直近2週間で勝ちまくっているチームの雰囲気は最高だった。ラファエラは「みんなで音楽を聴いたり、トランプをしたり。今のチームは本当にひとつになっているよ」と語る。
トールも「幅2メートルちょっとの鉄の筒に10時間も閉じ込められれば、嫌でも仲良くなるさ。この騒動をネタにしたTシャツでも作られるんじゃないかな」と笑う。
実は、レッドソックスが移動トラブルに見舞われるのは、今回の遠征で2回目だ。前回は午前5時帰着の強行軍ながら、その夜のヤンキース戦で勝利を収めている。ハプニング続きとなった10日、チームは前回の再現を狙い、もう一つのニューヨーク球団とのタフな一戦に臨む。
