ドジャースが、14日(日本時間15日)にロサンゼルスで行われるナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦で大谷翔平(32)を先発メンバーから外す可能性が浮上している。代役候補には、レギュラーシーズンでわずか11試合の出場にとどまる新人ホスエ・デポーラ(21)の名前も挙がる。
現時点で結論は出ていない。ただ、大谷を先発から外す案が実際に検討されている。4度のMVPに輝き、「史上最高の選手」とまで評される大谷が、それほど深刻な不振に陥っている証しでもある。
今ポストシーズンは6試合で打率.150、出塁率.261、長打率.150。もっとも、ポストシーズンでは好投手との対戦が続き、実績のある打者でも短期間に成績を落とすケースはある。ブレーブスのマット・オルソン(32)、ロナルド・アクーニャ・ジュニア(28)も同程度の数字にとどまっている。
さらに、現在のドジャース打線には大谷以上に苦しんでいる打者もいる。ウィル・スミス(31)だ。
背景には、大谷が万全ではない可能性が以前から指摘されてきた事情がある。そして何より、最近のプレー内容そのものが深刻だ。
右上腕二頭筋と左膝の問題を抱え、大谷は7月3日(同4日)を最後に登板していない。8月下旬には打撃でも調子を落とし、9月には2週間にわたって負傷者リスト入り。復帰後に出場できたレギュラーシーズンはわずか5試合で状態を判断する材料も十分には得られなかった。
最後の本塁打は8月18日(同19日)。ただ、実情はさらに厳しい。レギュラーシーズン最後の3本塁打はすべてクアーズ・フィールドでの同一シリーズで記録しており、本拠地ドジャースタジアムでの最後の一発は8月12日(同13日)のロイヤルズ戦までさかのぼる。すでに2カ月以上、本拠地で本塁打が出ていない。
「当然ですが、いい状態ではありません。体調も万全ではない。私としては13日(同14日)に彼と話して、大谷にとって、そしてチームにとって何が最善かを考えたい。これまでの実績を考えれば、きちんと話し合うべき選手です」
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(54)はウェブメディアのジ・アスレチックにそう語った。
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それだけの実績を残してきた選手でもある。ただ、8月18日(同19日)まで、大谷はメジャー全体でトップ5に入る打者だった。それ以降はポストシーズンを含め、下位10人に入るほど成績を落としている。地区シリーズでは5番まで打順を下げられ、5番での出場は6年以上ぶりだった。
9月の三振率は39%に達し、月別ではキャリアで2番目に高い数字を記録した。ボール球へのスイング率もキャリアで最悪に近い水準まで上昇し、打球をバットの芯で捉えた割合もここ数年で最低レベルまで低下。現在は多くの指標が悪化している。
大谷が本来の状態からほど遠いことは明らかだ。実際にはプレーできる状態まで回復しておらず、それでもチームのために出場を続けていたと後に判明しても、驚きはないだろう。
それでも、ドジャースは通常なら考えられない決断を検討している。ポストシーズンで0勝2敗と追い込まれた状況で球界最大のスターをスタメンから外す案だ。判断するためには、単純な結果だけでなく、さらに踏み込んだ分析も必要になる。
もちろん、大谷の成績は期待された水準に達していない。ただし、今ポストシーズンのMLB全体でも打率.213、出塁率.295、長打率.337。好投手をより積極的に投入できる10月の短期決戦では、打者にとって極めて厳しい環境となる。
では、各種データを掘り下げると、大谷の不振を生んでいる根本的な原因を説明する材料は見つかるだろうか。
「身体面の問題は、もう乗り越えつつあります」とドジャースの打撃コーチ、アーロン・ベイツ(42)はポストシーズン開幕時に語っていた。
「今は異なる球速へのタイミング、自分が動き出すタイミングを合わせていく段階です。身体的な問題に対応するというより、打者なら誰でも経験する通常の調整に近くなっています」
外から見る限り、現在の大谷に最も欠けている要素はタイミングだ。身体的な制約によって本来のタイミングを作れないなら、出場を続けても大谷にもチームにもプラスにはならない。一方、復帰後まだ感覚を取り戻せていないだけなら、時間と調整によって改善する可能性もある。
ドジャースが見極めるべきポイントはそこに尽きる。この問題を数日以内に修正できるのか。それとも、短期間では解決できないのか。
確実に分かる点として、大谷のスイングは現在、タイミングが大きく狂っているように映る。95マイル(約153キロ)以上の球への対応を見れば、その変化は顕著だ。2024~25年、大谷はこの球速帯への打撃成績でMLB3位だった。
最後に本塁打を打った8月18日(同19日)を境にポストシーズンを含めた前後の成績を比較すると、大幅な低下が分かる。
大谷の95マイル(約153キロ)以上の球に対する成績
- 8月18日まで: 打率.280、長打率.441
- 8月19日以降: 打率.036、長打率.071
8月19日以降、95マイル(約153キロ)以上の球から記録した安打はわずか1本。それも、9月24日(日本時間25日)に剛腕メーソン・ミラー(28)から放った二塁打だった。最も結果が求められる時期に、速球への対応力が大きく低下している。
ポストシーズンでMLB全体の打撃成績が落ち込む要因の一つに、重要な局面で球速の速い投手が次々に登板する環境がある。今ポストシーズン、速球の平均球速は96.2マイル(約154.8キロ)に達している。
ここまでの数字と身体状態への懸念を踏まえると、大谷のバットスピード自体が落ちていると考えたくなる。しかし、実際は逆だ。10月の大谷のバットスピードは、今季で最も速い水準にある。
それでも振り遅れている。一見すると矛盾するようだが、バット自体は十分な速さで振れている。問題は始動が遅れているか、必要なタイミングで最高速度に達していない可能性にある。
その傾向はスタットキャストのバットトラッキングデータにも表れている。芳しくない数字があまりにも多いため、まず一括して並べ、その後に意味を詳しく見ていく。データは2023年途中から取得可能で、ポストシーズンを含めて24カ月分ある。
その24カ月を比較すると、2026年10月の大谷は複数の指標で最も低い水準に落ち込んでいる。
2026年ポストシーズン、各指標でワースト級
- アタックアングル(バットがボールに入る角度):24カ月中24位。8度で最低タイ。過去のシーズンでは13度前後で推移していた。MLB平均は10度。
- アタックディレクション(スイングの方向):24カ月中24位。6度の逆方向寄りで、これまでで最も流し打ち方向に偏っている。過去のシーズンでは、2度ほど引っ張り方向に向いていた。
- インターセプトポイント(バットがボールを捉える位置):24カ月中24位。今月はこれまでで最もボールを引きつけて打っており、捉える位置は体の前方22インチ(約56センチ)。大谷は通常約27インチ(約69センチ)で、MLB平均は約31インチ(約79センチ)となっている。
- 振り遅れ率:24カ月中24位。フォーシームとシンカーに対する振り遅れ率は37%に達し、月別ではキャリア最高。MLB平均の25%を大きく上回っている。
数字が多く並んだが、すべてが示す結論は共通している。現在の大谷は、スイングのタイミングが大きく狂っている。
では、実際に何が起きているのか。問題はすべてタイミングにつながっている。スイングの速さや軌道自体に大きな変化はなく、以前より極端にレベルスイングになったり、アッパースイングになったりしているわけではない。
一連の変化は、次のようにつながる。
振り遅れる → ボールをより深い位置まで引きつける → スイングが逆方向寄りになる → アタックアングルも大幅に低下する。そもそもバットに当てられれば、という前提付きだ。
大谷のタイミングのズレが最も鮮明に表れた場面が、第2戦の三回だった。ロガン・ヘンダーソン(24)が投じた「わずか」94.9マイル(約152.7キロ)の速球に対し、ボールを引きつけ過ぎて捕手のミットに収まりかけるほど深い位置で捉え、力のない三ゴロに倒れた。中継映像でも窮屈なスイングに映った。
さらに、データでも大谷の振り遅れは明確に表れている。
より分かりやすい比較として、今季のよく似た2球を見てみよう。同じブルワーズの左腕が投じた95マイル(約153キロ)前後の速球で、いずれも内角寄りだったが、大谷のタイミングには大きな違いが出た。
8月13日(同14日)、シェーン・ドロハン(27)が投じた95.2マイル(約153.2キロ)のシンカーを大谷は打球速度約112マイル(約180.2キロ)で捉え、先頭打者二塁打とした。
一方、リーグ優勝決定シリーズ第2戦ではジョジョ・ロメロ(30)の94.1マイル(約151.4キロ)のシンカーに振り遅れ、苦しさが伝わるようなファウルとなった。その後、低め外角のスイーパーで三振に倒れた。
もちろん、大谷がそれぞれの球で何を狙っていたかまでは断定できず、相手の投球に惑わされた可能性もある。それでも、タイミングが合ったスイングと振り遅れたスイングには明確な差がある。
ドロハンとの対戦では、身体の前方26インチ(約66センチ)でボールを捉えた。一方、ロメロのシンカーには大きく振り遅れ、バットにかろうじて当てた位置も身体の前方わずか6インチ(約15センチ)だった。
結局、すべてはタイミングに行き着く。大谷は振り遅れが続き、さらに遅れが目立つ状態となっている。
そして、ドジャースは大きな判断を迫られる。今後1、2日の調整で修正できるのか。それとも、オフシーズンまで解消できない身体的な制約を抱えているのか。
後者なら、単に打順を下げても大きな効果は期待しにくい。絶対に落とせない一戦で勝つためには、大谷よりデポーラを起用した方が得策という、通常なら考えにくい決断につながる可能性もある。
もっとも、そうした議論が生まれる背景には、限られた出場機会でデポーラが残した強烈な印象もある。第1戦で四球を選んだ際には、あのジョーイ・ボット(43)も高く評価するコメントを残していた。
今季、ポストシーズンを含め、ストライクゾーン外の投球を100球以上受けた打者は530人を超える。その中で、デポーラよりボール球スイング率が低かった選手はわずか1人だけだった。
デポーラがMLBパイプラインの全体4位有望株に評価されるだけの理由はある。スカウティングリポートでは、今季158試合で打率.316、42本塁打、106打点、OPS1.033を記録し、ア・リーグMVP最有力候補に挙がるヨルダン・アルバレス(29)を「少し小柄にして、より運動能力を高めたタイプ」と比較されている。
これほど期待を背負わされれば、プレッシャーも相当なものだ。
結局、今回も判断は単純な比較に行き着く。100%の大谷と100%のデポーラなら、迷わず大谷を選ぶ。しかし、現在の大谷は100%の状態ではない。修正を待つ時間も残されていない。
長らく想像すら難しかった「大谷を先発メンバーから外した打線が、ドジャースにとって最善」という選択肢が、現実味を帯びている。
