WS第5戦、見どころ&予想スタメン

October 29th, 2025

ここからは実質、三番勝負だ。

この27時間で27イニングを戦い抜いた選手たちを説得するのは難しいだろうが、第5戦から、ワールドシリーズ(WS)はほぼ仕切り直しとなる。

第4戦でブルージェイズが18イニング分の鬱憤(うっぷん)を晴らす6−2の勝利を挙げ、1993年以来の球団初優勝を狙うブルージェイズと連覇を目指すドジャースのシリーズは2勝2敗のタイに戻った。

ブルージェイズは第4戦に勝っただけでなく、本拠地での優位も取り戻した。第6戦は31日(日本時間11月1日)にロジャースセンターで行われることが確定し、さらに第7戦までもつれた場合もカナダの地で開催される。

現行の方式で行われるポストシーズンの7戦4勝シリーズにおいて、今のブルージェイズのように4試合を終えて2勝2敗となった場合、第5戦を敵地で戦い、その後ホームで第6、7戦を迎えるチームがシリーズに勝利したのは61回中35回(勝率57.4%)。

また、単純に7戦制シリーズで2勝2敗となったケース全体では、第5戦に勝利したチームがシリーズを制したのは68回中46回(勝率67.6%)となっている。

ちょうどこのWSが始まった第1戦と同じように、第5戦ではドジャースの左腕ブレイク・スネルとブルージェイズの新人トレイ・イェサベージが先発として投げ合う。第1戦ではどちらも本来の投球ではなかったが、これまでのポストシーズンで両者ともに大舞台での経験を積んできた。

「初登板で得た学びと、そこからどれだけ成長できたかに感謝している」と語ったのはスネル。

第1戦では5回0/3を投げ、8安打5失点で敗戦投手になっていた。

「自分がどんな投手で、どんな投手を目指しているのかを本当に示すチャンスを再び得られて、とても楽しみだ」と意気込みを語った。

メジャー通算わずか8度目の先発登板となるイェサベージは、チームが自分に大きな信頼を寄せていることを誇りに感じていると語った。

「本当に大きいこと。まだ22歳の新人として、こうして重責を担うのは簡単なことではないけど、このクラブハウスの全員が自分を支えてくれている」

試合の日時と視聴方法

米国東部時間:午後8時 放送:FOX

日本時間:10月30日、午前9時 放送:NHK総合、SpoTV Now、JSports 3(18時30分より放送)

先発投手は

ブルージェイズ:右腕 トレイ・イェサベージ(1勝0敗、防御率3.21)
シーズン中から次々と大舞台を任されてきた新人右腕が、今回は1993年以来となるブルージェイズ最大の試合に挑む。今季は1Aで開幕を迎え、いまやチームをワールドシリーズ制覇まであと1勝に導くチャンスを手にしている。しかも今回は、ドジャース打線だけでなく、ドジャースタジアムの大観衆という敵地の雰囲気にも立ち向かわなければならない。

前回登板では4回を2失点、5三振。3四球を与えており、この試合では一発で流れを変える力を持つドジャース打線相手に、制球面の修正が求められる。

ドジャース:左腕 ブレイク・スネル(5勝4敗、防御率2.35)
スネルは第1戦でブルージェイズに今ポストシーズン最悪の内容を喫しており、今回はその雪辱戦となる。

ただし、それ以前の3登板では圧倒的な内容だった。計21回でわずか2失点、防御率0.86、28三振、5四球、6安打。2度のサイ・ヤング賞受賞左腕は、今オフに5年総額1億8200万ドル(約277億円)でドジャースに加入したのち、肩の負傷で約4カ月離脱したが、復帰後は最適なタイミングで本来の投球を取り戻している。

ブルージェイズ
すべてはジョージ・スプリンガーの状態次第だ。第3戦で右脇腹の違和感を訴えて途中交代し、第4戦は欠場した。チームがメンバーの入れ替えを行っていないことから、いずれは出場の可能性を残しているが、復帰があるとすれば移動日の後の第6戦が現実的。左腕スネルを相手にした場合、予想されるラインナップは以下のとおり。

  1. アーニー・クレメント(三塁)
  2. デービス・シュナイダー(左翼)
  3. ブラディミール・ゲレーロJr.(一塁)
  4. ボー・ビシェット(DH)
  5. アレハンドロ・カーク(捕手)
  6. ドールトン・バーショー(中堅)
  7. アイザイア・カイナー=ファレファ(二塁)
  8. マイルズ・ストロー(右翼)
  9. アンドレス・ヒメネス(遊撃)

ドジャース
ロジャースセンターでイェサベージと初対戦した際、ドジャースは序盤にいくつか内容のある打席を見せており、第1戦と同様のスタメンを組む可能性がある。ただし、ロバーツ監督は「少し違うメンバーになるかもしれない」と話しており、不振のアンディ・パヘスに代えてアレックス・コール、またはミゲル・ロハスを起用する可能性もある。

  1. 大谷翔平(DH)
  2. ムーキー・ベッツ(遊撃)
  3. フレディ・フリーマン(一塁)
  4. ウィル・スミス(捕手)
  5. テオスカー・ヘルナンデス(右翼)
  6. マックス・マンシー(三塁)
  7. キケ・ヘルナンデス(中堅)
  8. トミー・エドマン(二塁)
  9. アレックス・コール(左翼)

先発降板後のリリーフ投手起用は

ブルージェイズ
シェーン・ビーバーのおかげで、ブルペンは「通常運転」に戻った印象だ。第3戦の延長18回直後としては、ほぼ通常に近い状態と言える。七回にリードを広げたことで、セランソニー・ドミンゲスやジェフ・ホフマンら主力を温存できた。ルイス・バーランドはこの日も登板しており、今ポストシーズンはほぼ毎試合投げているが、第5戦で必要なら3日連続登板も辞さない救援と見られる。とはいえ、メイソン・フルハーティやクリス・バシットのように2試合連続で投げて疲労がたまっている投手もいる。ただ、第4戦で実質的に“リセット”できたのはチームにとって大きい。

ドジャース
アンソニー・バンダ、ブレイク・トライネン、ジャック・ドライヤーは2試合連続で登板しており、第5戦は起用見送りの可能性がある。ドジャースは、ブルペン転向後に圧倒的な投球でクローザー格に定着した佐々木朗希(23)の起用を避けることができた。アレックス・ベシアは、球団が「非常に私的な家族の事情」と説明した理由により、ワールドシリーズは不在の見込みだ。

注目すべき負傷情報

ブルージェイズ
ジョージ・スプリンガーは「右脇腹の張り」で第3戦を途中交代し、第4戦も欠場したが、チームはワールドシリーズのメンバーから外していない。ジョン・シュナイダー監督は第5戦での復帰を望んでいるが、難しい場合でも移動日を挟んで第6戦での出場を目指す見込みだ。

ボー・ビシェットは左膝の捻挫が懸念されていたものの、ワールドシリーズで登録され、全試合に出場している。第3戦では七回の安打後に交代したが、これはチームの方針とみられる。リードしている場合は守備要員に交代し、試合終盤で塁に出た際にも交代させている。

アンソニー・サンタンデールは背中の負傷によりア・リーグ優勝決定シリーズの途中で登録を外れ、ワールドシリーズには出場できない。

ドジャース
ウィル・スミスは右手のひびを抱えながらもナ・リーグ地区シリーズでスタメン復帰して以降、すべての試合に出場している。トミー・エドマンは今季2度の負傷者リスト入りの原因となった右足首の状態に懸念が残る。救援投手タナー・スコットは下半身の膿瘍の治療から回復途中のため、ワールドシリーズのロースターには含まれていない。

好調な選手と不調な選手

ブルージェイズ
ブラディミール・ゲレーロJr.は第4戦で大谷から今ポストシーズン7本目の本塁打を放ち、ブルージェイズの球団記録を更新した(これまでの最多はジョー・カーターとホセ・バティスタの6本)。第3戦ではボー・ビシェットが外角の球を引っ張り、左翼手の頭上を越える適時打を放つなど復調の兆しを見せた。

アーニー・クレメントは直近でも2安打を記録し、打率.393と好調。アレハンドロ・カークもポストシーズンを通して打撃が安定している。スプリンガーの不在は痛いが、それを補える打者陣がそろっている。簡単ではないが、ブルージェイズは打線全体でこの状態を維持し、スネル対策としてデービス・シュナイダーのような左投手に強い打者を起用することで流れをつかみたい。

ドジャース
大谷は第3戦で止められない活躍だったものの、第4戦は無安打、1四球に終わった。フレディ・フリーマンは2試合連続で2安打と調子を上げている。一方、アンディ・パヘスは再び無安打でポストシーズン全体の打率は.080。ロバーツ監督は、今ポストシーズンで初めてパヘスをスタメンから外す可能性がある。

ファンが知っておきたい情報

・ブルージェイズがワールドシリーズに進出するのは1993年以来。

・ジョージ・スプリンガーは2017年のワールドシリーズでドジャースタジアムを舞台にMVPを受賞している。そのシリーズでは5本塁打を放ち、第7戦での3ラン本塁打を含め、若き日のキャリアで最も印象的な場面をいくつも作り出した。

・大谷は第3戦で今ポストシーズン8本目の本塁打を放ち、2020年にコーリー・シーガーが樹立した球団記録(1ポストシーズンでの最多本塁打)に並んだ。