大谷翔平の復帰登板を徹底分析

結果以上に充実した内容の投球

June 17th, 2025

全ての野球ファンの視線が注がれた大谷翔平の投手復帰戦は1イニング28球を投げ、2安打1失点と、決して完璧な内容ではなかった。

それでも、この日の彼の投球は紛れもなく我々が楽しみにしていた「投手・大谷」の復活を告げるものとなっていた。

確かに制球に多少の課題はあったし、三振を奪うこともできなかった。しかし大谷の投球は強力パドレス打線相手にしっかりと機能していた。何より2年弱公式戦のマウンドから離れていたことを忘れてはならない。

以下に大谷の待望の投手復帰戦で見えた3つの収穫をデータを元に分析しよう。

1)平均159キロの直球

肘の手術明けの投手は球速の低下が懸念されるが、大谷のボールは明らかに走っていた。それどころか、2023年に負傷する前と比べて、全体的に約3〜5キロ速くなっていたのである。

アラエスに投じた100.2マイル(約161キロ)の直球は、2023年8月3日以来の100マイル超え。久々の短い登板によるアドレナリンの影響もあるだろうが、それでも160キロを投げられる投手は限られている。

実際、スタットキャスト導入以降、ドジャースで100マイルに到達した先発投手は、大谷、佐々木朗希、ボビー・ミラー、ダスティン・メイ、ウォーカー・ビューラーの5人のみである。

大谷は登板前、153〜154キロを目安にしていると語っていたが、実際には平均約159キロ。タティスから空振りを奪ったド真ん中の158キロ、直球に対して空振りをほとんどしないアラエスにバットを振らせた159キロの1球など、直球でスーパースターをねじ伏せるポテンシャルを持っていることを証明した。

語弊を恐れず単純化して言えば、160キロを投げられるのはやっぱりヤバい。

2)シンカーの成長

大谷のシンカーが質量ともに成長をとげている。

月曜日のシンカーの平均球速は157キロ。これは、2023年から5キロ弱の増加となっており、縦に約63.5cm、横に約38.1cmとこれまでと同等の変化量を維持したまま、球速アップに成功している。

特にこの球速でこの縦の変化量を持つのは、スキーンズやソリアーノら、ごく限られた投手のみ。この試合でも左打者のアラエスとシーツに対して157キロと159キロのシンカーを投げ、見逃しストライクを奪った。

全球種に対する使用割合も、2023年の6%から、29%へと大幅アップ。シンカーは直球とのコンビネーションで打者を迷わせるほか、スイーパーと逆方向に動くため、相互に補完し合える球種。また一つ強力な決め球が増えるかもしれない。

※上記画像は大谷の2025年登板(左)と2023年(右)における投球の変化量(Induced Break)と球種の使用割合(Usage)を比較したもの。

  • 表部分は上から、使用割合、球速、右投手平均を示す。
  • 各円は球種を表し、色で区別(スイーパー=黄色、フォーシーム=赤、シンカー=オレンジなど)
  • 位置はボールの横方向・縦方向の変化(Induced Break)を示し、サイズは使用割合の多さを反映
  • 斜線で表示されている円がMLB投手平均。

3)代名詞・スイーパーも健在

大谷は2022年から2023年にかけて、全投手トップとなる、スイーパーで153三振を記録。まさに彼の代名詞とも言える球種の一つでMLBトップクラスの質を誇る。

今回の登板では三振こそ奪えなかったが、その威力はまったく衰えていなかった。平均球速は約140キロで、横の変化は約30cm。これは2022年の平均約137キロ・約35cmに近く、速さとキレのバランスがしっかりと取れている。

なお2023年は平均約135キロ・約40cmとより大きく曲がっていたが、一般的にスイーパーは球速が速い方が効果的とされており、先日の内容はポジティブな傾向と捉えることができる。

しかも、この2023年の平均135キロでさえも、MLB全体の平均より3キロほど速い。実際に月曜日に唯一奪ったスイーパーでの空振りも約135キロだった。なおバットが止まったと判定されたマチャドに投じた1球は142キロをマークしていた。

この日は乱れていた変化球の制球が戻ってくれば、三振の山を築くのも時間の問題だろう。