【ヤンキース4−5xレッドソックス】ボストン/フェンウェイパーク 6月28日(日本時間29日)
試合序盤の主役はヤンキース先発ソニー・グレイだった。八回1死まで無安打に抑える圧巻の投球で、ノーヒッター達成も見える内容だった。さらに八回にはスペンサー・ジョーンズからの空振り三振でキャリア2000奪三振をマーク。
しかし試合は、レッドソックスが2点リードで迎えた九回に大きく動いた。
守護神アロルディス・チャップマンが安打と四球で無死一、二塁を招くと、ベン・ライスの右翼への犠牲フライをウィリヤー・アブレイユが痛恨のミス。まず1点を失い、さらにゴールドシュミットの野選も絡んで同点に追いつかれた。
試合は延長十回にもつれ込んだ。
ヤンキースがその表に2点を勝ち越したが、レッドソックスはアンソニー・シーグラーのタイムリーで1点を返すと、無死一塁で吉田正尚が代打で送られた。
吉田はヤンキースのクローザー、クルーズの初球、高め91.8マイル(約147.5キロ)を捉えると、打球は右翼線への二塁打とで無死二、三塁の好機を作る。さらに続く鄭宗哲(チェン・ツンチー)の犠飛で同点に追いつくと、ジャレン・デュランの右翼への鋭い打球の間に吉田が生還し、レッドソックスが劇的なサヨナラ勝利を収めた。
試合後、チャド・トレイシー暫定監督が会見を行っている間も、場内からは「レッツゴー・レッドソックス!」の大合唱が響いていた。
今季序盤は低迷し、貯金ゼロから10ゲーム差の借金(36勝46敗)に沈むチームにとっては珍しい熱狂だった。トレイシー監督は「今特別な4日間だったし、ファンも完全に乗っていた。すごい声援だった」と語った。
ヤンキースとの4試合スイープは、2018年8月以来となるライバル戦での快挙だった。
試合を決めたのはデュラン
最後に試合を終わらせたのはジャレン・デュランだった。
デュランは6月に入ってから90打数で打率.156と苦しみ、長打も少ない状態が続いていた。しかし、1死三塁という場面で放った打球は、前進守備の外野の間を抜ける一打だった。
デュランは「意味の大きい打席だった。今季はチームをがっかりさせてしまったと感じることも多かったけど、少し重荷が下りた気がする。本当にいい感覚だった」と振り返った。
先発陣が生む圧倒的な安定感
この日のグレイは、通算345試合の先発の中でも屈指の内容だった。7回1/3を投げて許した安打はわずか1本、9奪三振1四球の快投で試合を支配した。
これでレッドソックス先発陣は11試合連続でクオリティスタートを記録。1988年以来となる球団最長の記録に並ぶ勢いで、その11試合で先発陣は7勝1敗、防御率1.51という驚異的な数字を残している。
グレイの好投が報われない展開になるのではという不安も一時は漂った。しかし本人は最後まで信じ続けていた。「ずっとポジティブな気持ちで投げていた。追いつかれて、逆転されたときもクラブハウスで周りに『まだ勝てる、まだ勝てる、まだ勝てる』と言い続けていた。そして実際に勝てた。本当に最高だった」と振り返った。
守護神チャップマン、歴史目前の節目
不調気味の登板が続くアロルディス・チャップマンだが、この試合では2つ三振を奪い、通算1363奪三振に到達。リリーフ投手として史上最多タイとなるホイト・ウィルヘルムに並び、歴史的な節目にあと一歩と迫った。
チャップマンは個人記録について、「素晴らしいことだし、これまでのキャリアを反映している。ただ自分としては、チームの勝利とセーブのために毎試合投げている」と語っている。
直近5試合ではセーブ機会4度のうち2度失敗し、4イニングで4奪三振3四球とやや苦しい内容が続く。また今月は太ももの問題も報じられていた。
ただし指揮官は状態について、「問題ない。健康そのものに見えるので、九回に起用した」と説明している。
吉田正尚、復調の兆し
デュランと同様に、吉田正尚も6月は苦しい打撃が続いていたが、直近2試合では4打数3安打。長打と本塁打を含む内容で状態を上げてきている。
延長の大事な場面で代打として起用され、勝ち越しにつながる場面で右方向への二塁打を放った。この一打でモナステリオが得点圏に進み、チェンの同点犠飛へとつながった。
吉田は打撃の修正点について、「左肩を開かず、しっかりとスイング軌道をゾーンに通すことを意識している」と語った。
