大谷、WS初登板は思うようにいかず

打線が沈黙しシリーズは2勝2敗に戻る

October 29th, 2025

ドジャース2-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月28日(日本時間29日)

時に、大谷翔平(31)は試合の流れそのものを、自らの意志だけでねじ曲げてしまうような夜がある。マウンドに立つとき、その支配力はさらに増し、攻守両面でゲームを掌握する。

このスーパースターは、まさに「止められない存在」と呼ぶにふさわしい。第3戦では驚異の9出塁を記録し、その圧倒的な力を見せつけた。しかし第4戦では、その力を封じ込められることもあると証明された。

大谷は唯一無二の存在だが、打線の中では9人のうちの1人であり、ドジャースも、それを理解している。本人がどれほどチームを背負おうとしても、勝利はひとりの力だけでは成り立たない。この日の大谷は二刀流として「良くも悪くもない」出来だった。だが、チームは前日の18回の死闘から立て直したブルージェイズのようにはいかなかった。

これでワールドシリーズの決着はトロントでつくことが確定した。第5戦を制して北へ向かうチームが有利なのは言うまでもなく、現在の7戦4勝方式で行われた過去のポストシーズンでは、第5戦を敵地で戦ったチームがその後シリーズを制したのは61回中35回(57.4%)となっている。

さらに、2勝2敗で迎えた第5戦の勝者がそのシリーズを制した確率は68回中46回(67.6%)だ。

「まずは明日勝つこと。それから先のことはそのあと考えればいい。実質的に1試合のシリーズを戦っているようなものだ」とマックス・マンシーは語った。

歴史的名勝負となった第3戦で、あれだけ出塁を重ねて走り回っていた大谷が、翌日(正確にはその夜)の先発投手という事実は、チームメイトも驚くほど。大谷自身は疲労を否定したが、打席では前夜のような圧倒的な存在感はなく、第3戦とは対照的だった。

ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は、「今後も敬遠策はあるだろう」と示唆していたが、第4戦では先発のシェーン・ビーバーが勝負を選んだ。結果的に初回は四球で歩かせたが、その後の3打席は2三振を含む3打数無安打に終わった。

大谷は、投球では全体的に球速が落ちていたものの、要所では力を込めて投げ込み、ロバーツ監督は「計算されたピッチングだった」と評した。三回にはブラディミール・ゲレーロJr.に甘く入ったスイーパーを運ばれ、逆転2ランを浴びたが、その後は六回までの12打者中11人を打ち取り、立て直した。

大谷の投球数が90球に達した七回、ロバーツ監督はもう1イニングを託した。しかし、先頭から2人続けて出塁を許した場面で降板。第1戦と同様、ここでブルージェイズが畳みかけた。リリーフのアンソニー・バンダとブレイク・トライネンが打ち込まれ、4失点。うち2点は大谷の自責点に加算された。

「彼はいつも明確なプランを持ってマウンドに上がる。今日もボールの感覚は良かった。ただ、あのスイーパーと七回の数本のヒットだけだ」と捕手ウィル・スミスは説明した。

ドジャースは今季を通してブルペンに好不調の波があったが、ポストシーズンではむしろ打線の沈黙が問題になっている。第3戦ではワイルドカードシリーズ以来となる5得点超えを記録したものの、大谷の同点弾が出た七回からフレディ・フリーマンの18回サヨナラ弾までの10イニングは無得点に終わった。

先発陣が歴史的な好投を続けていた間は、得点力不足を補えていた。しかし、ブルージェイズ打線はそう簡単にはいかず、ドジャース打線は相手投手にプレッシャーをかけることができていない。

第3戦でブルージェイズが繰り返し敬遠策を取ったように、大谷の存在そのものが相手にストレスを与える。だが大谷自身もチームも、毎試合それに頼ることはできないと理解している。

「彼はプレッシャーとは感じていないと思う。それが彼自身の基準だ。ただ、彼が打席に立つたびに、何か素晴らしいことが起こると期待してしまう。もしかすると、それは少し酷な期待かもしれないね」とロバーツ監督は語った。