今永、オプション行使せず今オフはFAに(報道)

November 4th, 2025

2シーズン前、今永昇太(32)はメジャーリーグで鮮烈なデビューを飾り、持ち前の明るい性格と安定感ある投球で、瞬く間にカブスファンの心をつかんだが、今季はやや不安定なシーズンで球団首脳陣は彼の今後の起用方針を慎重に検討する運びになった。

4日(日本時間5日)、関係者の話によると、カブスは今永の契約に含まれる3年の球団オプションを行使しない決断を下したという。その後、今永も自身の1年のプレーヤーオプションを破棄したため、このオフにフリーエージェント(FA)となる見込みだ。これらの決定はESPNのジェシー・ロジャース氏が最初に報じたもので、球団からの正式発表はまだない。

今永に関して、カブスには今週中にもう1つの決断が残されている。6日午後4時(中部時間)までに、1年総額2202.5万ドル(約33億円)のクオリファイング・オファー(QO)を提示するかどうかを決めなければならない。もし今永がこのオファーを11月18日の期限までに拒否した場合、カブスは彼が他球団と契約した際にドラフト補償指名権を得ることになる。

「今永と契約した時点で、この2年の成績を示されていたなら、われわれは迷わず受け入れていただろう」プレーオフ後にジェド・ホイヤー編成本部長はそう語った。

「彼は成績を残しただけでなく、素晴らしいチームメートであり、球団にとって大きな戦力だ。もちろん、これから決断し、話し合うべきことがある」

カブスは2024年シーズン前に、今永と総額5300万ドル(約80億円)の4年契約を結んだが、その契約には複数のオプション条項が含まれていた。

2025シーズン終了後、カブスには総額5775万ドル(約87億円)の3年契約オプションが設定されていた。また、今永が2024年のナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で5位に入ったことで、以降の年俸には各25万ドル(約3800万円)が上乗せされる条項も発動(2026年:2025万ドル、2027年:2025万ドル、2028年:1725万ドル)。しかし球団がこのオプションを行使しなかったため、今永には2026年の年俸1525万ドルのプレーヤーオプションか、フリーエージェントのいずれかを選ぶ権利が与えられた。

QOの提示額がプレーヤーオプションより高額であることから、今永にとってオプションを破棄するのは自然な判断といえる。別の見方をすれば、今永は2026〜27年の2年間で総額3050万ドル(約46億円)が保証される構造になっていたため、複数年の契約を交渉する際には、これが一つの基準になるとみられる。

今永はこの2年間で、通算54先発で24勝11敗、防御率3.28を記録。通算318イニングで291三振、54四球と安定した成績を残した。2024年にはオールスターにも選出され、ナ・リーグ新人王投票で4位、サイ・ヤング賞投票で5位に入った。さらにデビュー年にはチームのノーヒッター達成にも貢献している。

今季は144回2/3を投げ、防御率3.73、117三振、26四球を記録した。ハムストリングの負傷で一時離脱したほか、被本塁打(31本)にも苦しみ、特にシーズン終盤の12登板では、69回2/3で防御率5.17、20被本塁打と課題が顕著だった。

今永の被弾癖はポストシーズンでも苦戦の要因となった。先発陣に負傷者が続出する中、カブスのクレイグ・カウンセル監督は今永を柔軟に起用。パドレスとのワイルドカードシリーズ第2戦では救援登板し、ブルワーズとの地区シリーズ第2戦では先発を務めたが、計6回2/3で3本塁打を浴びた。

カブスは今永の処遇にかかわらず、今オフの先発補強に動いている。

現時点で、2026年シーズンに契約下にあるのはマシュー・ボイドとジェイムソン・タイオンを筆頭に、肘の手術からの復帰を目指す左腕ジャスティン・スティール(年俸調停資格保有)、さらにはナ・リーグ新人王候補のケイド・ホートンを筆頭に、ハビエル・アサド、ベン・ブラウン、ジョーダン・ウィックスら若手も控えている。また、ベテラン右腕コリン・レイの2026年チームオプション(600万ドル)の行使可否も判断が迫られている。

今オフの先発投手市場には、ディラン・シース、フランバー・バルデス、レンジャー・スアレス、マイケル・キング、ザック・ギャレン、そしてシェーン・ビーバーらの名が挙がっている。カブスはトレードによる補強の可能性も視野に入れており、昨年のトレード期限時にはツインズのジョー・ライアン、ナショナルズのマッケンジー・ゴア、マーリンズのサンディ・アルカンタラ、エドワード・カブレラらが移籍候補として名前が挙がっていた。